第32話 【新たなる世界、名を与えよ!】
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光の渦が、空と大地の境界を溶かしていく。
原初の審問を越えたレオルたちは、七つの柱が生んだ“真なる玉座”の前に立っていた。
そこには、誰も座っていない。
だが、玉座は確かに“主”を求めていた。
「これが……“創造の座”」
ノアが震える声で呟く。
「神ですら座ることを許されなかった、世界設計者の玉座。いま、この時代に再び現れたなんて……!」
「ということはさ、、!」
ファルがゆっくりと前へ歩み出る。
「レオル。君はこの場所に、“世界の名”を刻まなきゃならない。そうすることで、この空白の世界に“根”が生まれる」
空白の世界、、、
それは地形も、空も、命も、言葉も、星も、何一つ存在しない空間。
神々が一度だけ試み、しかし未完成のまま放棄した、“原初のキャンバス”。
今、そこに立つ者こそが、新たな“創造神”となる。
「でもさ……名前って、どうやって決めればいいんだろね?」
ミルが首を傾げる。
「かつて旧神たちは、命名によって法則を刻み込んだ。“名”には、その世界の在り方が宿る。
だから、名前とは“誓い”そのもの」
ノアが記録端末を開きながら説明する。
「誓い……か…」
レオルは目を閉じる。
思い出すのは、村の始まりだった。
初めて創った小屋。
ミルがくれた、温かい朝食。
ポポのモフモフ。
セラの澄んだ声。
バンザイの騒がしい笑い声。
ルーナの照れた視線。
ディアボラの強くて優しい拳。
エルフィナの凛とした弓。
ノアの静かな観測。
ファルの孤独な瞳。
「……俺たちはさ、、“居場所”を作りたかったんだ。
誰にも否定されない、誰でも“笑える世界”を」
レオルはゆっくりと、玉座の前に立つ。
創造核が脈動し、手のひらに白い光が集まる。
そこに、、一文字、また一文字、言葉を紡いでいく。
「この世界の名は、、、《アルシェリア》」
光が一閃する。
その瞬間、空白だった大地に命が芽吹いた。
草が風に揺れ、空に雲が浮かび、水が流れ、音が響く。
、、、世界が、生まれた。
「すっ、すご……すごぉぉぉぉぉぉい!!」
ミルがぽかんと空を見上げ声をあげる。
「ちゃんと、風の音がする。水の音も……!」
「大気の組成、安定確認。魔力流動も均衡……この世界、“生きてる”わ!」
ノアが感極まった声をあげた。
「アルシェリア……いい名前だね〜♡」
ディアボラが嬉しそうにレオルに胸を押し付け肩を抱く。
「平和の誓いって感じがして、私は好きよ!」
「ふん、まあまあね。私が命名してたらもっとかっこよかったけど?でも、、アルシェリア…悪くないね」
「ふふっ☆ルーナ気に入ってんだね〜♪」
ルーナが照れ隠しに言って、ミルにツッコまれる。
「レオル。これで本当に、“創造神”になったんだな」
バンザイが腕を組み、にやっと笑った。
「つまり、今後の我は“神様の専属コック”ってわけか! うちの厨房も神仕様によろしく頼むぜ!」
「バンザイ、それはすでに神格の無駄遣いのような気がするよ……」
セラが苦笑しながらツッコミを入れた。
その中で、ファルだけが静かに空を見ていた。
誰よりもこの世界に憧れながら、それを拒んできた彼が、、今、その世界の誕生を見届けている。
「ファル。世界が出来たけど、これからどうする?」
レオルが声をかけると、彼は少しだけ肩を竦めた。
「僕は、君たちの“失敗”を観測する役割でもいいと思ってた。でも、、」
そう言いかけて、ふと笑う。
「あははっ!この世界、もっと面白くなりそうだしね。まだまだ観測し足りないや☆」
「あははっ!なら、決まりだな。
これからも一緒に、、」
「ちょ〜っと待ったぁぁぁ!!」
バンザイが手を挙げて叫ぶ。
「創造神の誕生を祝うのに、“宴”がないなんてありえない!」
「おっ♡出たな〜、パンダシェフ!」
ディアボラがノリよく答える。
「新世界だろうと、なんだろうと腹は減る!
料理用創造ポイント、ここで使わせてもらうぞ!」
バンザイが叫び、レオルの[創造]の力を借りて、光の中に大規模キッチンとテーブルセットを具現化する。
「オープン! 《世界樹厨房・アルシェリア支店》だ!!」
「「「あはははは」」」と吹き出す仲間たち。
その中で、ファルも少しだけ笑って呟いた。
「あはは、、ほんとに君たちと一緒にいると面白いよ!」
こうして、世界アルシェリアは産声を上げた。
争いなき世界。拒絶のない世界。
理想は、まだまだ遥か遠い。
だが、創造の第一歩は、確かにこの時、刻まれた。
そして、、、
光の遠く、まだ見ぬ“旧神の遺産”が、静かに目を覚まそうとしていた。
続




