第42話 【緋骸、最後の咆哮と“創造”の真核】
見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。
砦の上空が、赤く染まっていた。
空からは火の粉が舞い、地には砕けた魔石と焼け焦げた魔兵士たちの影が残る。
その中心に立つのは──半神、レオル。
剣を構えたまま、彼は静かに睨んでいた。
全身に破れた鎧の欠片をまといながらも、レオルの瞳は折れていない。
一方、緋骸は膝をついていた。
半身が焦げ、仮面の一部が砕け落ちている。
その下から覗いた素顔は、驚くほど若く、そして……悲しみに満ちていた。
「なぜだ……なぜ貴様の“創造”は、我が“破壊”を超える……」
かすれた声で、緋骸は問うた。
「それが“神の力”なのか……!?」
レオルは、ゆっくりと首を振る。
「違う。これは俺ひとりなんかの力じゃない。
“みんなの居場所”を守る力だっ!」
そのとき、レオルの神核が再び輝きを放つ。
内部で“何か”が回り始めるような感覚。
浮かび上がった文字列が、彼の視界に流れ込んでくる。
《創造スキル•段階解放を確認》
《神核の断片•連携条件を満たしました》
《新機能•神創真核起動可能》
「んっ?……来たか」
レオルの手の中で、スキルが“進化”した。
「[神創真核・エデンコード展開]!!」
眩い光がレオルの背後に咲き、空に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
それはただの攻撃術式ではなかった。
創造スキルの“根源”、すなわち世界を組み替える力 “真核”が開いたのだ。
地面が震え、傷ついた仲間たちの体に淡い光が宿る。
「癒し……再生……!?」
セラが驚きの声をあげる。
「創造って、こういう使い方も……!」
ミルが興奮気味にノートを走らせる。
砦全体が、光のフィールドに包まれ、破壊された部分が次々と“修復”されていく。
「これは……[概念構築]だ」
ノアが目を見開く。
「概念構築……?」
エルフィナが問い返すと、ノアは頷いた。
「世界の“あるべき姿”を一時的に再現する、神に近い創造……本来は、神の支配領域に踏み込む禁術」
だが、その力を、レオルは今、、使っていた。
「緋骸……お前のように、破壊で支配しようとする奴には絶対に負けられないね!」
レオルが剣を構える。
「お前が“過去の力”だって証明してやる!!」
「、、くくく、面白い……ならば、この身果てるまで戦おうぞ、“半神”ッ!!」
緋骸の体から黒き魔力が迸る。
その体は限界を超え、次元すら歪めてゆく。
「来るぞッ!!」
ミルがみんなに指示を出し、バンザイが二刀を構え、セラとエルフィナが援護に走る。
ルーナは影に潜み、ノアは再び観測の術式を広げる。ディアボラは赤黒い魔力を体から吹き出した。
仲間たちが一つになった瞬間、、、
[神創]•[因果終焉斬]が発動する。
「うおぉぉぉぉぉおおッ!!」
レオルの一閃が、緋骸の黒き力を打ち砕き、、
砦には、静寂が戻った。
戦いは、終わった。
「ふふっ、、強いな…ディアボラが裏切らなくても負けてたかもな…見事だ!半神!!」
緋骸の亡骸は闇の粒子と化し、風に溶けていった。
「……ふぅ」
レオルが大きく息を吐くと、仲間たちが次々と駆け寄ってきた。
「おつかれ、村長♡」
ディアボラがドサッと胸から抱きつく。
「おっとと……こら!戦場の後だぞ!」
セラも負けじとドサッと胸から抱きつき
「お疲れ、レオル、、」
と恥ずかしがりながら言うと、、
「あらっ♡そんな恥ずかしがってると、私に取られちゃうわよ〜♡」と、レオルに胸をグイグイ押し付けた。
「でもレオル、ほんとに強くなったね!」
ミルがにこにこしながら隙をついて抱きついてくる。
「この村、やっぱり“ただの村”じゃ済まなくなってきたわね」
エルフィナが小さく呟いた。
「うん。、、たぶん次に来るのは、もっと“本気の敵”だ」
レオルは空を見上げた。
その瞳には、次の戦いへの覚悟が宿っていた。
続