第29話 【神なき楽園への招待】
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天蓋制裁部隊との激闘から、数日が経った。
傷を癒やす間もなく、世界は静かに“変化”を始めていた。
「これ、見て。空の座標層が……動いてる」
高台に立つノアが、空を見上げながら指を指す。
その先にあったのは、虹のように歪んだ光の道標。空間の裂け目が再び現れ、その先に“何か”が呼んでいた。
「“最果て”……?」
ミルが小さくつぶやく。
「これは、座標軸そのものの書き換え。旧神たちが遺した世界の中でも、最も危険で、最も神に近い場所、、」
「“神なき楽園”の領域か」
レオルが言葉を継ぐ。
「そうだと思う。たぶん、ここから先が“最後の階層”」
ノアはそう断言した。
「じゃあ……この旅も、そろそろ“終わり”に近づいてるのか?」
バンザイが呟いた。鍋の柄を磨きながら。
「いや、始まりだよ」
ファルがそっと言った。
「そこは、“神すら届かなかった領域”。創造も、秩序も、法も、すべてが剥き出しになった“真の可能性”の渦。その中心で、僕たちは選ばれる。
創る者になるか、壊す者になるかを、、ね」
「……それって、すっごく緊張するやつじゃん♡」
ディアボラが苦笑して伸びをする。
「まっ、でもさこういうときはアレでしょ?」
彼女が合図するように手を叩くと、後ろで準備していたバンザイが立ち上がる。
「おう!宴の準備、完了してるぜ!」
◇ ◇ ◇
その夜、、、
神殻戦域の近く、浄化した土地に簡易の食卓が並べられた。
焚き火が灯り、村の仲間たちが囲んでいた。
「カボチャのスープ、甘めにしてあるよ。
リリィに優しい味つけにしてあるみたい」
セラが微笑みながら、器を手渡す。
「ありがとう、セラお姉ちゃん……」
「こっちはね、ミルが採ってきた薬草で煮込んだ特製カレーだよ♪」
バンザイが鍋を開けると、スパイスの香りがふわりと立ち上がる。
「ん〜☆いい香り!!あぁぁぁぁ!おなか減った♡」
ディアボラが早速スプーンを握りしめ、ぱくりと口に入れる。
「うまぁ!やっぱ戦いの後はこれだわ!」
「はふっ、ちょっと辛いけど、元気になる味……!」
ミルももぐもぐと頬張りながら笑う。
ファルは少し離れた場所で、一人椅子に腰かけ、空を見上げていた。
、、、が、次の瞬間。
「ぐぅぅぅ……」
腹の音が、沈黙の場に響きわたった。
「……!?えっ?僕??」
ファルが驚いた顔をする。
バンザイがニヤリと笑いながら皿を差し出す。
「はいはい、拒絶者さんもバンザイ特製カレーは拒絶出来ないみたいだな!!」
「ははっ……ありがと。いや、うん、これは拒絶できないわ」
ファルが少し照れたようにカレーを受け取ると、一口、、、
「ふぁぁぁん!……うん、うまい。うん。
“拒絶不能”」
仲間たちの笑い声が、夜空に響いた。
焚き火の光が揺れるなか、レオルはそっと立ち上がった。
「この旅は、たぶん、ここからが“本番”なんだと思う」
彼の言葉に、全員が耳を傾ける。
「神なき世界。その楽園で、俺たちの“意思”が試される。何を創るのか、誰と歩むのか、、」
レオルの目が、一人ひとりの顔を見つめていく。
「でも、俺は信じてる。これまで通り、一緒に進めば、きっと“争いのない世界”が創れるって」
「うん!」
「もちろん!」
「だって、私たち、最強だしね♡」
「おうよ!」
ファルも静かにうなずいた。
「……君たち面白いからさ。飽きるまで付き合ってあげるよ、創造主さんたち!あと…パンダ飯が美味すぎる、、」
みんなの笑い声が響き渡る。
焚き火の元で、仲間たちの絆が、またひとつ強く結ばれた。
続




