表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/196

第34話 【帰還、そして癒やしの湯けむり】

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


 戦いの終わった王都から離れ、レオルたちは、静かに歩を進めていた。


 神核の震えも、記録者ノアの気配も、今は感じない。

 ただ、風が優しく背中を押し、まるで「帰っておいで」と語りかけているようだった。


「はぁ〜……やっと帰れるんだね……」


 セラが心底ホッとしたように息をつく。


「うむ、我の肉体もそろそろ癒しが必要だ。温泉……温泉が待ってるぞぉぉぉ!!」


 バンザイがふんふんと鼻を鳴らす。


「気のせいでしょ〜、まだ匂うわけ……あ、本当に匂うね!」


 ミルもくんくんと空気を嗅ぎ、笑った。


 そして、、村の門が見えた。


(レオルさまーっ!)


 小さな影が駆けてくる。


「ポポ!」


 そのモフモフに、レオルの顔がほころぶ。


 ポポは転びそうになりながらも、真っ直ぐ走ってくる。

 変わらぬ笑顔で、でもその目には小さな涙が光っていた。


(みんな、帰ってきてよかったぁ……!)


 ぎゅっとレオルの腰にしがみついたポポに、仲間たちも優しい目を向ける。


「ポポ、お前……」


(うん。村はね、ちゃんと守ったよ! 森の精霊さんとも協力して、誰も入れなかったもん!)


「お留守番ありがとうな!ポポ」


 レオルが頭を撫でると、ポポはくすぐったそうに笑った。



 その日の夕方、村の温泉施設には、湯けむりと笑い声が満ちていた。


「極楽…極楽…これはまさに、神の恵み〜♡……」


 セラが雪の羽根と大きな胸をふわふわと湯に浮かべながら、幸せそうに目を閉じる。


「ふ、ふぁぁぁ、、な、なんか……戦いの疲れが一気にぃぃ……」


 ミルは髪をまとめてタオルを乗せて、ほんのり頬を赤らめていた。


 エルフィナとルーナも、手足を広げて

「あぁぁぁ… 気持ちいぃぃぃ」と疲れを癒した。

 

 ミルがジーッとセラの胸を見る、、、

「んっ?どーしたの?ミル?」


「いやっ…そんなに“浮くんだなぁ”って思って…」

セラが自分の胸元を見て、顔を赤くして


「んっ!ミルの…ばか…っ」と言って、ブクブクと泡を出しながら温泉に沈んでいった。


 一方、男湯では、、、


「おぉぉぉ〜! 肩が、腰が……ほぐれていくぅ〜〜っ!」


 バンザイは両手両足を湯船に広げ、まるで溶けるようにふにゃふにゃ、毛がペターに。


「はぁ、やっぱ村の温泉が一番だな〜!レオル!」


「そうだな!バンザイ!」

 

 レオルが湯に浸かりながら空を見上げると、横からノアの声が聞こえた。


「……やっと、ちゃんと休める時間がきたんだね…」


「ん。ノアってこっち?…よくわかんないけど、無理はするなよ!てか、温泉入れるんだな!」


「うん、ありがとう。私、まだ全部“記録”を止められたわけじゃないけど……でも、“人の仲間”になってみたいって思えたから…」


 ノアは肩まで湯に浸かり、空を仰いだ。


 その横顔は、ただ“普通の少女”のようだった。



 その夜。


(レオルさま、こっち来て!)


 ポポに手を引かれて、村の広場へ。

 そこには、手作りの宴席が用意されていた。


 焼いた魚、香ばしいパン、ミルが用意した薬草スープ。

そして、バンザイ特製の肉まん。


「ふふっ、みんなでお祝いだね。お疲れ様!レオル」


 ミルの言葉に、レオルは小さく笑った。


「ふふっ!みんなもお疲れ様!」


 その一言が、村の空に染み渡った。



 その夜、レオルはひとり、村の丘に立つ。


 遠くを見つめて、呟く。


「……でも、きっともうすぐ、新しい敵が来る」


 空を舞う一羽の黒い鳥が、不穏な影を落としていた。


   魔族。


 その言葉が、胸の奥でざわめいた。


「どうせ来るんだろ…?来いよ……この村を、仲間を、絶対に守ってみせる」


 レオルの瞳は、戦士の光を帯びていた。




            続

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ