第3話 【素材集めと、氷の羽を持つ少女】
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「ぐぅ〜……」
朝日が差し込む小屋の中、ミルの盛大な腹の音が静寂を破った。
「お、おはよう……腹へった……」
「おう、俺もだ。今日も食料と素材は、全部現地調達だぞ。つまり、冒険だ」
「よっしゃー! 探検だー!
……でもその前に朝ごはんは?」
「それを探しに行くんだよ」
食への執念に満ちたミルと、ふかふか毛玉のポポを連れて、俺たちは再び森の奥へと足を踏み入れた。
「これは薬草、こっちは……魔力鉱石?」
「うん、これは魔道具の核にもなる素材ね!」
知識に長けたミルが次々と説明をしてくれる。これが賢族の本領というやつか。
「ポポ、あの木の実も頼む」
「きゅいー!」
ポポも優秀だ。俺は【創造】スキルで即席の収納バッグを作り、集めた素材を次々に収めていく。
そして森の中腹あたりに差し掛かった頃だった、、
ヒュゥゥゥ……
「……ん?」
急に風が変わった。空気が冷たい。異様な寒気だ。
森の一角から、雪のように白い羽が、ひとひら、またひとひらと舞い降りてくる。
「……誰か、いるな?」
警戒しながら木の影から覗くと、そこに立っていたのは、、
雪のように白い肌、淡い水色の長髪。
氷の羽を持つ女性。
透き通るような透明感。だが、何より目を引いたのは……
「……なんだこの……でか……」
「んっ?!レオル?」
「いや、なんでもない…そう…なんでもない…」
そう、彼女の胸元は、もはや神話級の豊かさだった。
氷の精霊らしい冷ややかな雰囲気に、反比例するような肉感的なプロポーション。幻想と現実が奇跡的に調和した存在。
「あなたたち……この森の住人?」
女性はふわりとした声でそう尋ねた。
だがその瞬間、、、
カクリ、と膝をついた。
「おい、大丈夫か!?」
ミルがすぐに駆け寄った。
触れた手が一瞬で凍りそうなほど冷たい。
「これは……魔力枯渇と、低体温症ね!」
「ミル、村へ戻るぞ!暖房装置、即席で作る!」
「了解!」
俺たちは急いで彼女を小屋へと運び込んだ。
帰るなり、俺はスキル【創造】を全開で発動した。
・魔力を蓄積して発熱する暖房石
・霧状の魔力を広げる加湿炉
・氷精族に優しい素材で作るふわふわベッド
ミルが提案した調合素材を活用しながら、俺は次々に設備を作り出していく。
「はぁ……あったかい……」
ようやく意識を取り戻した女性は、ベッドの上で小さく微笑んだ。
「……私の名前はセラ。雪精族の一人……旅の途中で、森に迷って……力を使いすぎてしまって……」
「なるほどな。でも安心しろ。
ここは今、俺たちで作ってる“村”だ。好きなだけ休んでいいぞ」
「……ふふっ。人間なのに優しいんだね。……」
その言葉に、なぜか少しだけ胸が痛んだ。
「ま、いろいろあってな。俺はレオル、こっちはミル、そして毛玉がポポだ」
「きゅいっ!」
セラはポポを抱き上げると、豊かな胸元で毛玉を包み込むように優しく撫でた。
「君…ふわふわね……」
「きゅいぃぃぃぃ……」
(たぶん今、世界で一番幸せだろコイツ…そして、
今俺はこいつに転生したかった…)
夜、セラが眠ったあと、、
「レオル、セラの魔力、たぶん“特殊な属性”よ。普通の魔道具にも使えるかもしれない」
「つまり、うちの村の戦力にも資源にもなるってことか」
「それと……あの胸……じゃなくて、氷の翼。あれ、飛行用じゃなくて魔力放出機能ね」
「……ほう。じゃあ、自分も守れるってわけか…」
そのとき、スキルに反応が起きた。
【スキル:創造が進化しました】
【新設計図獲得•回復所/倉庫/風防付きの大炉】
「うお、また進化したぞ!これでもっと便利な村が作れる!」
「やったー!これでスープもグツグツ煮込める!」
やっぱりそこかよ。
けれど、、また一人、ここに“居場所”を見つけた。
そう思った瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
「これで、住人二人と一匹、次は……拠点づくりだな」
たったひとつのスキルから始まった俺の村に、少しずつ仲間が集まりはじめていた。
そして、レオルは星空をみあげながら、ほんの少しだけ呟いた。
「なんか……悪くねぇな、こういうのも…」
続