表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/196

第49話 【祭りだ!バンザイだ!アルシェリア夏の陣!!】

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


 アルシェリアの空に、夏が来た。


 照りつける陽射しと、湧き上がる入道雲。

 畑ではトマトが真っ赤に実り、子どもたちは川辺で水をかけ合って笑っている。


 そんなある日、村の中心で、、、


「おーい!みんな!聞いてくれ!!」

 パンダ族の戦士•バンザイが、広場の真ん中で叫んだ。


「今回の夏祭り!このバンザイが、責任もって開催するぞォォ!!」


「「「おおおお~~!!」」」

 村中から歓声があがる。


「というわけで……準備、全部やるぞォ!!みんな手伝えェェェェェ!!」


「「「ええええ~~~っ!?!?」」」


◇ ◇ ◇


 祭り開催決定から三日後、、


 バンザイは祭り会場〔予定〕の広場で、汗だくになりながら設営をしていた。


「こ、この提灯は……こっちの柱にくくって……ヨッ……て、落ちたァァァ!!」


 ガラガラガッシャーン!!


「大丈夫?バンザイ、手伝うわ」

 ミルが足場を整え、影からルーナも忍び寄る。


「足元が甘いな…パンダ!命が惜しければもっと慎重に動け…隙を見せたら、、わかるな!パンダ」


「助けるのか脅すのかハッキリしろぉぉぉい!!」


 そこへノアが屋台の図面を持ってきた。


「かき氷屋、射的屋、スライム金魚すくい、あと“爆裂焼きそば”は……ディアボラが担当するそうです」


「爆裂!? ディアボラ!?

 それだけはやめろォォォ!村が滅ぶぞ!!」


◇ ◇ ◇


 数時間後、村人たちも加わり、、

 会場はにぎやかな“祭りの街道”へと姿を変えていた。


 レオルは提灯に魔法の灯りを灯しながら、バンザイの背中に声をかける。


「本当に、バンザイが中心になってるんだな。すごいじゃん!」


「ま、我は何でも屋だからな。戦いも、飯作りも、……祭りもな!」


「ふふ、かっこいいね。バンザイ☆」

 セラが微笑みながら浴衣姿で現れた。


「おおっ!? セラの浴衣、可愛いな……って、えっ、なんだこの破壊力は……!?」

 バンザイは鼻血を噴きそうになりながら天を仰いだ。


◇ ◇ ◇


 そして夜、、


 ついにアルシェリア夏祭り、開幕!!


「ようこそ、年に一度の“笑顔の祭典”へ!みんな楽しんでけぇぇぇぇい!!」

 バンザイの号令とともに、花火が夜空に咲いた。


 ドォォォォーーーン!!

 紫と金色の花火が、空に大輪を描く。


 子どもたちはスライムすくいで歓声を上げ、

 大人たちは酒場屋台で盛り上がり、

 そして、レオルはディアボラが爆裂せずに焼いた焼きそばを絶賛していた。


「これ……普通にうまいな!?」


「ふふふっ、料理修行の成果よ!!隠し味に“爆乳”入れてますから♡!」


「あははっ!どうやってだよっ!!」


◇ ◇ ◇


 そんな中。

 バンザイは一歩、屋台の列から離れた丘の上にいた。


 村全体を見下ろしながら、ひとり手を腰に当てる。


「ふふふっ!……いい眺めだ!完璧だっ!」


 そこに、静かに誰かが近づいてくる。

 ファルだ。


「バンザイ〜☆祭り楽しいね〜、、

 でもさ、、バンザイなぜ“祭り”を?」


「……」


 バンザイは空を見上げた。


「昔、俺の故郷にはな……村なんてなかった。

 ただ、戦場と、空腹と、別れと、孤独の連続だった」


「……」


「でも、ここに来てわかったんだ。“誰かと笑う時間”ってのは、最強の魔法なんだってよ」


「……それを、他のみんなにも?」


「そういうこった!祭りはな、心のエネルギーチャージだ」


 バンザイはファルの頭をぽんと撫でた。


「お前も今日は、拒絶モードじゃなくて、“笑顔モード”だぜ?」


 ファルは少しだけ頬を緩めた。


「あははっ!……了解。笑顔、モード・オン☆

 、、なんてね!」


「あはは!よし、いい子だ!」


◇ ◇ ◇


 そして夜も更け、、、


 祭りの終盤、レオルの魔法で空中に“光の短冊”が浮かぶ。

 村人たちが書いた願いが、星のように光を放ち、空へ舞っていく。


《ずっとこの村で暮らせますように》

《大切な人と笑い合えますように》

《次も爆裂しませんように(byディアボラ)》


 そして、、、


《みんなが、腹一杯で幸せでありますように》


「バンザイ、これお前が書いたのか?」


「……ああ、そうだよ。へへっ、照れるぜ」


 その背中に、レオルが軽く拳を当てた。


「最高の祭りだよ。バンザイ!」


「おう!ありがとうよ!!じゃあ来年はもっと盛大にやるぞォォォ!!」


 夜空に最後の大花火が咲いた。


 ドォォォォォンーー!!


 アルシェリアの夏は、まだまだ熱い。


◇ ◇ ◇


 ノアがまたこっそり記録帳に書き込む。


《バンザイ、夏祭り成功•感動度95%》

《アルシェリア住民の幸福度、現在•最高潮》


 その横で、ディアボラがかき氷を食べてむせながら呟いた。


「この幸せ……爆裂しそう……♡!」


「ディアボラ…?胸がかき氷でびしょびしょだけど…」


 、、、ふたりの大笑い。

 でも、爆裂しない夏祭り。


 それが、アルシェリアの日常だった。



            続


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ