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第37話 【黒炎の誓いと、守るべき世界】

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 突如アルシェリアの戦火の夜は、始まっていた。


 魔族軍の先遣部隊がアルシェリアの地へ降下し、村の周辺に陣を張る。

 宙には黒い炎が舞い、空間そのものが焼け爛れていくような圧を放っていた。


「状況報告を頼む!」

 レオルが声を張り上げる。


「北西に魔族の機動部隊15体! 東に召喚陣の痕跡あり!」

 セラが飛翔しながら報告する。


「……そして、南には“イシュ=ヴァルト”本人と思しきエネルギー反応があるわ」

 ノアが記録紙を光らせ、読み取る。


「くそっ!いきなり来やがったか、、!」


 地面に降り立ったイシュ=ヴァルトは、すでに漆黒の戦衣に身を包んでいた。


「……や〜っぱり直接来たわね、イシュ!!」


 対峙する魔王と魔将。

 過去、地獄の試練場で幾度も拳を交えた旧知の間柄。


「来ると思ってたけどね……でも、あんた、こっちに来るのがちょっと遅かったんじゃないの?

こないだは“ゼルダにいいとこ”持ってかれちゃったしね〜♡」


 ディアボラがマントを翻し、レオルの前に立つ。


「ここはね、、“私の選んだ世界”なのよ。

 私にぶん殴られて泣く前に、黙って帰りなさい☆」


「……“選んだ”? ふふ、まさか“半神と共にある”って意味じゃないでしょうね?」


「そうだよ。レオルと共に創る世界、私はそれを守るって決めたんだよっ!」


 

 言い終えるや否や、ディアボラの足元から地脈が爆ぜる。


 「リリム!後ろ下がってな♡

 ディア姉ちょっと熱くなっちゃいそう…♡!!」

 

 リリムが下がった次の瞬間、彼女の拳が燃え上がり、地をえぐる火柱がイシュへと走る。


「[魔王式]•《爆焔砕陣•バースト・クイーン・クラック》ッ!」


 衝撃は空間を貫き、あたり一帯を覆い尽くす。

 

 しかし、、、


 「甘いね〜、、少し鈍ったか?」


 イシュ=ヴァルトが不敵に笑い両手を広げると、空間そのものが“熱を喰い取る”ように収束し、攻撃を無効化していた。


「“黒炎”はただの火じゃない。

 存在の概念すら焼き尽くす、“終末の熱”よ」


 

 「じゃあ、それを冷やすわ!」

 セラが空から急降下し、氷結の槍を投げる。


「[氷精舞]•《零度突槍グレイシャル・ランサー》!」


 氷と炎がぶつかり合い、衝撃波が空を二つに裂いた。


 その隙に、レオルが地を創造する。


「影響範囲を制限するために、この場所に“隔絶フィールド”を展開する!」


 彼の神核が輝き、地面に巨大な環が浮かび上がる。


「これで、村の方には被害が届かない……!」


「ナイスだ、レオル村長神! んじゃ、こっちも本気出すか!」


 バンザイが鍋を投げ上げ、叫ぶ。


「《熊猫爆飯陣・参ノ型・激熱餃子流星群!!》」

 天から降るは、爆発的火力を秘めた超高温餃子。

 

 まさかの食糧魔法兵器に、ミルが顔を覆って叫んだ。


「まって!? 調理方法間違ってない!? 燃えすぎてるぅぅぅぅ!!しかも食料無駄にしちゃダメー!!」


 ファルがそれを見て、思わず吹き出す。


「あはははっ!相変わらず、君たちは面白いね……」

 ファルは掌に拒絶の文字を浮かべる。


「だが、その“楽しさ”があるからさ、、、

 僕はこの世界を守りたくなる」


 イシュの背後に迫るファルの拒絶紋。


「[拒絶式]《反神の律動(ノン=コード)》ッ!!」


 その攻撃は、イシュの防壁を穿ち、彼女を一瞬後退させる。


「ッ……これは……拒絶系魔術!? 

 “あの実験体”か?なぜここに……?!」


 混戦の中、エルフィナが弓を構える。


「これだけ戦場が混沌としてるなら、、

 私の“必中”が活きる」


 風の加護を受け、矢に魔力を込める。


「[風断矢]《神速ノ閃エルフィン・スナイプ》ッ!!」


 その矢は音速を超え、魔族の副将格を一撃で仕留める。

戦況は五分、、いや、レオルたちが押し始めている。


 しかし、イシュ=ヴァルトは不敵に笑っていた。


「いいわ。やっぱり、あなたたちと戦うの、楽しいね」


「こっちは楽しくない。もう来るな。

 今度は本当に、命を削る戦いになるから」


 レオルが静かに言うと、イシュは小さく微笑んだ。


「じゃあ、“次”に会う時は、本気で奪いに来るわ…

 この“創造世界”を!!」


 その言葉を残し、彼女は部隊に撤退命令を出した。


「覚えておきなさい、“アルシェリア”、、

 私たち魔族が、本気になる時が来たのよ」


 戦が去り、夜が戻る。


 レオルたちは深く息を吐いた。


「ふぅ……なんとか、守りきったな〜」

 ディアボラが苦笑しながら、バンザイの鍋から残った餃子をつまむ。


「次は、もっと平和な夜にしたいね……」

 ミルが静かに呟いた。


「でも、次があるってことは、、

 まだ“希望”が続いてるってこと」


 ノアがそう言って、記録紙に戦いの記録を書き始めた。


 

 ファルは一人、空を見上げていた。

「アルシェリア……君の未来は、まだ白紙だ」


「だからこそ、、僕が記録する価値がある。

 そして“守る価値”がある」


 新たな戦いの足音は、確かに近づいていた。

 だが、レオルたちはもう恐れない。


 彼らには、守りたい“世界”があるから、、、。



           続

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