第54話 【レオルVSファル!真夏の釣り対決】
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アルシェリアの暑い日、、
緑の風が心地よく、湖の水面がきらきらと輝いている。
そんな穏やかな昼下がり、村の湖に二人の姿があった。
「へぇー、のんびり釣りってのも悪くないなぁ」
レオルが腰を下ろして竿を垂らすと、すぐ隣ではファルが釣り道具らしき“錬金機器”をカチャカチャと組み立てていた。
「ふふっ、君の創造の力も大したもんだけど、釣りにおいては“知識と準備”こそが勝負を分けるんだよ☆」
「おっ、ファル宣戦布告か?」
「あははっ、今日は勝負だね。どっちが大物を釣り上げられるか!」
ファルの瞳がきらりと光る。
「いいぜ。乗った。釣った魚の大きさ勝負な!」
「勝者にはどうするんだい?」
「釣った魚を、全部総取りするってルールだな!
あとファルが勝てたら、好きなもの一つ[創造]してやるよ!」
「あははっ!……面白いね!じゃあ、僕の世界でも創造してもらおうかな! 湖の魚…皆釣りだよ〜☆」
二人は並んで腰を下ろし、それぞれの“武器”を手に構える。
レオルは創造スキルで作った、軽くてしなやかな“神木の釣竿”。
ファルは“拒絶錬金術”で作った、自己調整機能つきの“オートリール付き魔導ロッド”。
「どっちが多く釣り上げるか、見ものだな」
レオルが微笑み、
「そちらこそ、せいぜい神々にお祈りでもしておくといいよ」
ファルがぴしっと竿を振る。
湖面に、ふたりの仕掛けがぽちゃんと落ちて、、
勝負が始まった。
◇ ◇ ◇
しばらくして。
レオル「んー?……全然こねぇな」
ファル「……なぜだ。魔素濃度も温度も完璧なのに……っ」
のどかすぎる時間が過ぎてゆく。
そこに通りかかったノアとミルがピクニックバスケットを抱えて現れる。
「お~、釣りやってんのですか☆レオルたち!」
「……って、ふたりとも顔が険しいわね。何かあったの?」
「全然釣れねぇんだよ…」
「……ていうか、ファルの方に魚が近寄っている気配すらないのはなぜ……?」
「えっ!?」
ファルが湖面を覗き込む。魚が逃げていく。
「まさか……僕の“拒絶魔力”が強すぎて警戒されてる?」
「それはあるかもしれませんね…。
拒絶神の気配に魚が怯えてるって、なんかロマンありますね!記録しておきます」
ノアが楽しそうにニヤニヤしながら記録し始める。
するとレオルは対照的に湖に“魚寄せの創造魔法エネルギー波”を送り始めた。
「理由がわかればどうと言うことはない、、、
これでどうだ……!来いよ、幻の大魚!!」
ぐぐっ、とレオルの竿に反応が!
「来たぞっ!こ、これは……かなり大きい……!」
バシャバシャと水をはね、跳ねる大物。
「くっ……っはぁあああっ!
引き上げ、、るぅぅぅっ!!」
バシャァアアッ!!
飛び上がったのは、、、
「なんじゃぁぁぁぁ!!てめぇぇるぁぁぁ!うるせぇええええ!!寝てたのに引きずり出すなぁああああ!!えぇか、この世にはやってえぇこととやっちゃあかんことがあるんやっ!お前さんたちがやったのは、、、あかんことやぁぁぁぁッ!!静かにしとけーーー!」
「……ナマズ? しかも……喋った……?
すっごい怒ってる…」
釣れたのは、古代種の“眠りナマズ”だった。
しかも怒ってる。
ナマズは怒りながらバシャバシャッ!!と湖に戻って行く。
怒って暴れるナマズに湖が大きく揺れ、ファルもレオルもびしょ濡れに。
「おのれ……ナマズ…釣りとは、こんなに……過酷な……っ!うぅーー!拒絶してやるっ!!」
「ファル、大丈夫!? あーもう、ずぶ濡れだ!」
ノアとミルがタオルを持って走ってくる。
「レオル、これ、記録しときます。
【釣れた魚が自己主張して大暴れ、勝負はノーカウント】っと……」
「お、おいノア、まだ勝負は終わってねぇぞ……っ!」
◇ ◇ ◇
その後、、夕暮れ。
湖のほとりで、焚き火を囲む四人。
「うんっ!焼き魚、うま……」
レオルがふうっと吐息をつくと、隣でファルもにこりと笑う。
「……結局さ、君が創造した“お魚さんセット”が一番美味しかったってオチってことね」
「ファル?創造魚の味で満足していいのか?
釣り勝負、いつでもリベンジ受けてやるぞ!」
「ふふ……強がんなって…そのときは“海”にしようか?巨大魚を釣るためにさ、今度は僕の“機動浮島型釣り台”も完成させておくからさ…☆」
「んー?何それ怖いんだけど…」
「あははっ!お楽しみに♪」
◇ ◇ ◇
その夜、、
村の空には星が広がり、湖には静かな波音が響いていた。
レオルとファル、そして仲間たちの、ちょっとした勝負と笑いの一日。
アルシェリアには今日も、温かな日常が流れている。
続