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最後の戦争  作者: ARFIN
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「彼らの血に溺れる」

ナイフの刃で傷つけられた粗末なヘルメットを被った彼は、脚、腕、胴、胸を覆う巨大なプレートアーマーを身につけ、剣と鎖を振るっていた。プライベート・ガルシアスは、銃剣をケスラーの腹部に突き立てた。金属が甲高い音を立ててぶつかり合い、ガルシアスの刃は欠け、彼は思わず身をすくめた。その瞬間、ケスラーのメイスがガルシアスの頭蓋骨を打ち砕き、彼は絶命した。


「待ってろ、今行く!」


そう叫びながら、ハムは剣を掲げ、ケスラーの前に躍り出た。足元にはデラニー、ガルシアス、そして他に四人の死体が転がっていたが、ハムは臆することなく、その姿を正面から捉えた。


剣を構え、彼は獰猛な声で吠えた。「この忌まわしい化け物め、その力、見せてみろ。」


ケスラーは嘲るように喉を鳴らした。「愚か者め。俺が四十人分の力を持たないとでも思ったか? 俺に刃向かうなら、お前を殺して肉を喰らってやる。今すぐ逃げろ、お前の時間はもう終わった。」


ハムは唾を吐きかけた。「ならば、死ぬまで戦ってやる。」彼は輝く剣を閃かせ、突進してケスラーの装甲に打ちつけた。ケスラーは唸り声を上げながらそれを受け流し、ハムを押し戻した。ハムはすかさずケスラーのプレートの足元と腹部を狙って斬りかかったが、ケスラーはメイスを構えながら、素早く横に身をかわした。


「俺も手伝う!」


ゾンビと戦っていたゴーディが叫び、銃を撃った。その弾丸は、ヴァリアントCの装甲を貫いた。


ケスラーのメイスがハムの腰を砕き、彼は叫び声を上げた。足元がおぼつかなくなり、ついに倒れた。ケスラーは勝ち誇ったように喉を鳴らし、剣を振り下ろそうとしたが、その瞬間、ハムはむき出しになった股間に素早い蹴りを叩き込んだ。


ケスラーは絶叫した。ハムはよろめきながら立ち上がり、剣を掴んだ。激怒したケスラーは、チェーンと剣を同時に振り回して襲いかかった。ハムの額に浅い傷がついた。しかし、ハムは歓喜の叫び声を上げると、その剣を掴み、チェーンに絡ませて力を込めた。


ケスラーの顔は怒りに歪み、その刃をハムの腹部に突き刺した。


「少佐!」


ゾンビと戦いながら、ゴーディが叫んだ。眩暈に襲われ、腹部から血が滲み出る中、ハムはゆっくりと地面に崩れ落ちた。


「こんな...こんなことは...」ケスラーは呻きながら股間を押さえた。「人間め、お前の血を一滴残らず吸い尽くしてやる。」


「かわいそうな奴め、せいぜい頑張れ。」ハムは言葉を途切れさせながら、かすれた声で言った。


「逃げるべきだったな。」ケスラーは嘲笑った。「逃げ出すべきだった。」


ハムは唸るように言った。「アメリカの兵士は、決して逃げない。」


ケスラーはハムの心臓の上に剣を構え、「覚えておくよ」と呟いた。その刃が振り下ろされる直前、背後からゴーディが襲いかかり、ケスラーの胸に刃を突き立てた。


ケスラーは息を飲み、ゴーディの腕の中でもがき、痙攣しながら意味不明な言葉を口にした。彼は膝から崩れ落ち、血が泥の中に広がる。


「少佐!」ゴーディは泣き崩れた。


「行け…中の人々を守るんだ。」ハムは傷口を押さえながら、呻くように言った。「これは命令だ。」


「逃げろ!」遠くから声が聞こえた。生き残った人々は、死者をその場に残したまま、武器庫の扉へと急いだ。ゴーディはハムに最後の一瞥を投げかけると、破壊された芝生を横切り、飛行機へと向かった。そこで彼らは最後の抵抗を試みるつもりだった。


「ジェナ…ジェナ…」


彼はそう呟きながら、体育館の扉をこじ開けた。中には何百もの避難民がひしめき合い、家族単位で、無関心な神に祈りを捧げていた。銃声と遠くの叫び声だけが、その沈黙を破る唯一の音だった。絶望が重くのしかかり、ゴーディの心は沈んだ。


「ジェナ!どこだ?」


彼は通路を歩き回り、彼女を探しながら叫んだ。皆が彼の方を見た。


「ジェナ?」


一人の声が彼の肩を掴んだ。「ジョン。」彼は振り返り、ブラント・ディカミロの姿を認めた。


「ブラント!マイクとジェナは――?」


「ジョン、彼らはもういない。今朝早くに発った。もう安全な場所だ。」


「ああ、よかった。」ゴーディは息を吐き、奇妙な安堵感を覚えた。ジェナはゾンビになったり、ここで死んだりすることはない。たとえ自分が倒れても、彼女は生き残るのだ。


「外はどうなっている?」ブラントが尋ねた。


「ひどい状況だ。」ゴーディは呟いた。「もうすぐ、やつらは門を破るだろう。」


「一緒に出てくれ!」ブラントは強引に言った。「ここで震えているより、最後まで戦おう。たとえ無意味だとしても、最後まで戦い抜くんだ。」


ゴーディはブラントの手を握った。彼らは運命を受け入れた群衆のそばを通り過ぎ、最後の砦である入り口に向かって歩いた。彼らが外へ出ると、扉は後ろで閉ざされた。


残った兵士は、マクダグラスとウィアトンだけだった。四方からゾンビが押し寄せ、戦いは今や白兵戦と化していた。ブラントとゴーディは、放置されていた剣を手に取った。


「やるしかないな。」ブラントは溜息をついた。


彼らは戦いに身を投じ、装甲を身につけたアンデッドを次々と斬り伏せていった。ヴァリアントCの刃の下でマクダグラスの首が転がり、ウィアトンは意識を失い、感染のために運び去られた。彼らは、当初の人数からわずか五十人ほどにまで減るまで戦い続けた。


「あの二人を捕らえろ。」冷たい声が言った。「強い。」青白い顔をした長髪の若い男が、ゴーディより少し年上だろうか、中年の黒い襟の司祭の隣に立っていた。司祭は銃剣を手にしていた。


「我々を、ですか?」ゴーディは防御的に剣を掲げ、答えた。「できればご遠慮願いたいが。」


「どうかな。」若い男は宣言した。「白い方を殺すんだ、ロブソン神父。俺が黒い方を殺してやる。」


「承知した。」ロブソンは答えた。「トビー。」


ゴーディとロブソンが激突し、刃は司祭の顔から数センチのところでせめぎ合った。トビーとブラントも対峙し、鋼が甲高い音を立ててぶつかり合った。


「愚か者め、俺が誰だか知らんのか?」トビーはブラントの攻撃を受け流しながら嘲った。「マンハッタンからティーネックのゾンビは、すべて俺に報告する。この攻撃のリーダーは、この俺だ。」


ロブソンはゴーディの攻撃を巧みに避け、銃剣は傷一つ残さなかった。しかし、ゴーディの剣がロブソンの肩を切り裂き、彼の黒いシャツを赤く染めた。怒りに駆られたロブソンはゴーディに体当たりしたが、ゴーディはよろめきながらもナイフを避けた。


「そうかもしれんが、俺は――」ブラントは震える声で言いかけた。しかし、トビーの刃がブラントの脛に打ち込まれ、骨が砕け散る音が響いた。ブラントは叫び声を上げ、肩で地面に落ちていった。


ロブソンが再び突進してくると、ゴーディは剣で司祭の足首を刺した。ロブソンは歯を食いしばってよろめいた。ゴーディはさらに追撃し、彼を倒した。


トビーはブラントの上で剣を振りかざし、「お前の負けだ、人間め」と唸った。ブラントが死を見上げようとしたその時、ゴーディの剣が空を切り裂き、トビーの手と武器を両断した。呆然としたトビーは、ゴーディの怯えた瞳を見つめた後、その鋭い爪をゴーディの腹部に突き立て、容赦なくねじ込んだ。ゴーディの内臓は裂け、血がどっと溢れ出した。


ブラントの頭蓋骨にブーツを乗せ、トビーは唾を吐きかけた。「お前は何一つ止められていない。」そしてロブソンに尋ねた。「ロブソン、大丈夫か?」


ロブソンはトビーの切り株のような手にシャツを巻きつけながら、「そちらこそ、と聞くべきだな」と答えた。「武器庫を攻めるか?」


トビーは片手を失ったことなど気にも留めず、「全ての抵抗は血の海に沈む」と答えた。「他の奴らを感染させ、半数を我らが軍の糧食として殺せ。」俺は自分の手の面倒を見る。


「武器庫に突入!」ロブソンがアンデッドを鼓舞した。ヴァリアントCがなだれ込み、虐殺が始まると、避難民の叫び声がゴーディの耳に鳴り響いた。


血に染まった泥の中に横たわりながら、ゴーディは生命が彼から流れ出ていくのを感じた。夜明けが近づき、空はピンク色の雲で柔らかく染まっていた。ヴァリアントCは、一時間もかからずに武器庫の人々を皆殺しにした。


せめてジェナは安全だ、と彼は思った。彼は、死という名の新しいフロンティアを歓迎した。彼は目を閉じ、地球の抱擁に身を任せ、眠りに落ちた。ヴァリアントCが、数時間後には彼の骨を綺麗にするだろう。


ゴーディは、ようやく安らかに眠りについた。

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