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【異世界スゴロク】止まったマスで転移する呪いの冒険譚 ~ゴールしなければ生き残れない~  作者: 幸運な黒猫
【童話全修】

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第58話・【童話全修 その7】

「おひさまと土のにおいがしやがりまっす!」


 目の前に広がる光景を見て、ペローははしゃいでいたが、対照的に僕とメイジーは唖然としていた。そもそも農園だから、それなりの広さがあるのはわかっていた。しかし……


「これはちょっと……」

「甘かったね~」


 穀物農園担当の僕らは、収穫時期に使う小屋や、農具を入れる納屋等を調べれば済むと考えていた。さっさと調査して、本命であるドイルの迷宮(ラビリンス)に行けばいいと。


 だが……考えるべきだった、穀物農園の意味を。


「まさか、トウモロコシ畑だったとは……」


 見渡す限り、トウモロコシ、トウモロコシ、トウモロコシ。背の丈2メートルはある緑の壁が、地平線まで続いていた。おかげで農業路脇にある小屋は見つかったが、それ以外はなにも見えない。


 どこから手をつけるべきか、と呆然としている所にメイジーが核心をついたひと言を放ってきた。


「これってさ、なにかを隠すにはうってつけじゃない?」

「あ……」


 だがその核心は、『このトウモロコシ畑をしらみつぶしに調べなければならない』と言っているのと同義だった。


「ここ、全部調べなきゃならないのか」

「ん~、そうでもないよ。ある程度”当り“はつけられるっしょ」

「え、そうなの?」

「もしここになにかを隠しているとするなら、この真っすぐに伸びた農業路のどこかに目印があるはず」


 山や木を見れば、畑の中から戻る方向がわかる。しかし、畑のとある一点を目的地にするのなら、入り口になる部分には目印が必要だ。


「なんの目印もなく入ったら、農場主だって迷うっしょ」

「そんなところに気がつくなんて……凄いですね」

「え〜、やだも~。知的美人だなんて、口説いてるつもり?」


 と、大阪のおばちゃんみたいに僕の背中をバンバンと叩くメイジー。全身タイツは衝撃吸収してくれないから、手加減なしはかなり痛い。


「もう、やだ~。ふふふ! 褒めてもなにもでないんだからね!」

「いや、そんな事言ってな……」

「はい、飴ちゃんあげる」


 ……でるじゃないか。


「ところでさ、グレ子ちゃん。ずっと気になっていたんだけど、なんでそんな格好してんの? 趣味?」

「趣味に見えます?」

「……」


 メイジーは意味深にニコリと笑うと、サムズアップしてきた。 


「ドンマイ!」

「なんか勝手に察したでしょ!」


 ……もう、人の話を聞きましょうよ。


「ねえたん、これ見て!」


 と、ペローが拾い上げたのは動物の毛。ついさっき見たものと同じ、黒色オオカミの毛だ。換毛期なのだろうか、ハッキリと視認できるほどの毛束が、数か所に落ちていた。


「黒色がこの辺りを通ったって事だよね」

「うん、間違いないっしょ!」

「そうするとこの辺りに……」


 僕はペローの頭をなでながら腰を落とし、地面に目印がないかと目を凝らした。メイジーも赤猫ずきんが汚れるのを気にもせず、地面に顔を近づけている。


「あった、これだよ」


 農業路の脇には一定間隔で木の(くい)が打ちつけられ、視認しやすいようにと、上の部分に赤色が塗られている。そして僕が見つけたその一本だけは、赤の下に青い線が描かれているものだった。


「確かにこれにだけ青い線が入っているけど、それだけでオオカミにつながるの?」


 と、首をかしげるメイジー。僕は現代人の知識チートで『ちょっといいところを見せてやろう』と気合を入れた。


「オオカミや犬って人間みたいに三原色を認識できなくてね。青と黄色の受容体((注))しか持ってないんだ」

「じゅよう……たい?」


 キョトン、とするメイジーとペロー。


「つまりね、世の中の全ての色が青と黄色、そして灰色でしか認識できないって事」

「あ~、だから青色の目印なのね」

「そそ。赤色や緑は判別できなくて黄色に見えるそうだよ。」


 黄色のトウモロコシに緑の茎、茶色の大地に赤い目印。これらはすべて黄色に見える。つまり、オオカミや犬の目で判別がつくのが青色って事だ。


「グレ子ちゃんって物知りなんだね~。こんなの尊敬するっしょ!」

「まあ、まかせてよ。これが現役大学生の実力ってやつだね」


 軽くドヤってしまった。小さなことでも、褒められるとちょっと気分がいい。……まあ、正直言うと、親父の受け売り知識なんだけど。


「つまり、オオカミに()()()()()()()()()()()のね、グレ子ちゃん」

「え……」

「なにかあったらよろしく。黄猫ずきんの私たちはトウモロコシにまぎれて逃げるから!」

「逃げやがりますでっす!」


 ひどいじゃないか……って、あれ、ちょっと待てよ。


 追いかけている黒色オオカミの毛が落ちてるって事は、当たり前だけどこの辺りにヤツがいるわけで。そうすると彼女たちのお婆さんの監禁場所も近い可能性がでて来るんだよな。


 ……まさか、ドイルの迷宮(ラビリンス)だけじゃなくて、ここも本命なのか?






――――――――――――――――――――――――――――

(注)オオカミは青と黄色の2色の受容体を持っているそうです。(人間は緑色も認識できる・光の三原色)

そのためオオカミには、青と黄色、灰色の色調で見えています。


人 間:赤→橙→黄→緑→青→紫

狼や犬:黄→→→→→白→青→薄い青紫→灰


ザックリ書くとこんな感じです。

作中の内容では、赤猫ずきんの色もトウモロコシの黄色や緑も、すべて黄色に見えて認識しにくく、全身灰色タイツの水音が最も危険となります。

※調べた内容にミスがあったらごめんなさい。

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