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【異世界スゴロク】止まったマスで転移する呪いの冒険譚 ~ゴールしなければ生き残れない~  作者: 幸運な黒猫
スゴロクの謎。そして……幼女+1

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第26話・家族?

「ところでこの子、名前はなんて呼べばいいのかな?」


 猫耳幼女のほっぺをムニムニしながら、(あおい)さんが聞いて来た。


「猫耳葵さんってのは?」

「却下。颯太(そうた)やりなおし」

「なら、チビ葵はどうっスか?」

「却下。なんか私がムカつく」

「それじゃあ……」

「却下。ミナミナはセンスないから」


 ……まだなにも言ってないのに。ちょいと酷すぎやしませんか? 


「えっと、その子がこれを持っていたんだけど」


 葵さんの却下祭りが終わったのを見計らって、鈴姫(べる)さんは一冊の小冊子をポケットから取りだした。


「え、それって……」

「これによると、この子の名前は、ベルノちゃんだよ」


 SFの世界で奴隷商人から救った子供なのに、”母子手帳“を持っているとか、メチャクチャな設定だな。それも表紙から裏表紙まで全て手作りだ。


「とりあえず猫耳幼女はみんなに任せて、オレは行ってくるっス」

「ちょっと、忘れずに買って来てよ」


 と、折れたパンプスのヒールで(かなめ)を指差す葵さん。


「うっス。24センチっスね」


 それだけ言うと、要は全力で逃げるかのようにルーレットを回した。目の前の幼女をどう扱ってよいかわからず、早くこの場から逃げだしたかったのだろう。


 異世界に行っている間に、僕らがなんとかしてくれる。きっと要はそう考えたはずだ。



 ――しかし、この異世界スゴロクは、そんな楽観的思考を許さなかった。



「えっ、ちょっと、なに!?」


 最初に驚き、声を上げたのは葵さんだった。要がルーレットを回して消えると同時に、ベルノまでもがす~っと消えてしまったからだ。


「まさか、〔幼女+1〕って、全員の冒険について来るって事なのかな?」


 僕が引き当てた〔選択肢+1〕は全員に効果があった。ならば〔幼女+1〕も、異世界間ミッションクリアまで全員に有効って考えるのが自然だ。


「ねえ、鈴姫(べる)。その母子手帳になにか書いてない?」


 慌てて手帳を開く鈴姫さん。パラパラとページをめくり、最後の数ページ辺りで手が止まった。


「えっと、落書きが……」


 僕もみんなも覗き込んだ。多分これは、ベルノによるものだろう、二人の猫耳イラストがページからはみでる勢いで描かれていた。

 丸い顔に耳とヒゲ、棒線の体としっぽ。幼児が描く人物画そのものだ。そして、それぞれの人物の下には『べるの』『ねね』と書いてある。


「この”ねね“ってのが母親なのかな?」

「母……そうだよね。鈴姫、次のページにもなにか描いてない?」


 ページをめくると、そこにも数人のイラストがあった。こちらは猫耳がなく、その代わりにしっぽが太く描かれていた。


「抽象画と言うか、なんかの壁画みたいな感じだね」


 お世辞にも上手いとは言えないイラストだったけど、妙に味があると言うのか目が離せない。太い尻尾を生やした人物は、なにか刀のようなものを持ち、オーラを放出しているエフェクトまで描かれている。


「もしかしてこれ、みんなベルノちゃんの家族なのかな?」


 ――その瞬間、葵さんは過剰とも言える反応を見せた。


「ねえ、家族がいるのなら、ちゃんと元の世界に返してあげようよ」

「葵ちゃん……」

「だって、親がいるんだよ? 帰る場所があるんだよ?」


 鈴姫さんが何気なく口にした『家族』のひと言が、葵さんの感情を揺り動かしたのだろう。真剣なまなざしで僕たちを見渡し、必死に訴えかけてきた。


 目には涙を浮かべ、言葉に詰まり、それでも顔を伏せずにいる葵さん。でも、今なら理解できる。彼女にとってどれだけ重い言葉なのかを知ったから。


 もちろんベルノは元の世界に返すべきだ。ミッションでもあるし、それ自体に反対する人はいないと思う。


 だけど、どうやってその世界を探し当て、どうやってそこに行くのか。肝心な事はなにひとつわかっていない。



 ――カチリッ



 30分ほどして要たちが帰って来た。約二週間ほどの短い冒険だったようだ。


「ただいまっス!」

「ただいまですニャ!」


 晴れやかな笑顔でサムズアップしてくる二人。その笑顔が、なんか逆に怖い。


「は、はやいね」

「簡単なミッションだったし、それにベルっちが活躍してくれたんスよ」

「活躍したニャ!」


 と、ハイタッチする要とベルノ。パンッと心地よい音が部屋中に響く。


「……めっちゃ仲良くなってんじゃん」

「もうベルっちはマブっスよ!」

「ああ、うん。それはよかった……でさ、要たちが行ったのはどんな世界だった? ちょっとしたヒントでもいいから。できるだけどこに行ったか特定しておきたいんだ」


 鈴姫さんが転移したSFの物語は誰にもわからなかった。人物の名前や国の名称を聞いてもちんぷんかんぷん。


 小説好きの集まりなら即答できたかもしれないけど、廃墟の()()びにロマンを求める僕らには、わかるはずもない。


 しかし、それでも情報はあったほうがいい。誰しも、どこかで目にした記憶があるかもしれないのだから。


「それならもうわかっているっスよ。【不思議の国のアリとキリギリス】の世界だったっス」

「楽しかったニャ~!」


【不思議の国のアリとキリギリス】

 これは、白いキリギリスを追いかけたアリが、不思議の国に迷い込んで冒険をする物語。トランプのマークを模した四天王と戦い、不思議の国の平和を取り戻す冒険活劇だ。


 古くからあるファンタジーの定番なだけに、要にも判断がついたのだろう。


 そしてこのタイトルは、目の前の山脈の中にあった。


 【ローディス島戦記】に【バイキング・オブ・カリビアン】。そして【羅生門】に【不思議の国のアリとキリギリス】。6回転移したうちの4回が、ここにある本で確定している。


 そして異世界間クエストの、”特定の異世界に行かなければならない“と言う内容から推測されるゲームの仕様。

 

 これらを考えると、やはりこれは、この本の山の中にベルノの世界があって、なんらかの方法でそこに”ピンポイントで行く事ができる“と考えてよさそうだ。


ご覧いただきありがとうございます。


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