第8話 【異形の巫女と神の敵の胎動】
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ファル=アヴァロンとの戦いから数日が経った。
創世の大地に立つ仮設拠点では、仲間たちが休息を取りつつ、次なる探索に備えていた。
空はどこまでも澄んでいて、地には星のような輝きが浮かぶ。
空間の法則すら不確かなこの場所は、神の意志がまだ息づく“原初の世界”だった。
拠点中央の広場では、ミルとセラが物資の整理をしていた。
「ん〜?この氷魔石、もう少し保存効率上げられないかなぁ……あ、でもこっちの神花のエキスと合わせたらどうかな?」
「その組み合わせ、試してみましょうよ。
火薬と混ぜたら爆発するけど、冷却にはちょうど良いかも」
「えぇぇぇ!? 爆発は困るよ!」
二人のやりとりに笑い声が響くなか、ディアボラは木の枝に寝そべりながら欠伸をする。
「ふあぁぁぁ……戦いも悪くないけど、こういうのんびりした日も大好き♡」
「……本当にあんた、魔王なの?」
ルーナが呆れ顔でつっこむが、ディアボラは満面の笑みで返した。
「だって、レオルたちといると楽しいんだもん♡」
そんな中、、、
ノアが、遺跡の奥から戻ってきた。
手には、煌めく金属の板、、神代の石板を抱えている。
「……皆、ちょっと集まって」
石板を地面に置き、魔力を流すと、、文字が浮かび上がる。
《警告、、神の敵、“拒絶者”の残滓がこの地に存在》
「拒絶者……ファルだけじゃなかったの?」
ミルが声を落とすと、ノアが静かに首を振る。
「ファルはその一端に過ぎない。
ここには、より強く、より深い“敵”が眠ってる。
……これは、私たちの旅の核心に関わるかもしれない」
その時だった。
空気が揺れた、、、
空の裂け目から、青白い光が差し込み、、
そこから、一人の少女がふわりと舞い降りてきた。
年の頃は十六、七歳ほど。白銀の髪、透き通る肌、そして、、背中に咲くように浮かぶ“神紋”。
「……えーっと、、どちら様?」
レオルが問うと、少女は静かに口を開く。
「私は“巫女”。この地に封印された、“神の敵”を見張る者」
「巫女……?」
少女はゆっくりと地に足をつけると、石板に視線を落とした。
「……封印の鎖が、断たれつつある。
間もなく、“彼”は目覚める。
私では……もう、止められない」
「“彼”? “神の敵”の中枢ってこと……?」
ノアが緊張した表情で訊ねると、巫女はわずかに頷いた。
「名を持たぬ存在。概念そのものが毒と化した……
“否定の王”」
その言葉を聞いた瞬間、空間がビリリと軋んだ。
遠くから、重低音のような唸りが響く。
それは言語にすらなりきらない、“存在するだけで破壊する”波動だった。
「……この感じ、、最悪だね〜」
ディアボラが目を細める。
「この前のファルとは、段違い。魂が冷えるような感覚……これ、普通じゃ持ってないよ」
「どうする、レオル?」
エルフィナが弓に手をかけながら訊ねると、、
レオルは、力強く前を見据えた。
「行こう。いずれ止めるべきなら、今のうちに封印の深層まで行って、確かめる」
「ふふん、任せなさい! “否定の王”だろうがなんだろうが、このディアボラ様の敵じゃないんだから♡」
「私も……一緒に行く。きっと、あの奥には何かがある。神の記録を超える“真実”が」
ノアの眼差しは、巫女のものと重なり合う。
そして、、、。
光の巫女がそっと口を開いた。
「お願い……この地を、“救って”」
「あぁ、任された。俺たちの旅は……まだ始まったばかりだからな」
レオルが仲間たちに目を向けると、それぞれがうなずいた。
「“否定の王”か……名前からしてやばそうだけど、やるしかないっしょ!」
バンザイが笑いながら二刀を担ぐ。
「薬草も回復アイテムも完璧に準備してある。後はあなたたちの“体力”ね」
セラがきりっと答えた。
「なら、私も全力で影のサポートに回るわ」
ルーナが静かに微笑む。
「……ぜったい、帰ってこようね!」
ミルの小さな手が、レオルの指にそっと触れる。
「当たり前だ。俺たちは、、“帰る場所”を、守るために行くんだから」
かくして、レオルたちは“否定の王”が眠る封印の地へと向かう。
次なる戦いは、世界そのものの構造に踏み込む、かつてない“真理”との対決。
だが彼らは、決して屈しない。
、、誰一人、欠けることなく。
続




