第33話 【“観測者ノア”の離反と、世界の歪み】
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空に舞っていた観測紙が、パラリと崩れ落ちる。
それは、世界の“記録”が一つ、終わった証。
レオルの前に立つノア、、
かつて“記録者”だった少女は、己の権限と使命を手放した。
「世界観測を停止します。レオル!あなたのために」
その言葉の余韻が残る中、仮面の神官が乾いた声で笑った。
「クク……まさか“観測者”が感情で記録を捨てるとはね。だから神になりきれない奴は面白い」
男の杖が再び怪しく輝く。
闇色の魔力がうねり、周囲の空間そのものをグニャリと歪ませた。
「みんなっ!くるぞ!」
レオルが仲間たちに声を飛ばすと、即座に対応する。
「[氷結結界・零域]!」
セラの氷が冷気のドームを展開し、敵の魔力を一部中和する。
「援護するわ!」
エルフィナが矢を放ち、仮面の神官に牽制を仕掛ける。
「[双斬・鉄火鍋烈破!!]」
バンザイの二刀が闇の結界を穿つ。
、、、それでも、仮面の神官は笑っていた。
「なるほどなるほど、確かに君たちは強い。だがね、君たちの“記録”はすでにこちらにあるんだよ」
仮面の内側から、狂気じみた光が漏れた。
「[記録奪取・再演の書庫]!」
空間が歪む。突如として、レオルたちの“過去の戦闘記録”が具現化し、幻影となって襲いかかる!
「こっ…これは……!? 俺たち自身の動き!?」
「全部、読まれてるってわけかよ!」
まるで自分の“最強時”と戦うような戦いが続く中、 一人、ノアが前に出た。
「これは私の責任。私が“観測”していたデータが、彼に盗まれたもの……」
ノアはゆっくりと紙片を一枚、空中に生み出した。
「でも、私はもう記録者じゃない。だから、“創る”」
その瞬間、ノアの指先から淡い光が走り、、
空中に、一枚の紙が浮かび上がる。
[創造記録•Noa Type-R(再定義)]
「[再定義・観測外戦術]、、、発動!」
神官の生み出した“戦闘記録”が、一瞬で塵と化す。
「何……だと!? これは……お前?、、
記録者の枠を越えたのか!」
「私は今、レオルたちと共にある。世界でも神でもなく、“仲間”として」
ノアの言葉に、仮面の神官が一歩後ずさる。
そこを逃さず、ルーナが素早く接近し、、
「……いらん記録は、闇に消えな!」
「瞬刃・月影葬] 一閃。
仮面の神官の胸に影の刃が突き刺さる。
「馬鹿な……我が記録に……敗北はないはずだ……ッ」
「その記録、上書きしてやるよ」
レオルが立ち上がり、剣を振る。
「[神創]刃・終幕光斬]!!」
最後の一撃が、仮面の神官の姿を闇に還した。
すべてが静まる。
、、、戦いは終わった。
「……ノア」
レオルがゆっくりと近づき、彼女に手を差し出す。
「もう、お前は一人じゃない。
これからは、“俺たちの仲間”として共に行こう」
ノアの手が、その手に重なる。
「うん……ありがとう。私も、そうしたいって……心から思えたわ」
ピンクの髪が風に揺れ、柔らかな微笑が広がった。
「これからは、私も“創る側”になる。
あなたたちの未来を、一緒に、、、」
そのとき。
空の彼方、再び観測紙が舞い降りた。
【世界観測ログ•異常事態記録・ノアの離反確認】
【王都観測局 第三眼・上位機関“天階評議会”への連絡を開始します】
「……また来るな。今度は“もっと大きな存在”が」
レオルが空を見上げる。
だが、彼の表情に迷いはなかった。
「いいさ。かかってこい。もう、俺たちは“創られる側”じゃない、、、“創る”側だからな」
ノアが頷く。
「うん、“共に”ね」
そして、物語は新たなステージへと歩み始める。
続