第4話 【赤い影と、約束の灯火】
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今日もいつもと変わらない朝だった。
だが突如村の空気が、変わった。
温かな陽光の下で、セラが微笑んだその直後。
風がピタリと止み、森の奥から異様な“気配”が近づいてくる。
「レオル! これ……やばいよ!」
ミルが耳をピンと立て、声を上げる。
賢族の彼女は魔力の流れに敏感だ。
俺もすぐに気づいた。木々のざわめき。獣の逃げる音。何かが、森を裂いて近づいている。
「……来たか。おそらく、セラを追ってきたやつらだな」
ちらりと隣を見ると、セラの顔が蒼白になっていた。震える肩、ぎゅっと握られた拳。その恐怖は、、本物だった。
「くっ……っ!」
セラの羽が微かに震える。無意識に体を縮めるその姿に、俺は迷わず立ち上がった。
「ミル。セラを小屋の奥に」
「う、うんっ!」
「俺は、時間を稼ぐ。創造スキルで、なんとかする」
自信なんてなかった。
でも、それでも、、守らなきゃならなかった。
かつての俺は、王女を守って死んだ。
今の俺は、“仲間”を守るために生きてる。
「行くぜ、[創造]!」
俺は地面に手をつき、スキルを発動させた。
【スキル•創造】
【条件•防衛拠点としての意志】
【素材•木、石、土】
【応答•簡易防衛壁、構築開始】
地面が震え、村の入り口に沿って土塁がせり上がる。さらにその上に、木材と石が組み合わさり、城壁のようなバリケードが出現していく。
手動で作るには数日かかるような構造物が、スキルの力で数十秒で出来上がった。
「っしゃ……!」
そこに、奴らが現れた。
黒い獣のような影が三体。
赤い眼を光らせて、牙を剥き出しにしながら壁に向かって突進してくる。
「ガルルアアァァァッッ!!」
こいつら、ただの魔物じゃねぇな……。
気配が、知性を持ってる。
おそらく、魔族の使役獣か何か。
セラを狙ってるってことは、あの子……
ただの巨乳ヒロインじゃねぇな。
「来るなら来いよ……! 俺の“村”は通さねぇ!!」
壁の上から、俺は更にスキルを起動する。
【スキル•創造】
【素材•火打石、乾草、油果実】
【目的•即席火炎落石弾】
【応答•構築可能】
出来上がったのは、火のついた果実を詰めた石壺。それを坂から転がすと、ドカンと爆ぜて獣どもがたじろぐ。
「ギャゥゥゥン!?」
一体が逃げ、もう一体は火だるまになって転げ回る。最後の一体は警戒して後ずさり、、
やがて、森の奥へ消えた。
勝った……!
初めての防衛戦だった。けど、やりきった。
「……ふぅ……何とか追い払えたな…」
俺が脱力していると、ミルがセラを連れて駆け寄ってきた。セラの頬は濡れていて、涙がこぼれていた。
「ご、ごめんなさい……私のせいで、危険を……」
「バカ、泣くなよ」
俺はそっとセラの頭を撫でた。その氷の羽が、かすかに震える。
「今度は、誰も失わねぇ。だから、ここにいてくれよ」
「え……?」
「この村でなら、お前を誰にも傷つけさせない。
俺が守る。だから、ここに住めよ」
セラは信じられないような目で俺を見た。
その目に、かすかに灯る希望の光。
「……本当に? わたし、厄介者だよ? 雪精族っていうだけで、狙われるし……」
「それでもいい。むしろ、歓迎だ。
モフモフもデカパイも村には必要だしな!」
「なっ……で、デカ……っ、ちょ、レオル!」
耳まで真っ赤にしてセラが怒鳴るが、その顔には笑みが浮かんでいた。
よかった……この笑顔、守れて。
だが、、同時に思う。
今の俺の力じゃ、次は無理かもしれねぇ。
「……もっと、強くならなきゃな」
俺は空を見上げた。
真っ青な空。
その向こうに広がる、この未開の世界の全て。
この村と仲間を守るには、創造スキルだけじゃ足りない。
もっと多くの知識と経験と、何より“信頼”が必要だ。
(進化させる……俺のスキルも、この村も)
その時、またスキルが反応した。
【創造スキルが進化しました。
設計図記憶•武具カテゴリ解放】
「武具……だと?」
そうか。守るための力、それが今の俺に与えられたってことか。
ミルとセラとポポが並んで笑っている。
この二人と一匹を守るための力なら、俺は喜んで手に入れてやるよ。
誰にも壊されない、この“居場所”を作るために、、
続