第40話 【砦の誕生と緋骸の来襲】
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7日後の朝。
ドォォォン!!!と言う音と共に、空が轟いた。
そして地面が揺れ、空間が歪む。
「来たか……!」
村の上空、南の空間が割れたかのように開き、漆黒の炎を纏う一団が現れる。
圧倒的な気配。それは、ただの魔族軍ではない。
「……あれが“緋骸”か」
レオルがダンジョン砦の最上層、展望台に立ち、遠くを見据える。
空に浮かぶのは、漆黒の大剣を背負った巨躯の男。その両肩から炎のような瘴気が立ち昇り、眼光は狂気に満ちていた。
「“神核”を渡さぬ限り、お前たちの村ごと焼き尽くしてやるってやつだな」
「なら、こっちもやるしかないよね……!」
ミルがスリングを構え、エルフィナはすでに矢を番えていた。
セラの氷が空気を凍らせ、ルーナは影に潜み、バンザイは巨大な調理鍋に火を灯し、二刀を構える。
そして、ノアがそっとレオルに並ぶ。
「……この観測、私も記録しよう。“仲間”としてね」
「ありがとう、ノア」
レオルが頷き、[創造]スキルを起動した。
「[創造]•[戦闘型展開砦]•起動!!」
その瞬間、地下ダンジョンの壁がせり上がり、巨大な砦が地上に姿を現す。
塔のような構造物、魔力を反射する結界、矢倉と氷の防壁が連動する戦術要塞。
「うわっ……すっごい……!」
ミルが驚嘆の声をあげる中、魔族軍がついに突撃を開始する。
、、ギャギャァァァァアァ!!
咆哮をあげて突っ込んでくる魔族兵。
「全員、配置につけ!! 村を絶対に守るぞ!!」
レオルの号令とともに、砦全体が光を放ち、火を吹いた。
激戦の中、戦況は刻々と移り変わる。
ミルの爆裂術式[ルミナ・バスター]で敵を足止めし、バンザイの[双牙・爆裂斬]が敵の前線を一掃し、セラの[氷槍乱舞]が空からの突撃を食い止める。
エルフィナが遠くから魔法の矢を放つと、ルーナが影から敵の指揮官を急襲し、ノアが[記録術式•拒絶転写]で敵の攻撃を無効化。
だが、それでも、、、
「くっ……あいつら、数も力もケタ違いだ……!押し込まれるか……」
レオルの額に汗が滲む。
その時だった。
「やっほー☆ やってるねぇ〜♡」
戦場に突如、艶やかな声が響いた。
空を裂いて現れたのは、極端に薄着な爆乳魔王。
紅い肌、蠱惑的な笑み、そしてありえないくらい揺れる胸。
「……ディアボラ!?」
レオルたちが一斉に振り向く。
魔王ディアボラは戦場の真上、緋骸の後方にふわりと降り立った。
緋骸がぎろりと睨む。
「……なぜ貴様がここにいる、第三王位!」
「ん〜☆だってぇ、退屈してたの♡」
ディアボラはくるくると髪を弄びながら言う。
「そんでね?お前らと一緒にいるより〜、、、」
彼女はレオルの方へ視線を送る。
「レオルたちといた方が、ぜ〜ったい楽しいって思っちゃったの♡」
「……!」
「だから、、一緒に戦ってあげる♡」
彼女の目が妖しく光り、緋骸を見る。
「お前ら…皆殺しだよ♡」
その瞬間、ディアボラの周囲が爆ぜた。
大量の魔力が開放され、空が赤く染まる。
レオルたちと、魔王ディアボラが並び立つ異常事態に、緋骸率いる魔族軍も一瞬だけ戸惑う。
「お前……裏切るというのか、魔族を……!」
「ん〜、違うよぉ。気分転換♡ だってさぁ、楽しくなきゃ戦争なんてやってらんないでしょ♡」
ディアボラの高笑いが響いた。
かくして、“守る者たち”と“暴れる者”が並び立つ。
そして真なる戦いの火蓋が、今、切って落とされた。
続