第60話 【禁域への潜入と、偽りの神々】
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王都・地下聖堂。
かつて“神の声”が聞こえたとされるその禁域は、今では誰も近づくことすら許されない闇の聖地と化していた。
レオルたちは、ついにその奥深くへと足を踏み入れていた。
「ここが……王都の本当の心臓部か」
レオルが足を止め、目を細める。
神殿の壁には古代の神文が刻まれ、天井からは淡く金色の光が降り注いでいた。だが、それは神聖ではなく、どこか歪んだ輝きだった。
、、、ギィ……。
奥の扉が開く音。
そこにいたのは、かつて倒した、王都の統治者の一人、“枢機卿コルネリオ”。
「よくぞ来たな!半神よ。そしてその眷属どももな」
彼の姿はもはや人ではなかった。
全身に神核のような光が埋め込まれ、異形と化した姿。
かつてのコルネリオはもういない、、
これは“神になろうとした人間”の末路だ。
「お前……神の力を奪って融合したのか……?」
「奪ったのではない。人類が“進化”するための儀式だ」
「進化……? そのために何人殺したんだ。どれだけ歪めたんだよ……!」
「全ては“神の代行者”を生むためだ。貴様のような、偶然の産物など不要!」
バンッ!
コルネリオの手が掲げられ、天井の紋章が起動する。
神殿全体が震え、禍々しい魔力の柱が天を貫く。
「くるぞ、みんな構えろッ!」
レオルの叫びと共に、仲間たちが前に出る。
「[双牙]•《烈風連舞!!》」
バンザイが風を切り裂くように突撃し、
「《氷花結晶陣》!」
セラが氷の結界で敵の動きを封じる。
「《紅蓮貫矢・三連装》!」
エルフィナの矢が正確にコルネリオの装甲を砕く。
「[影歩]•《絶影牙》ッ!」
ルーナの奇襲が敵の背後から炸裂する。
「[魔王術式]・[紅蓮炎舞フレアダンス]♡」
ディアボラの炎がコルネリオを包む。
だが、コルネリオは不敵に笑う。
「この身体は“神核”によって構成されている……お前らの攻撃では、届かん!」
彼が両手を広げると、神殿の壁が崩れ、黒い“神格体”のような者たちが現れる。
旧王国が封印していた失敗作たち、、
“神を模倣しようとした人工生命”。
その数、十数体。
「くっ、やっぱり雑魚じゃねえ!」
レオルは拳を握る。
「[原初創造]•《連結拡張》全員、俺の加護に乗れ!」
レオルの身体から光が放たれ、仲間たちに“創造加護”が宿る。
それぞれの力が増幅し、連携が一段と高まる。
、、、そして。
「レオル、やらせて!」
ノアが前に出る。
その手には、“観測者”としての最後の記録。
「私はもう、ただ記録するだけの存在じゃない……今こそ“本当の仲間”として戦わせて!!」
ノアの背後に、記憶の光が渦巻く。
歴史を記録し、書き換える力。
「[記録改変]•《偽神の根源・露呈》!!」
コルネリオの肉体が揺れ、核の一部が暴かれる。
「今だっ!!!!」
「[原初創造]•《神核砕き・断光結晶!!》」
レオルの掌に、眩い光の槍が生まれ、コルネリオの胸を貫いた。
「バカな……こんなはずでは……!我こそが……真なる……!」
、、、砕ける神核。
神殿が崩壊を始める。
「みんな、脱出だ!」
仲間たちは間一髪で外へと飛び出す。
神殿が崩れ落ち、王都の空に光の柱が昇った。
、、神が、人間たちに敗北した瞬間だった。
そして、、、。
「終わった、のか……」
レオルは夜空を見上げた。
仲間たちは無事だった。ノアも、ルーナも、セラも、皆、そこにいた。
だが、彼は知っている。
これは、物語の“最初の結末”に過ぎないということを。
「さぁ、帰るか。俺たちの、村へ」
仲間たちの笑顔と共に、レオルは歩き出した。
新たな“創造”の始まりを胸に抱いて、、、。
続
2…