第59話 【ルーナ、影のヒーロー誕生!?~卵泥棒を追え!】
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夏の日差しの下、事件は起きた、、
アルシェリアの広場には、今日ものんびりとした空気が流れていた。
村の子どもたちが走り回り、リリムとセラは日陰でお茶会。
レオルは創造で作った“涼しげな噴水”を眺めながら、、
「やっぱ夏はこれだな☆」と呟いていた、、その時。
「レオ兄〜!!大変!大変!鶏小屋の卵が消えちゃったよーーー!!」
広場に飛び込んできたのはリリム。
息を切らしながら、手には空っぽの卵カゴ。
「卵が……消えた〜?」
レオルが眉をひそめる。
「完全に痕跡が消えてて……犯人、忍者だよ、絶対!忍者っ!!」
“忍者”、、その言葉に、すっと立ち上がった影があった。
「忍者?聞き捨てならないわね!!ふふっ!……私に任せなさい」
それは、村の影術師•ルーナ。
「卵泥棒は、必ず私が見つけ出すわ」
その静かな言葉に、村中がざわついた。
◇◇◇
影、捜査開始、、、
ルーナは地面に指をすっと滑らせる。
「“影縫い”展開」
瞬時に、村中に無数の“影の糸”が張り巡らされた。
まるで蜘蛛の巣のように、その網はわずかな“動き”も逃さない。
「レオル。わたし、少し村を回ってくるわ」
「頼んだよ、ルーナ」
◇◇◇
途中、ディアボラが声をかける。
「おーい、ルーナ!なになに?探偵ごっこか何か?」
「違うわ。これは正式な“捜査”よ」
「んっふっふっ♡楽しそうだから、あたしも手伝う!」
あっさり同行してくるディアボラ。
ルーナはため息をつきつつも、内心、(まぁいいか)と思っていた。
「……あんたが目立ってくれれば、犯人も油断するでしょうし」
「そういう扱い!?あたし、囮役なの!?」
◇◇◇
森の奥、“黒い気配”を感じ、、
影の糸が示したのは、、村の裏手に広がる森。
「……ここだね」
「森か~、涼しくていいわね!」
ディアボラの能天気な声を背に、ルーナは影をさらに深く伸ばす。
やがて、茂みの中で“奇妙な生物”が影に引っかかった。
「むっ!……いた!」
それは、、卵を抱えた、巨大な“スライム”。
「スライムが……卵を?」
ルーナは冷静に状況を分析する。
スライムの体内には、アルシェリアの鶏小屋の卵が“ぷかぷか”と浮かんでいる。
「こいつ…卵を孵化させようとしてるのか……?」
「えーー!つまり“温め役”ってこと!?」
ディアボラがスライムの周りをピョンピョンと飛び跳ねる。
「でも、無理に盗るのはダメよ!ディア」
ルーナは静かに影を操り、スライムの動きを封じる。
「……卵は返してもらう。でも、代わりに“ちゃんと温められる場所”を用意してあげる」
これこそが、レオルから教わった“アルシェリア式解決法”。
「ディア。戻ってレオルに、“スライム用温泉卵器”の創造を頼んできて」
「は〜い♡了解!まかせて!」
ディアボラが走り去る。
ルーナはその背を見送り、スライムにそっと話しかける。
「心配しなくていいわ。あなたの“卵を温めたい気持ち”も、大事にするから」
スライムは嬉しそうに、ぷるん、ぷるんと震えた。
◇◇◇
後日、村には“スライム専用温泉卵施設”が完成した。
スライムたちはそこで満足そうに卵を温め、村人たちも「面白い!」と見学に来る。
ルーナが卵を返しに来た時、リリムが飛びついてきた。
「ルーナ!すごいよ!ほんとに“影のヒーロー”だね!」
「……わたしは、ただ村を見てただけよ」
「それがヒーローなんだよ!」
ルーナは小さく微笑む。
そんな彼女を、バンザイがからかう。
「おいおい、ルーナ。ヒーローならヒーローらしくポーズでも取れよ?」
「黙れ!パンダ野郎っ!……そういうのはディアに任せるよ」
「あーはっはっ♡オッケー☆任されたー!シュワッチ!!」
ディアボラが全力で爆乳を揺らしヒーローポーズを決める横で、ルーナは静かに、でも誇らしげに村を見守っていた。
◇◇◇
夜、ルーナは影の上に腰掛け、涼しい風に髪を揺らしていた。
「この私が影のヒーロー、か……。悪くない響きね」
その呟きを、こっそり記録しているノア。
「“ルーナ、自尊心+10%。まだ伸びる”……ふふ」
アルシェリアの平和は、今日も彼女たちの手で守られている。
続
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