第30話 【星見の塔突入計画と、“創造の軍勢”】
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夜の帳が村を包む中、レオルたちは緊急会議を開いていた。
先の戦いで“黒の聖域”を撃破したが、王都からの脅威は未だ消えていない。
むしろ、あの観測紙、、識別番号【B05】の意味するところは明白だった。
「つまり、王都は“俺”を神核所持者として、正式に“神の敵”と認識したってことだな」
レオルは机の上に広げられた地図を睨みながら言った。
「次に動くのは王都の本隊……この村が包囲されるのは時間の問題ね」
ルーナが腕を組みながら、冷静に分析を加える。
「なら、こっちから行くのはどう? 王都が備えを終える前に、“殴り込み”ってわけ」
ミルが冗談めかして言ったが、場の空気は変わらなかった。
皆、その可能性をすでに考えていたのだ。
「俺たちが今のまま待ち構えても、数では勝てないな…、いずれ数で押し負ける、、」
そう言ったのはバンザイだった。
戦士としての勘が、次の戦いの厳しさを理解させていた。
「だが、レオルの“創造”があれば話は別だ。今のレオルなら“軍”すら作れるだろ?」
その言葉に、場が静まり返る。
“軍”。
それは国家が持つべき象徴、力の代名詞。
だが、レオルはすでにその一歩を踏み出していた。
「……試してみる価値はある…何となく想像はできてるよ」
レオルはゆっくりと立ち上がり、村の中央へと向かった。
その夜、月明かりの下で、レオルは神核に手を翳す。
「[神創]スキル•展開。
対象、、“戦う意志を持つ存在”」
静かに宣言されたその瞬間、大地が震えた。
地面から浮かび上がる光の粒子。
それは形を成し、ひとり、またひとりと、戦士の姿になっていく。
「ま、まさか……人間じゃないわ。これは、“意志と形”だけを与えられた創造体……!」
エルフィナが驚愕の声を上げる。
「正確には、“存在の模倣体”だ。
生命じゃない、けれど意志を持つ兵。
俺の創造によってだけ存在する軍勢」
そう、これは“神創”によって生まれた概念の産物。
魂なき兵たちは、レオルの意志でのみ動き、命じられれば消滅する。
「こ、これはもう……軍どころか、“種族”を創ったのと同じじゃない……!」
ミルが口を押さえる。
この[創造]の規模は、“神”の領域に足を踏み入れた証だ。
「ふふっ、名前をつけよう。“創造の軍勢【エルディア】”だ」
レオルの言葉に、兵たちは無言のままひざまずいた。
翌朝、レオルたちは“星見の塔”突入に向けた準備を進めていた。
「問題はどうやって接近するかだな。王都周辺には結界が張られている。無策では中に入れない」
ルーナが王都の構造を詳細に描き出す。
それに対して、エルフィナが口を開いた。
「王都には“地下遺構”があるの。
私の……かつての秘密の通路。それを使えば、内部に入れる可能性が高い」
「……王女様の脱出用ルートか。いいね、使わせてもらうよ」
レオルはにやりと笑う。
「でも、私が案内するわ。私のせいで王都が動いたのなら、今度は私の意志で止めなきゃ」
エルフィナの瞳には、かつての弱さはなかった。
逃げてきた過去と向き合い、今を守るために戦う決意が宿っていた。
「準備が整い次第、三日後に出発する。創造の軍勢を率いて、星見の塔へ突入する」
レオルが宣言すると、皆がうなずく。
「俺たちはただの村じゃない。信念を持った意志と、守るべき仲間がいる」
「だからこそ、戦う意味があるのよね」
セラが優しく微笑みながら氷の羽を広げた。
「オレたちは王都でも通用する……いや、ぶちかます!」
バンザイが二刀と巨大な中華鍋を背負いながら気合を入れた。
ミルは小さくつぶやく。
「レオル……あたし、レオルと会えて本当によかった」
彼らは村で出会った。だが今、心は一つだった。
夜。
レオルは再び空を見上げた。
そこには、“観測紙”がまた一枚、ふわりと舞い降りてきた。
《識別番号B05、観測継続。
王都観測局 第三眼“神性変動レベル3”確認》
「……神性、か。今さら恐れる気はない」
レオルは紙を握りしめた。
「ここまできたら…、、
俺たちが“本当の神”に届くまで、、止まる気はない」
続