第1話 【穏やかな日々、そして新たな兆し】
春の風が優しく吹き抜ける。
あれから、、コルネリオとの決戦から、三ヶ月が経過していた。
「はーい、みんなー!お野菜取れたよーっ!」
ミルの明るい声が村の畑に響き渡る。
整備された畑には、色とりどりの野菜が並び、ミルは抱えきれないほどの作物を背負っていた。
「うんうん、今回のトマトも上出来! やっぱ土壌改良の創造魔法はすごいなぁ〜!」
村の中心では、バンザイが屋台を広げ、今日も料理の準備をしていた。
「今日は野菜シチューと焼き魚だ。ディアボラ用に激辛バージョンも用意したぞー!」
「おっ、さっすがバンザイ。私の好み、わかってるじゃ〜ん♡」
ディアボラはいつものように、大きな胸元が大胆に開いた服を着て、笑いながら椅子に腰かけていた。
その膝の上にはポポが大きなあくびをしている。
明るく豪快、でもこの村ではすっかり“面倒見の良い姉御”として定着している。
セラは村の南の湖で、静かに氷の魔法を使って水を整えていた。
「魔力循環も安定してきたわね……ふふっ、これで水浴びも快適よ」
一方、エルフィナは弓の調整を終え、丘の上から村全体を見渡していた。
「ふぅ、……穏やか、ね」
風に揺れる髪。目を細めながら、エルフィナは小さく微笑む。
「ふふ、レオルがこの村を始めてくれたおかげ。居場所って、こういうものなのね」
村の外れの日陰では、ルーナが気持ちよさそうに昼寝をしていた。
、、そして、村の北にある高台。
そこでは、レオルがノアと一緒に地図を広げていた。
「“創世の門”の観測波……ついに反応が出たわ…」
「……やはり動き出すのか?」
ノアは小さく頷いた。
レオルの神核が胸の奥で、じわりと熱を帯びる。
「でも、まだ出発は先でいい。みんなの幸せな日常をもう少し、守ってやりたい」
「うん。そうだね、私も同じ気持ち、限界まで待ちましょう」
ノアは、もう観測者ではない、、
“仲間”として、その言葉を返した。
村は今、かつてないほどに豊かで、穏やかだった。
建物は増え、住人は30人を超えた。
鍛冶場や学校、温泉施設、さらには“図書館”まで建築されつつある。
その中には、王都や魔族の側から来た者たちもいた。
そして今は皆、「この村こそが居場所だ」と語る。
その夜。
村の広場では、小さな宴が開かれていた。
ミルとディアボラはダンスを披露し、バンザイが鍋を振るい、セラが氷の彫刻で幻想的なオブジェを創り出す。
ルーナは影から現れ、こっそり皆に冷たい飲み物を配っていた。
レオルはその中心にいて、穏やかな笑顔で皆の姿を見守っていた。
「幸せだな……これが、俺の望んだ光景だ」
ふと、エルフィナが隣に腰かけてきた。
「でも、長くは続かないかもしれないわ」
「ああ、分かってるよ。世界はまだまだ…創り変えなきゃならない」
そのとき、、、
「レオル。来たわよ」
ノアが手に“記録紙”を持って現れる。
そこには、かすかに光る文字が浮かび上がっていた。
《創世の門、観測波強度第六段階突破》
《扉が開かれる準備が整いました》
「早かったな…もう出発か、、」
レオルは立ち上がり、仲間たちに目を向ける。
「みんな、、そろそろ、“本当の旅”に出る時だ」
広場の笑顔が、静かに揺れた。
だが、誰も不安な顔はしていない。
この村は、“帰ってくる場所”として、しっかりと根を張っていたからだ。
その夜。レオルは空を見上げた。
満天の星空の下、神核が脈動する。
、、、“創造”の力が、再び動き始める。
続




