第37話 【魔王降臨!その名は爆乳魔族王ディアボラ】
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ヴァルギスとの戦闘の次の日の朝。
静寂を破るように、空が赤く染まる。
「うわっ!……また、空が裂けてる?」
ミルが空を見上げる。そこには黒く、赤熱するような“魔法陣”が浮かんでいた。
「転移……!? だが、この規模は……!」
セラが魔力を読み取り、顔を強張らせる。
次の瞬間、閃光と共に現れたのは、、
「んーっ! はいっ!到着〜っ☆」
ばいん、ばいん、と音が聞こえそうなほどの豊満な胸を揺らし、現れたのは一人の女。
真紅の長髪に、角。小悪魔的な笑みを浮かべ、露出度の高い装束をひらりと翻す。
「ど、どなた……!?」
驚いたルーナが影の中から顔を出して警戒する。
「私はね〜、『魔王ディアボラ』! 魔族の王にして、戦闘大好き爆乳美女よっ♡ビックリした??」
「……全てにおいて、情報量が多すぎる」
バンザイがぽつりと呟いた。
だが、敵意は感じない。魔力の規模は尋常じゃないが、村を襲う気配は、、ない。
「あ〜、みんな安心して、今日は滅ぼしに来たんじゃないから♪」
ディアボラは手をひらひらと振る。
「へ?」
「んー、なんていうのかな〜。最近、“神核持ちの半神がいる”って聞いて、興味わいちゃって♡
ちょっと顔を見に来ただけ。そう、観光! それに温泉にも興味あって〜、それから昨日、ヴァルギスちゃんいじめたでしょ…☆」
そう言いながら勝手に木の柵をまたぎ、村に入ってくる。
ぷるん、ぷるんと胸元の揺れに目が吸い寄せられるのは男衆の本能だろう。
ディアボラはレオルの前まで行くと
「ん〜☆君がレオルくんだよね? なるほどなるほど、うん、顔も悪くないし……体つきも好み♡
、、、“戦ったら楽しそうだね〜”?」
「……は?」
「うん!戦いたい!」
唐突だった。
ディアボラがにっこり笑って、拳を握る。
「いきなりだな!? 敵意がないって話だったじゃないか!」
「あるわけじゃないのよ〜。ただ、“強い相手と戦う”のが大好きなの☆魔族って基本そういう生き物でしょ? うちの国では“強い者に従う”ってルールがあるし」
「つまり、勝ったら……?」
「うん、配下になるかもしれないし、ならないかもしれない! 気分次第っ☆」
どこまでも自由すぎる魔族の王。
だが、油断はできない。
レオルは前に出て、仲間たちに下がるよう指示を出す。
「みんな、構えるな。でも、動けるようにしておけ」
「了解ッ」
ミル、セラ、エルフィナ、バンザイ、ルーナが周囲を囲む。
しかし、ディアボラはその様子をまったく気にしていなかった。
「よーし、それじゃあいっちょ……手合わせといきましょうか、レオルくん♡」
「来い……!」
レオルが[神創]の術式を構えた瞬間、、
次元の空間が震えた。
ディアボラがステップ一つで間合いを詰めてくる。その速度、常識外。
(はやっっ…!)
「お腹に力入れてね、♡、、せーのっ!」
拳が迫る。
「[神創]光壁展開っ!」
光の盾が展開されるが、次の瞬間、、
「[魔掌裂断]っ☆」
ディアボラの拳が光壁を砕いた。
魔力ではなく、純粋な“圧”と“質量”で。
「っ、ぐっ……!」
レオルはギリギリで後退し、地面を蹴る。
「今のは挨拶♡ じゃあ、本気の半分いっくよー!」
「半分でそれかよ!!」
レオルが[神創][風刃展開]で応戦する。
だがディアボラは、その風を胸で受け、、
胸がぷるん、ぷるんと揺れて、ダメージは皆無だった。
「ねぇ、ねぇ、それ本気??
もーちょい見せてよ♡やっと興奮してきたからさ♡」
一方その頃。
(……なにあれ……)
村の丘の上。ポポがレオルとディアボラの戦いを見ながら、村を守るために配置された結界石の監視を続けていた。
ポポの背中には、小さな精霊が乗っている。
(ポポが見てなかったら、この村終わってたかもよ……みんな、ぼぉーっと戦い眺めちゃって…)
戦いには参加していないが、影で守っていたのはポポだった。
(ま、みんな無事そうでよかった)
そう呟きながら、ポポは空を見上げる。
村の上空では、今まさにレオルとディアボラが、空中戦に突入していた。
(……あれ、今回ほっこり回じゃなかったの?)
ポポの疑問は、至極もっともだった。
だが。
戦いの途中、ディアボラは満足そうに地に降り立ち、笑った。
「うん、気が済んだ♡面白かったね〜!私、気に入っちゃったなぁ♡この村とレオルちゃん。しばらく様子見させてもらうねっ♡」
「はぁっ!え、滞在する気なの……?」
「えへへ、温泉も入ってみたかったし♡ じゃ、また明日、遊びにくるから! ばいばーい♡」
彼女は魔法陣を開いて、ぱたぱたと手を振って消えていった。
村に残された一同は、、呆然。
「……なんだったんだ、あの爆乳魔王は」
「爆乳魔王、か……」
バンザイがふと口にしたあだ名が、そのまま村の伝説として定着することになるとは、このとき誰も想像していなかった、、、。
続