第33話 【来訪者の影】
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アルシェリアが生まれたその夜。
アルシェリアに星はなかった。
なぜなら、まだ【星の概念】が生まれていないからだ。
それでもレオルたちは、火を囲み、宴を楽しんでいた。
ディアボラとバンザイが競うように肉を焼き、ミルとセラが魔法の火力でデザートを仕上げる。
ファルはやや離れた場所で空を観測し、ノアは記録紙を片手に皆の様子を微笑ましく見守っていた。
「これが……新世界の、最初の夜か〜」
レオルは火を見つめながら、ぼんやりと呟いた。
「なんか不思議な感じだな。
まだ何もないのに、ちゃんと“ここにいる”って感覚がある」
「うん。きっと、それが“命の始まり”なんだよ」
ミルが微笑みながら、手渡した甘い実のスープをレオルに差し出した。
「……美味しい!」
「でしょ〜? この世界で初めて収穫した実なんだよ! “ミルの実”って名付けていい?」
「あははっ、名付け早いな……」
その時だった。
、、 ズズン……。
大地が、揺れた。
「……っ!」
ノアの記録紙が震え、何かを探知する。
「高エネルギー反応。次元境界から強引に“進入”してくる……これは、敵意を持った来訪者」
「どこからだ?」
「魔界の深層。しかも単体じゃない、部隊編成……
いや、“侵略行動”と見て間違いない!」
レオルがすぐに立ち上がる。
「もう来るのか、アルシェリアに……!」
「“創られたばかりの世界”は、定着するまでが一番脆い。それを狙ったんだわ……!」
ノアが顔を曇らせた時、、
空に、“亀裂”が走った。
漆黒の口が、アルシェリアの空に穴を開ける。
そこから、魔族たちが現れた。
黒い装甲と赤い刺繍を纏い、空中に並ぶ戦闘集団。
そしてその中心にいたのは、、
あの新女魔将だった。
「、、お久しぶりね、いや、初めましてかしら?
半神くん♡」
女魔将、イシュ=ヴァルト。
魔族の戦術と軍事を束ねる、“黒炎の統帥”の異名を持つ。
「どうやってここに……」
レオルが警戒を強める。
「創造神が誕生した瞬間、魔界全域に“共鳴波”が走ったわ。それが道標になったのよ」
「つまり、アルシェリアが出来たら来る気満々だったってわけだな……」
バンザイが鍋を構える。
「アルシェリアは……渡さないぜ!!」
「ずいぶんと凶暴なパンダちゃんねぇ〜!
ふふ、勘違いしないで? 別に“あなたたち”を倒したいわけじゃないの」
イシュ=ヴァルトは艶然と笑い、黒いマントを翻す。
「私はただ、“創造されたばかりの世界”を、先に“所有”したいだけなのよ。所有権って、最初に座った者の勝ちでしょ?」
「馬鹿どもがっ!!なら、正面から叩き返すだけだ!」
ディアボラがすでに炎を纏い構えを取っていた。
「私たちの世界に、勝手に足を踏み入れようなんて……戦いをやめられない魔族どもめ!
私の乳揉ませる前にぶっ飛ばしてあげるわ♡」
「んー?そのセリフって使い方あってる?」
セラが慌ててツッコミを入れるも、すでに魔族の尖兵たちが地上へと降下し始めていた。
「レオル、交渉は無理そうね……」
ノアが口を固く結ぶ。
「そうだな!ファル、どうする?」
その問いに、ファルは小さく笑った。
「ふふっ…アルシェリアを観測するならさ……
その“破壊の可能性”も含めて記録しなきゃいけないよね…」
光子のような拒絶紋が彼の指先に浮かぶ。
「けど、それでも“守る”って決めたからね。
君たちの居場所を、僕も守ろう。
やることは一つ、、“全員拒絶”だよ☆」
「ありがとう、ファル」
レオルが力強く頷く。
「みんな! “アルシェリア防衛戦”、開始だ!」
夜空の下。
新たなる世界アルシェリアは、誕生したその日から侵略に晒される。
けれど、そこには、、、
守りたい仲間と、築きたい未来がある。
レオルたちの“創造”は、まだ始まったばかりだ。
続




