第46話 【バンザイ、アルシェリア学校で家庭科の授業!?】
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朝のアルシェリア。
校舎に響き渡る、子どもたちの元気な声。
「今日はねー!バンザイ先生が来るんだって!!」
「えー!あのご飯作るパンダ!?やったーっ!」
「ちょっと、しっかり“二刀流料理人のバンザイ先生”って呼びなさいよっ!」
、、アルシェリア小学校、今日の特別授業は
【家庭科】
村の子どもたちが日々学ぶ、魔法、読み書き、農業、そして家庭の知恵。
その一環として、「本物の料理人による授業」が開催されるのだ。
◇ ◇ ◇
「さてと……我っちの出番ってワケだな!」
そう呟きながら、バンダナを巻いたバンザイが校舎へと現れた。
いつもの二刀流包丁は今日も健在。肩に担いだ野菜のかごには、色とりどりの新鮮素材。
「今日こそ見せてやらぁ!我っちの“母性魂マザーズスピリット”ってヤツをなッ!」
◇ ◇ ◇
【一時間目•玉ねぎのみじん切り】
「まずは基本だ、みんな、泣くなよ〜?」
バンザイの包丁がリズム良く刻まれる。
カンカンカン!と響く音に、子どもたちが目を丸くする。
「すげー!見えねぇ!」
「バンザイ先生の手、5本ぐらいある!?」
「いや4本しかないけどすげー!」
「いや、4本もすげーー!」
「よぉし、次はみんなでやってみよう!ちゃんと指を熊猫の手にしてな!」
子どもたちはキャッキャとはしゃぎながら、涙目で玉ねぎと格闘する。
バンザイはそんな彼らを、料理人の目で一人一人丁寧に見て回っていた。
「……よし、ハナマルだ!ここの子、包丁の持ち方完璧!将来はシェフかもな」
ちょうど見に来ていたミルが微笑んで言った。
「あら〜、将来が楽しみだね、バンザイ先生☆」
◇ ◇ ◇
【二時間目•おにぎりづくり】
「料理ってのはな、けっきょく“心”なんだよ。
“誰かのために”って想いが、味になるのさ!」
そう言いながら、バンザイが手本として握ったのは、ほんのり塩味の三角おにぎり。
「じゃあ、誰のために握るか、考えてみようなー。
父ちゃん母ちゃんでも、友達でもいいぞ!」
子どもたちは真剣に考えながら、小さな手でご飯を握りしめた。
「……あたし、病気で寝てるおばあちゃんに、握ってあげたい」
「僕は……今日いなかった弟に」
バンザイ•「……そうかそうか、そりゃあ立派だ。そいつぁ絶対、うめぇぞ」
その笑顔は、まるで「村のおかん」のようだった。
◇ ◇ ◇
【三時間目•試食タイム!】
子どもたちの作った料理がずらりと並ぶ。
玉ねぎスープ、焼きおにぎり、野菜炒め。
そこへ、ふらっと現れたのはディアボラ。
「なんかいい匂いがすると思ったら、やってるじゃないのバンザ〜イ♪」
「おうディアボラ、いっぱいあるから腹減ってんなら一緒に食ってけよ!」
「ふふん♡子どもたちと並んで食べるなんて、たまには悪くないわね!いただきます♡」
バンザイが腕を組んで教壇に立つ。
「さてと、今日はここまで!お前ら、ちゃんと覚えとけよ〜☆」
「“料理”ってのはな、“優しさの武器”なんだ。
戦いじゃ勝てねぇ相手でも、“味”でなら笑わせられる。
それが、我っちの流儀、、、
《魂喰の双包丁•《デュアル・ソウル・シェフナイフ》だッ!!」
(子どもたち、ポカーン)
「あははっ!最後の技名いらないでしょ!」
「ミル、、さっぱり意味わからないですぅ〜」
◇ ◇ ◇
授業のあと。
子どもたちからバンザイへ、手紙と手作りのおにぎりが贈られた。
「ありがとう、バンザイ先生」
「また来てねー!!」
「先生、すごく優しかった!」
照れたように笑うバンザイ。
「……やれやれ、こっちが何か大事なもんを学ばせてもらったぜ!!」
その背に、夕日が差し込んで金色に輝くバンザイがいた。
◇ ◇ ◇
放課後。
バンザイがひとり、校舎裏で包丁を研いでいると、ノアがふらりと現れた。
「“母性魂”って、案外みんなに伝わってるみたいですよ」
「おー!そうか!そうか!我はな、“強くて優しい”ってのを目指してんだ。戦うだけじゃなくてよ」
「それは“本当の意味で”無双”ですね。うふふ、記録しておきます」
風がそよぎ、柔らかな夕暮れの光が、アルシェリアの空に滲んでいた。
続