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【異世界スゴロク】止まったマスで転移する呪いの冒険譚 ~ゴールしなければ生き残れない~  作者: 幸運な黒猫
没落令嬢のダンジョン生配信

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第41話・【没落令嬢のダンジョン生配信 その11】

「あ、配信がつながりました!」


 僕ら『ミナミお嬢様のハッピーチャンネル』、そしてアナキンの『スーパーファイアハリケーンチャンネル』のライブ配信が再開された。ショーンとコネリーがリレーピックを打ち込んで、インキャの映像を繋いでくれたからだ。


「えっと、今つながったらヤバくない?」


 奇襲のような形でアナキンを襲撃した僕ら。戦線離脱させるためとは言え、完全に悪役の位置づけだ。アナキンのメンバーを踏みつぶしたり、のど元にナイフを突きつけている映像が全国民に流れてしまう。


「大丈夫ですわ、ミナミお嬢様。すでに対策済みです」


 ……対策済み?


「やあ、みんな! 配信切れちゃってゴメン、ボクは淋しかったよ」


 配信再開は、葵さんのアップから始まった。インキャが勝手にアングルを変えようとするのを左右からガッシリとつかんで、力ずくで自分だけが映るようにしていた。


「なるほど。これが『対策』か」


 インキャ、つまり、自立飛行型カメラのイン・リモートスキャナーは、魔法制御で”視聴しやすい位置“にアングルを変えるようにプログラムされている。

 

 例えば大技を繰りだすと、迫力のある角度からバシッとキメ撮りしてくれる優れものだ。ただし、その原理は熱量感知で、仮に同じ技をだしても、熱い方に引っ張られてしまう弱点もある。


 そして今ここで最も熱量が高いのは、幸せそうな表情で『ハァ、ハァ、』と悶絶しているブサメン戦士だが……アナキンのインキャは、すでに彼をドアップで配信してしまっていた。


「放送事故だろ、これ」


 その時――。


「フーーーーーーーーッ!!!」


 突然ベルノが唸りだした。葵さんの肩に乗ったまま背中を丸め、毛を逆立てている。どう考えても尋常ではない。


「どうしたのよ……」


 葵さんがどれだけ暴れても、その肩にちょこんと愛らしく乗っていたベルノ。今までに聞いた事のないその唸り声に驚きつつも、葵さんはベルノの視線を追って、鋭い視線を向けた。


「なんかいるわね」

「なんかって?」

「わからないから『なんか』なんでしょ」


 ……ごもっともです。


 ズリ……ズリ……と、大きなものが這う音が、カチャッカチャッと堅いものがぶつかり合う音と共に、ダンジョン奥の通路から聞こえてきた。


 モンスターには違いないだろうけど、なにかわからないって物凄くモヤモヤする。


「視聴者のコメントでは、『スケルトンではないか?』との意見が多いようですわ」


 と、配信のチェックをしてくれるイノリさん。『こんな時にまで?』と思うかもしれないが、むしろこれはありがたい。敵がわからないこの状況において、視聴者の知識も借りられるのだからその効果は絶大だ。


 こうやって協力してくれる人達の気持ちが、今は本当に嬉しい。どんなくだらない情報でも、活かさないとバチが当たるだろう。


「現在、全裸待機率80%ですわ」

「あ、その情報はいらないです」




「——ほんに、いつまで待たすのでありんすか?」




 通路からでてきたその姿には、誰もが一瞬言葉を失った。そこにいたのは、まさしく絶世の美女だったからだ。


「スケルトンじゃ……ない?」

「あら、みなさんハズレちゃいましたねぇ」


 黒髪のロングストレートは腰まで延び、そのスレンダーな体を撫でるように流れている。その透き通るような肌は、ふわりと湿気を帯びたような妖気を放ち、白く輝いていた。


 こんなダンジョン内で、息をのむような美人がでて来るとは誰も思わなかっただろう。それでも誰一人として、彼女に見惚(みと)れる事はなかった。


 ……なぜならば、彼女の下半身が黒々としたサソリの()()だったからだ。


「あれは、セルケト((注))ですわ」


 上半身が人間、下半身が巨大サソリと言うこのモンスターは、高い知性で魔法を使い、狂暴な性格で人を喰らう。身長は先ほどのオーガーよりも少し大きい。一般家庭の二階の窓あたり、目視で4~5メートルと言ったところだ。


 アナキンを騙した子供と言うのは、魔法で作りだした幻影かなにかなのだろう。


「くそっ、騙したのかぁぁぁ」


 怒りをあらわにして大剣を構えるアナキンの筋肉バカ。見境もなく突っ込んで行きそうな彼に、僕はあらかじめ用意しておいた水塊をぶつけ、彼を部屋の隅に弾き飛ばした。


 壁にぶつかり、『ぐふっ』と小さく声をだして動かなくなる筋肉バカ。同時にスマホがピコンと鳴り、最期のフラグ回収を知らせてきた。


「いやあ、危なかった。私が吹き飛ばさなければ、モンスターの見えない攻撃で死ぬところでしたね、アナキンさん」


 ……もちろん『見えない攻撃』なんてのは嘘。わざとらしいセリフだったけど、まあ、いいとしよう。






――――――――――――――――――――――――――――

(注)セルケト ゲーム等では巨大なサソリ型モンスターの名称になっている事が多い。作中のように、人間の体の下半身がサソリになっているモンスターは『ギルタブルル』等の呼ばれ方をするが、あまり一般的な名称ではない為、本作では『セルケト』としています。


本作はネオページにて契約作品として展開しています。

編集部の意向で、宣伝のために転載していますが、内容は同一です。

その為、ネオページからは15話程度遅れています。


もし興味を持っていただけましたら、サイトの方に来ていただけるとありがたいです。ネオページの登録も是非^^

Xのリンクから飛んでいただくか、検索で【ネオページ 異世界スゴロク】で出てきます。

よろしくお願いします!

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