第4章、理沙、与田由美の霊にお別れを言う
理沙の仕事は美容師であった。早番の仕事で毎朝9時出勤で5時までが勤務時間であった。理沙は雨の日は霊が見える回数が多かった。お客様の中に時々、霊を連れて入店してくる女性が居た。霊がお客様の後に付いて来るのが見える。そんな時は匂いとBGMねノイズでわかる。この日め開店、一番の女性客が男の霊を連れて来た。「いらっしゃいませ。」従業員が全員で挨拶をした。入った瞬間BGMがバリバリとノイズが現れた。理沙は嫌な予感しかしなかった。担当の美容師がお客様に「こんにちは、お待ちしておりました。」と言ってお客様をカット台に座らせた。髪をカットし始める。男の霊は鏡の前でじっとお客様を見ていた。理沙は珍しく身震いがした。「あのお客様に悪い事が起こらないといいな?」と思いながら見ていた。シャンプーを理沙が頼まれた。シャンプー台に移った。霊はその後を付いて来た。男の霊はシャンプーの様子を覗きこんで女性の顔をニヤけながら見ていた。シャンプーが終わり担当の美容師と理沙は代わった。ブローが始まった少しするとセットした女性の髪を男の霊の触り始めた。理沙は鳥肌が立つのがわかった。久々に見る怖い霊だった。冷静にいられなかった。そこへ予約の理沙のお客様が入って来た。「いらしゃいませ。南野様お待ちしておりました。」理沙が挨拶をし、お客様をカット台に案内した。「南野様、本日はどのようなカットにいたしますか?」理沙は鏡の中のお客様の顔を見た。「このような感じでお願いします。」女性はスマホの中のモデルの写真を見せた。「だいぶ切りますがよろしいですか?」理沙は鏡の中のお客様の顔を見て優しく微笑んだ。「結構です。お任せいたします。」お客様は鏡の中の理沙の顔を見て微笑んだ。カットが終わりシャンプー台に移って貰った。シャンプーも理沙がやった。ブローをし、セットして出来上がるとセットをしたらお客様はニコニコ顔だった。「良いわ。最高、有り難う。」お客様は理沙の顔を笑顔でニコリ笑った。「お似合いです。よろこんで頂きたいて良かったです。有り難う御座いました。」理沙は笑顔でお客様の顔を見た。「有り難う。」お客様はニコニコ顔で帰って行った。その日はお客様も理沙が3人。先輩の杉谷さんが4人をカットした。二人は5時で終了した。交代の美容師が昼間、「そこの交差点で事故があったみたい。赤の軽自動車。」と二人に言った。理沙は、杉谷先輩に「朝一来たお客様、確か赤の軽自動車でしたよね。」理沙が確認した。「そうよ。大友さんって言うの。」杉谷が理沙の顔を見た。「その大友さんじゃないですよね?あの人、今日、男の霊が付いて居ました。それも悪意のありそうな霊でしたので心配して居ました。」理沙が杉谷の顔を見た。「あなた、霊が見えるのだものね。見ちゃたの?」杉谷が腕を擦りながら理沙の顔を見て身震いさせた。「はい。見えました。無事だと良いのですが」理沙は杉谷の顔を見て心配そうな顔を見せた。
5時で退勤して、車で城田刑事に電話し、警察署へ向かった。警察署に着くと受付で城田刑事をよんで貰った。暫く待って城田刑事が迎えに来た、「こんにちは河口さん、電話で話された事、上でゆっくり聞かせてください。行きましょう。」城田が理沙の顔を見た。理沙と城田はエレベーターに乗った。刑事部屋に通され応接ルームに入った。城田刑事と対面した。女性の刑事がお茶を持って来てくれた。「どうぞ。」城田刑事がお茶を勧めてくれた。「いただきます。」理沙は一口飲んで話を始めた。「昨晩、和田剛と言う両耳がない男の霊が現れ私に告げたんです。和田剛と言う男が与田由美さんを殺した犯人なんです。その霊が言う事だと本人はすでに殺されて死んでいるらしい。城田さん、和田剛って名前聞いた事ないですか?たぶん、変死事件になっているかと思います。その男は与田由美さんの前に違う女子高生を殺して居ると言ってました。遺体が◯◯町のセブンイレブンの裏の雑木林に埋まっているから掘り起こしてくれと言うんです。殺された女子高生の名前は、長谷川茉優と言います。行方不明リストにありました。確認して下さい。和田剛を殺した犯人は長谷川茉優の霊です。以上です。」理沙は城田の目を見つめた。「わかった。調べて見る。」そう言って城田は席をはずした。暫くするとパソコンを手に城田が戻って来た。「ありました。和田剛、こいつだ。見てくれ。」城田が理沙にパソコンの画面を見せた。「はい。この男です。」理沙が一つ返事をした。「あっ!ビンゴか!有り難う。被疑者死亡で幕だな?長谷川茉優もあった。与田由美と同じ高校だな。明日、捜索する。」城田刑事は理沙の顔を見た。「後、城田さん、本日の車の事故情報は聞いても教えてくれますか?気になる事があって!」理沙が城田刑事の顔を見た。「交通課だな。俺から電話して聞いてやる。」城田刑事は理沙の顔を見た。「◯◯交差点、午前中で赤の軽自動車です。」理沙は城田刑事の目を見つめた。「交通課?刑事課の城田です。本日、午前中に◯◯交差点の事故はどんな感じだったの?名前教えてくれない?中央分離帯に乗り上げ!名前は大友由香里さん、40歳。軽症。」城田刑事が理沙にわかるよう、口に出し言った。「大友由香里さんだって。中央分離帯に乗り上げか一歩間違えれば反対車線に出て正面衝突で死ぬ所だったな?」城田刑事が理沙の顔を見た。「有り難う御座いました。うちのお客様でした。軽症なら安心ですね。ああ、怖い?」理沙は泣いて喜んだ無事を確認出来た事に安心のあまり涙がこぼれた。「河口さん、いつも情報提供有り難うございます。明日、もうひっりを捜索いたします。結果はまた、お電話いたします。」城田刑事は理沙の目を見つめた。「宜しくお願いします。これから◯◯交差点に行って与田由美に会って、あちらの世界に帰ってもらいます。和田剛を探していますから死んでる事伝えないと地縛霊になりかねない。明日宜しくお願いします。」理沙は城田の目を見て優しく微笑んだ。「失礼します。」理沙は城田刑事に頭を下げて席を立った。「ご苦労さまでした。」城田刑事も理沙に頭を下げた。
理沙は◯◯交差点に着くと与田由美が立っていた。身体が綺麗になっていたのが車の中からハッキリわかった。雨の中びしょ濡れだった。理沙は車を降りて由美の元へ雨の中傘をさして走った。「由美ちゃん。こんばんは。まだ、見つからない?あなたを殺した犯人地獄に行ってるから見つからないよ。もう、死んでいる。名前は和田剛って言うんだ。本人が昨晩私の部屋に出たんだよ。由美ちゃんの学校で由美ちゃんの前に消息不明になった人いたの知ってる?長谷川茉優って言うんだよ。その子もまだ生き埋めになってる。明日、警察が捜索するって、だから、あっちの世界にかえりなさい。待っていても来ないから。和田からも頼まれた。あなた、可愛い顔してたんだね。今までドロまみれで素顔分からなかったから、」理沙は由美の顔をジロジロ見た。「河口さん。ワザワザ有り難う。今回はお世話になりました。さようなら。三途の川もう一度、渡ります。」由美は理沙と握手を交わした。「さようなら。また、何かあったら遠慮なくおあいでね。」そう言って、理沙は振り返ると由美はそこには居なかった。理沙は与田さんの家に電話した。お母さんが出た。「由美さん。あちらの世界に帰りました。お墓の場所教えてください。」理沙はお母さんに尋ねた。「ワザワザ有り難う。その節はお世話になりました。由美さんを殺した犯人は2年前に亡くなっていました。和田剛って男でした。」理沙はお母さんに尋ねた。「◯◯町の◯◯寺ってお寺、与田家先祖代々のお墓です。」お母さんは理沙に場所を教えた。「わかりました。失礼いたします。」理沙は電話を切った。