第36話 【魔族襲来!尖兵との激突と“魔の使徒”】
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尖兵との戦いから数時間後、、、
村の静寂が破られた。
夕刻の空、太陽が沈みかける頃。
村の外れにある見張り塔から、エルフィナの声が響く。
「来たよ!! 村の北門に……黒い鎧の軍団っぽいのが!!」
警報音が鳴り響き、村に緊張が走った。
「……ついに来たか、魔族の本隊」
レオルは腰の剣に手を当てながら、静かに呟いた。
傍らには、すでに戦闘態勢に入った仲間たち、、
ミル、セラ、エルフィナ、バンザイ、ルーナ、の姿がある。
ノアもフードを被りながら、後衛として控える。
ポポは武器こそ持っていないが、村の防衛魔術を展開しながら、しっかりと守りの準備を整えていた。
(今回は、あたしが村を守る番だもん! 絶対に通さないもんね!)
そんなポポの背には、ちいさな風の精霊たちが光となって集まり始めている。
村の北門。
地を蹴る音と共に、黒鎧の兵士たちが現れる。
人間のそれとは違う、不気味な曲線と魔力の流れを持つ鎧。
その中心に、一際巨大な影がいた。
「フム……この地か。“神核の香り”がするのは」
大きく張り出した角と、漆黒のマントを纏ったその男は、魔族の本隊の中でも“暴徒”と呼ばれる階級。
周囲の空気が重くなる。
「名を名乗れ」
レオルが前に出ると、男はゆっくりと口元を吊り上げた。
「我は“ヴァルギス”。魔王直属の暴徒なり。神核所持者、お前を連れて帰る」
「いきなり連れ帰るって……話が早すぎるだろ」
「交渉の余地なしだな。“存在”として価値があるか、否か。、、それだけだ」
ヴァルギスが手を振ると、背後の魔族兵が一斉に動き出す。
それと同時に、レオルが叫ぶ。
「みんな!戦闘開始だ!」
地鳴りのような咆哮で押し寄せる黒い波。
セラが氷翼を広げ、冷気の槍を天から降らせる。
「[氷結陣・七連槍っ]!!」
バンザイは二刀を抜き、最前線を斬り裂く。
「俺の“鉄板”の上には立つなよ、雑魚どもぉぉぉ!」
ルーナは影に身を潜め、次々と敵の死角から急襲を仕掛ける。
その一撃一撃が、まるで暗黒の舞のように鋭い。
「……やっぱり正面からより、こういう方が性に合ってるわね」
ミルとエルフィナは、後方から支援魔法と治癒を展開。
ノアも観測者としての力を使い、戦況の把握と仲間への警告を絶やさない。
「東側、数体! 速度はAランク級! バンザイ、右から来る!」
「おうよ!」
そして、ヴァルギス。
彼の周囲は“重力”が歪んでいた。
「神核所持者、、では、見せてもらおう。
“創造”の力とやらをっっ!!」
ヴァルギスが漆黒の大剣を振り下ろす。
「[魔核解放・崩界剣]っ!」
黒いエネルギーが地面を裂き、レオルたちの前に破壊の奔流が迫る。
「そんなに見たいのか?……なら、見せてやるよ!」
レオルは両手を広げ、、その空間そのものに干渉した。
「[神創][空間反転壁]っ!!」
ぶわり、と空気が反転し、黒い波を飲み込み無効化する。
神核から放たれた光が、ヴァルギスの表情を一瞬驚愕に染めた。
「なっ……!」
「お前の攻撃も、[創造]で“なかったこと”にできるんだよ」
その言葉と同時に、レオルの拳がヴァルギスの顎をとらえる。
「、、消えろッ!!」
渾身の一撃。
地が砕け、ヴァルギスは数メートル後方に吹き飛ばされた。
黒い血を吐きながら、ヴァルギスは立ち上がる。
「……フフ……なるほど……これは、“魔王様”に伝える必要があるな……」
「伝えさせないさ。ここで、終わらせる」
「いや、“今回は”引かせてもらう。
……だが、我ら魔族は、お前たちの想像を超える“災厄”だ。
次は、“災厄の王”ご本人が来るぞ。楽しみにしておけ……レオルよ…」
そして、ヴァルギスは黒い霧と共に姿を消した。
戦闘が終わると、村は一時の静寂に包まれた。
ポポは、ぐったりと地面に座り込みながらも笑っていた。
(村、守れた……! ポポも、ちゃんと……役に立てた……!)
そう言ってるかの様に、みんなの周りを飛び跳ねて回った。
その笑顔に、レオルはそっと手を差し出した。
「よくやったな、ポポ」
(えへへ……!)
、、だが、レオルの目の奥には、ヴァルギスの残した言葉が残っていた。
(魔族……“災厄の王”……)
レオルの中で、次の戦いがすでに始まっていた。
続




