第48話 【開戦前夜、迫る魔族の尖兵】
見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。
“盟約の夜”から数日が経った。
村には静けさと共に、かすかな緊張が漂っていた。
温泉から上がったセラがタオルで髪を拭きながら、レオルに声をかける。
「最近、空気が変わってきてるわね。森の魔力が、微かに荒れてる」
「ああ……俺も感じてた。多分、“来る”ぞ」
レオルは村の北、険しい山の方角を見やった。
そこには、魔族の本拠地《黒峰の都》があるとされていた。
そんな折、、、
「緊急だッ!! 北の監視塔に“不明の魔族群”接近中ッ!」
ルーナの影から飛び出した分体が、村の広場に報告を届ける。
「数は!? どれくらいだ!」
バンザイが武器を構えながら問う。
「小規模……尖兵部隊だと思われます。が、先頭に“将級”が混じってる可能性があるわ」
「……やはり、偵察じゃなく“威圧”か」
エルフィナが顔をしかめた。
「ばかどもが…皆殺しにされたいんだね〜♡」
ディアボラがニヤニヤした。
「うぅ〜……せっかくお風呂でゆっくり温まったのに……」セラがぷくっと頬をふくらませる。
「でも……やらなきゃね」
そう言って、氷の羽を広げた。
レオルは静かに頷いた。
「行くぞ。今回は“防衛線”じゃなく、“迎撃”だ」
仲間たちはそれぞれ持ち場に散り、北門へと向かう。
北の草原、、、。
夕暮れを背に現れたのは、漆黒の甲冑を纏った“魔族の尖兵部隊”。
先頭には、一際目立つ白銀の魔族の男がいた。鋭い四肢、骨の装飾を施した肩当て。
背中には異形の双翼。
「ふむ……ここが“半神”の拠点か。ふっふ、こじんまりしているが……妙に居心地が良さそうだ…。
ここを滅茶苦茶にしてやったら、さぞ気持ちいぃだろうな…!」
その声には知性と毒気が混ざっていた。
「貴様は……魔族将“灰槍のヴィラール”……!」
セラが目を見開く。
「ほぉ、雪精の姫ではないか?久しいな」
「“姫”……?」
レオルが思わず問い返す。
「おいおい、セラってお姫様だったのかよ!?」
バンザイが驚いた声を上げる。
「別に……昔の話よ」
セラは視線を逸らしながらも、凛と立ち向かう。
「ここは通さない。あなたたちのやり方に、私たちは屈しないわ」
「ほぉ……ずいぶん成長したじゃないか、雪精の姫君。では、今のお姫様の力……見せてもらおうか!」
ヴィラールが叫ぶと同時に、背後の魔族たちが突撃を開始する!
「[神創造]•《対魔障壁•改》
レオルの前に展開される多重結界。
だが、今回は攻める側だ。
「エルフィナ、セラ、バンザイ、前に出るぞ!」
「了解! 《紅蓮貫矢・連射》!」
「《氷弾陣》!」
「《双牙・爆裂跳刃》!」
怒涛の連携攻撃がヴィラール部隊を圧倒する。
特にセラの氷魔法は、以前と比べて格段に強化されていた。
「へぇ……思った以上だな。これは……“遊び”では済まされないか」
ヴィラールが槍を構える。
「いくぞ、“半神”レオル! その神核の力……俺の“灰槍”で測ってやろう!」
「望むところだッ!!」
槍と拳がぶつかり、衝撃が草原を揺るがす!
ヴィラールの動きは読めない。だが、レオルも負けていなかった。
創造の力で槍を絡め取り、武器ごと“封印”の布で縛り上げる。
「[神創造]•《封縛具現》!!」
その一撃で、ヴィラールの動きが止まる。
「ぐっ……まさか“創造”でここまでやるとは……!」
「もう一発、喰らってもらうぜッ!!」
バンザイが飛び込み、両刃を振り下ろした、、!
戦闘終了。
魔族の尖兵部隊は撤退し、草原には勝利の風が吹いていた。
ヴィラールは半壊した鎧を揺らしながらも、悔しそうに笑う。
「……見事だ。“半神”レオル。その名、魔族本陣にも届くだろう」
「それでいい。俺たちは“村”を、仲間を、守るだけだ」
そう言うレオルの背後に、仲間たちの姿が重なる。
その姿に、ヴィラールはふっと息を漏らした。
「次は……“我が新主”が来るかもな。ふふふ……覚悟しておくといい」
そう言い残し、彼は闇へと姿を消した。
その夜。
ディアボラは星を見上げながら、にやにやと笑った。
「んー☆やっぱり、あいつらと一緒にいるより、レオルたちといた方が楽しいかもね♡
だから……一緒に戦ってあげる♡」
そして、つぶやいた。
「…皆殺しだよ♡」
続