最終話 【すべての世界が幸せで創造されますように】
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その日のアルシェリアの朝は、いつもと同じように優しく明けた。
けれど、、今日だけは、ほんの少し違った。
風が、胸の奥をくすぐるような……
そんな予感を運んでいた。
村の広場には、たくさんの仲間たちが集まっている。
みんな荷物を背負い、肩を並べ、笑い合いながらも、どこか寂しげな空気が漂っていた。
「いよいよ、出発の日ね」
ミルが本を閉じながら、そっと呟く。
「ふふっ、しんみりするのは似合わないぞ、何度もみんなで話し合ったじゃないか♡アルシェリア村の諸君♡!」
ディアボラが大きく爆乳を張り、両手を広げる。
「ディア……」「ディア姉……」
セラとリリムがしんみり顔で見上げると、
「もぉ〜♡しんみり禁止ー!泣くなら笑いながら泣きなさいよっ♡」
ディアボラが目に涙をためてニッと笑ってみせた。
◇◇◇
ゼクスとヴェロニカが一歩前に出る。
「君たちの英断に本当に感謝するよ……
“強すぎる力”は、未来を歪める。
君たちがこのまま集まり続ければ、“未来”は何度でも、同じ涙を流すだろう」
「だから、ここで一度、皆が“自分の道”を歩く時なんだ」
それは、未来から来た二人の“優しさ”だった。
「あははっ!でもさ〜!」
レオルが笑いながら前に出る。
「“離れても”繋がってるって、俺たちは知ってるんだよ……絆は、距離じゃ断てない。
それに俺はみんなに何かあれば、この星を逆に回してでも助けに行くよ!何度でもな!」
その言葉に、仲間たちが静かに頷いた。
ゼクスは苦笑いしながら、
「はは…君が言うと冗談に聞こえないから怖いな…」
◇◇◇
それぞれの“旅立ち”の時が来た。
「私は王都に戻って、セラと新たな街づくりを進めるわ☆ねぇ、セラ」
「えぇ☆前から街作りに興味があったのよね!誘ってもらって光栄ですわ、女王様。ふふっ☆」
エルフィナとセラが優雅に微笑む。
「記録者として、私は世界を巡ってくることにします。ねぇファル!」
「あはは!あぁ、ノア一人じゃ変なこと書くかもしれないからね☆」
ノアが手帳を掲げ、ファルがそっと微笑む。
「俺は……また孤独な旅にでも出るさ!」
バンザイが肩をすくめると、後ろから声が飛ぶ。
「おいっ!パンダ。お前まだあたしとの“料理対決”、決着ついてないだろ??あたしんちのベット、“キングサイズ”だから……う、うちに来いよ!」
グロリアが照れくさそうにしている。
バンザイは少し微笑み、
「ふふ!じゃぁ世話になるとするかな!厨房は我が独占しちまうけどな!!あははっ!」
二人は笑い合った。
「私は世界のどこかに、全ての知識があると言われてる“アカシックレコード”でも探しに行こうかな」
そう呟くミルの影から、そっと顔を出すルーナ。
「ミル一人じゃ心配だから私が着いて行ってやる……」
ミルはわかっていたかの様に答える。
「えぇ☆お願いね、ルーナ」
「うぅーー!……寂しくなるなぁ」
リリムが目を潤ませると、イシュが歩み寄った。
「リリム……迎えに来たぞ。さぁ、一緒に家に帰ろう」
「お母さん……」
リリムがディアボラの方をそっと見つめる。
「んふふっ♡寂しいのはあたしも一緒♡でも、今の魔界とイシュなら問題ないよ!もし……なんかあったなら大きい声であたしを呼びなっ!どこに居たって駆け付けてあげるから♡ずっと愛してる♡さぁ…行っておいで…リリム♡」
ディアボラは豪奢なマントをリリムの肩にかけ、お尻をポンと叩いた。
リリムは涙を浮かべながら微笑み、
「うんっ!行って来ます♡ディア姉!愛してる!!」
ディアボラにそう言うと、リリムはイシュに抱きついた。
ディアボラもイシュも、目を合わせ静かに微笑みを返す。
オルフィリアはポポを撫でながら、
「わしらはここに残るとするよ……なぁ?ワンちゃん」
(ワンちゃんじゃねーよ!ポポ様だっ!)
ポポに手をガブガブされながらオルフィリアは笑っていた。
◇◇◇
「さぁ、レオル」
ミルが涙をそっと拭い、静かに言った。
「“最後の創造”を、してくれる?」
レオルはゆっくりと頷き、ポケットから一冊の小さな手帳を取り出した。
手帳の表紙には、小さく『祈りの書』と刻まれている。
レオルは深く息を吸い、
ゆっくりと、そのページにペンを走らせた。
【これを読んだすべての世界が
幸せで創造されますように】
ただ、その言葉だけを。
書き終えた瞬間、風がそっとページをめくった。
「うぉぉぉい!レオル!ちょっと待ってぇぇぇ♡!!」
ディアボラが爆乳を揺らしながら全力で駆けてくる。
「はぁっ……はぁっ……ちょっとレオル、一人で締めようとしてるでしょ!?」
「えっ??いや、まだ締めてないよ!?」
「じゃあ、その紙……あたしにも触らせなさい!
一緒に祈るのよ♡だって夫婦なんだから!“世界の祈り”も“私たちの祈り”で完成でしょ♡?」
ディアボラがぐいっと手帳に手を伸ばす。
二人の手が重なった瞬間、風が強く吹き、そのページが破れ、ふわりと空に舞い上がった。
「あっ!……わーっ!待って待って!あたしの祈りも乗っけてぇぇぇ!!」
ディアボラがジャンプするが、紙はひらひらと舞い、やがてアルシェリアの澄んだ青空へと昇っていく。
みんなが、その紙を見上げながら……
笑った。
「あははっ!行ったな」
「うふふ!えぇ☆行ったわね!」
「ディアの“うるささ”も一緒にね☆」
「あーっ!なによそれー!あたしが居ないと静かすぎるでしょーが!!おーい!紙ぃぃぃ!戻ってこーい!!」
やがて紙は空の彼方へと消えていった。
けれど確かに、、、
そこにはレオルたち皆の“祈り”が刻まれていた。
◇◇◇
そして、未来への旅立ち。
仲間たちは、それぞれの道へと歩き出す。
レオルとディアボラも、村を振り返りながら手を繋いで歩く。
「なぁ?ディアボラ〜」
「ん?どうした?ちょっと泣いてんのか??」
「あははっ!泣いてないよ!
あのさ……これからもさ……毎日“新しい物語”を創っていこうな」
ディアボラは、太陽に負けないくらいの笑顔で答えた。
「当ったり前でしょ?
あたしとレオルがいれば、世界は“楽しい”に決まってるじゃん♡さぁて♡どこ行こうかね?
まっ!レオルと一緒ならどこでもいいけどね♡」
「あははっ!俺もディアボラと一緒ならどこでもいいよ!あっ!いっそ、俺たちの星でも“創造”しちゃうか??あははっ!」
手を繋ぎ笑い合う二人の足元に、色とりどりの四季の花が咲き誇る。
その花は、これからの誰かに紡がれる物語を待っているかのように、風にそっと揺れていた。
……アルシェリアは、、
今日も平和で、どこまでも優しかった。
今日、レオルたちの胸をくすぐった“あの風”が、今もどこかで誰かを優しく撫でている。
この祈りが、未来のどこかで、誰かを幸せにしてくれることを信じて、、、。
終
…0
最後まで読んで頂きありがとうございます。
タイトルだけ決めて書き始めてしまったのでまとまるか心配だったのですが、何とか自分で納得出来る終わらせ方が出来ました。
このままダラダラと続ける事は出来たのですが、なんか自分で『同じ事繰り返してるなぁ』って思っちゃったので完結を迎えることにしました。
本当にたくさんの方に読んで貰えて感謝してます。
リアクション、ブックマーク、コメントありがとうございました。
さて、俺の脳みそが甘いもの食べたいらしいので、メープルシロップ、びちゃびちゃのパンケーキでも食べたいと思います。また違う話し書くと思うので次回作も読んでくださいね。
わーわーゆーとりますが、お時間です。またね。