第21話 【ヴォイドの檻と、記されなかった未来】
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、、、また空間が軋みだす、、。
霧の奥から現れた巨大な存在、“拒絶者の王”ヴォイド=マーダは、あらゆる法則を否定するような佇まいで、レオルたちを見下ろしていた。
片側が白骨、もう片側が結晶という不均衡な体躯。常に“形を持たない”まま揺らめき、見る者の認識すら狂わせる。
「こいつ……本当に、“生きてる”のか?」
バンザイが思わず呟いた。
「“否定された世界”そのもの……意思じゃない。
“否定”という現象が、ひとつの意志を持って動いている。 それがヴォイド=マーダよ」
ノアが固い声で説明する。
「そっか。つまり、“存在するだけで迷惑な奴”ってことね♡」
ディアボラが拳を鳴らす。
「だけど、倒すだけじゃダメだ。……ファル?」
レオルが横を向く。
ファルは静かにその巨大な影を見つめていた。
「……昔、僕はね、、、
世界から拒絶された後、この場所に“閉じ込められた”んだ」
その声は淡々としているようで、かすかに震えていた。
「ここで、誰にも見られず、誰にも理解されず、誰にも記録されなかった。
唯一、僕に言葉をくれたのがさ、、、
“あいつ”だったんだ」
ファルはヴォイド=マーダを指差す。
「つまり、君はかつての“友達ちゃん”ってわけか?」
ルーナが言うと、ファルは小さく笑った。
「うん、皮肉だけどね。
あいつの中には、“僕が拒絶された痛み”が混ざってる。 だからさ、、完全に否定できない」
「……ならさ、その痛みごと、受け止めてあげようよ」
ミルがファルの手を握る。
「ファルがここにいるってことは、、
あいつも“救われたい”のかもって、思いたいんだ」
「ミル……ふふっ、君は…ずるいな」
ファルの目に、わずかな光が戻った。
次の瞬間、ヴォイド=マーダが咆哮をあげ、周囲の空間が“無音”に変わる。
すべての音が吸収され、時すら凍りついたかのような中、、、
「来るぞっ!!」
レオルが叫び、咄嗟に“創造の障壁”を展開。
それをかき消すように、ファルがその前に立つ。
「レオル、僕に任せて。ここは僕が、ケリをつけるよ」
その瞬間、、、
ファルの身体から、拒絶の回路が広がった。
周囲の法則が反転する。
「[拒絶演算式]•《最終段階•《白き断罪ゼロ・ジャッジメント》」
彼の周囲に三つの記号が浮かぶ。
それぞれが【観測】【記録】【創造】の否定形を表していた。
「これは、かつて僕が創ろうとして、、
拒絶された“存在証明の演算式”。
あいつがそれを、“歪んだ形”で使ってるんだ」
「つまり……ファルは、その“否定式”を正しく制御できる唯一の存在ってことか!」
レオルが理解し、力強く頷いた。
「いけ、ファル! 俺たちが後ろを守る!」
ディアボラが拳を掲げ、セラとエルフィナが左右から支援を構える。
「氷結結界、展開!」
「支援射撃、照準完了!」
ルーナの影がファルの背を守り、バンザイが叫ぶ。
「終わったら、祝勝会だからな!! みんなで無事に帰ろうなっ!!」
ファルは微笑み頷いた。
「、、ありがとう。
じゃあ、僕もそろそろ、“仲間らしくかっこいいところ”を見せないとね☆」
ファルはゆっくりと歩き出す。
一歩ごとに、世界が拒絶の色から“記録”へと書き換えられていく。
そして、、ヴォイド=マーダの目前へと立つ。
「君は僕だった、、、。
そして、君が終わらなければ、僕の過去も終わらない」
「でも、今の僕にはさぁ!
“帰る場所”があるっ!!」
ファルは両手を掲げ、拒絶の回路を構築。
「さようなら、“記されなかった僕”、、」
「[存在承認]•《終式終壊》」
世界が一度、真っ白に染まった。
音も、視界も、痛みもすべてが無音に包まれる。
そして、、、。
ファルは、、静かに立っていた。
ヴォイド=マーダは消え、ただ、空間の中心に“光の花”のような紋章が咲いていた。
「やったのかぁ……!?」
ミルが駆け寄る。
ファルは苦笑して答えた。
「うん……多分、“拒絶された僕”に、ようやく“さよなら”を言うことができたよ…☆」
後日、、、
村に戻った一行は、祝勝会を開いた。
いつものようにバンザイが料理を振る舞い、ファルは照れ臭そうにその輪の中へ入っていく。
「……ま、君たちといると飽きないし☆
もう少し一緒に居させてもらおうかな☆」
「あははっ!じゃあ、これから“一緒に世界を創る”仲間ってことで、正式によろしくな!」
レオルが笑う。
「あっ、うん……うん、よろしく☆」
ファルの瞳に、温かい光が宿っていた。
拒絶の彼方に見つけた、未来の形。
ファルとレオルたちとの物語は、ここから始まる。
続




