第11話 【裁定の都市メギドと、神なき裁判】
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、、、扉が開く。
白紙の書に導かれるまま、レオルたちは“裁定の都市メギド”へと足を踏み入れた。
そこは、すべてが白と灰でできた都市だった。
建物は静止した彫像のように無人で、空には太陽も月もない。
ただ、どこかから聞こえる鐘の音だけが、時間の流れを告げていた。
「……まるで“過去が止まった都市”みたいね」
エルフィナが周囲を見渡しながら呟く。
「ここが、“創造の是非”を裁く都市……。空気が張り詰めてる」
セラは氷の羽を震わせながら言った。
「“神なき裁判”って、どういう意味なんだ?」
バンザイが鋭く問う。
答えたのは、ノアだった。
「この都市では、“創造”の資格を“世界”そのものが判断するの。
つまり、神も審判には関与できない。
“観測された行動”だけで、裁きが下されるわ」
「ええと……つまり、私たちが今までやってきたこと全部が、“記録”として評価されるってこと?」
ミルが不安そうに問うと、ノアは静かに頷いた。
「あはは!私、悪いことはしてないし、たぶん大丈夫でしょ♡」
ディアボラが軽く笑うが、どこか緊張の色がある。
そのとき、都市の中央に浮かぶ塔が音を鳴らした。
、、、ゴォォォン……。、、ゴォォォン……。
「審問の時刻みたいだ。行こうか」
レオルが静かに言い、仲間たちが頷いた。
裁定の塔の中心には、“玉座”があった。
そこに誰も座っていない。
だが、声が響く。
『神核所持者、レオル=アーク。
および同行者たち。創造の権限について審理を開始する』
『今問う、、お前たちは、何のために“世界”を創ろうとするのか?』
「……俺たちは、“争いのない世界”を創るために、旅をしている」
レオルが真っ直ぐに答える。
「かつて俺は、“モンスター”だった。
そして、命を懸けて人間の王女を守り、死んだ。
でもそれでも、誰にもその行いは“記録”されなかった、、、
そんな世界を、俺は変えたい」
『その動機、確認。次の問』
『創造によって、他者の秩序を破壊する可能性を理解しているか?』
「理解してる。それでも、俺たちは“共存”の形を探すつもりだ」
「あーもう!ねぇ、質問ばっかじゃなくて、そろそろ我の料理でも食うか?」
バンザイが割って入り、ルーナの影から巨大な鍋を取り出す。
「この俺が作った、世界一平和なスープ! 飲んでから判断しなって!」
バンザイの冗談に、仲間たちが笑った。
その空気のなかで、塔の玉座の周囲が静かに輝く。
『判定中……判定中……』
塔に浮かぶ無数の記録球体が回転し、光を放ち始める。
そこには、、、
レオルたちが村を築き、仲間を助け、敵とも和解しながら進んできた“記録”が投影されていた。
、、ミルを救い
、、ポポを愛でて
、、セラを受け入れ
、、バンザイと協力し
、、ルーナを許し
、、ディアボラと共に戦い
、、ノアの記録を取り戻し
、、かつて自分を殺した“人類”すら赦して。
『判定完了、、仮創造者、レオル=アーク。』
『創造の権限、部分解放』
その瞬間、レオルの神核が光を放ち、回路のような紋章が体表に浮かび上がる。
「これは……」
「“創造者の書式”よ。神の代理ではなく、、
“創造の書き手”として認められた証」
ノアが感極まったように呟いた。
「つまり、俺たちは、、“自分の手で、世界を描ける”ってことか」
レオルが静かに拳を握る。
、、だが、そのとき。
裁定の塔の最奥、閉ざされていた扉が“自動的に”開いた。
中から現れたのは、、
「ふふっ……ようやく見つけたよ」
白衣に身を包み、目に深い蒼を宿す青年だった。
「君が、“新しい創造者”?か。ふふっ……“最悪”だね」
「……お前?」
「僕の名前は《ファル=アヴァロン》
この世界で、“創造”に最も近づいた存在、、
そして、すべてを拒絶した者さ」
その姿を見たノアが、息を呑んだ。
「まさか……生きていたの!?」
「あはは、、記録されなければ、死んだことにはならない。だろ?」
ファルは嘲笑を浮かべ、レオルの前に立つ。
「“世界創造”、、ふふっ!君には無理だよ。
僕が証明してあげるよ」
光と闇が交差し、裁定の塔が再び震え始めた。
次なる戦いの幕が、静かに開こうとしていた。
続




