第44話 【バンザイvsグロリア!“最高の朝ごはん”決定戦!!】
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朝のアルシェリア村。
太陽が小さな山々を照らし、鶏が鳴き、子どもたちが元気に走り回る。
今日も変わらず、平和でおいしい1日が始まる、、
はずだった。
「おーし、今日の朝飯は我の特製の“七色オムライス”だッ!くぅぅぅ!今日もいい出来だぜぇぇ!」
村の食堂に立つのは、戦士にして料理人、パンダのバンザイ。
二刀流の剣さばきを彷彿とさせる包丁さばきで、卵を割り、玉ねぎを炒め、きのこを踊らせていく。
フライパンの中で黄金色のオムレツがぷるぷると震え、色とりどりの魔野菜が踊るように舞う。
仕上げには、魔界産トマトから煮詰めた特製ソースを、とろ~り。
「ふっふっふ……今日の朝食も文句なしだな!」
と、自信満々に鍋を振っていたその時。
「あらぁ〜♡とってもいい匂いじゃないの?もしかして魔界の食材使ったのかしら♡?パンダちゃん!」
艶やかな声が、背後から響いた。
「おうっ!よくわかったなっ!」
と振り向くと、立っていたのはディアボラと肩を並べる爆乳魔王・グロリア。
今日は珍しくエプロン姿。その胸元は、例によって溢れんばかり(実際溢れてる)である。
「んっ……お前、そんな“火力抜群のエプロン姿”で何してんだ?」
「ふふっ、あまりにもいい匂いだから、私も作ってみようかと思ってね。
“朝ごはん”って奴をね!!」
「……えっ、グロリアが?」
魔界の厄災である彼女が、料理?
一同が固唾をのんで見守る中、グロリアは余裕の笑みで素材を取り出す。
「おらっ!まずは魔界で育った《冥光花の根》、そして《深海チーズ》、さらに《焔の鶏卵》。
魔界食材だけで作る“至高のパンケーキ”だよ!」
「なっ……なんだと、、朝から魔界の朝食フルコースだと!?」
グロリアは手慣れた手つきで粉を混ぜ、魔力で火加減を調整。
フライパンの上にふんわり焼き上がるパンケーキ、その表面には彼女のトレードマークの炎紋章が浮かび上がる。
「おらっ!見ろ!見た目も完璧。味も……試食っと♡」
ふわりと口に運ぶと、、彼女の表情がとろけた。
「ぐはっ!!……この溶け具合、冥界の朝焼けそのもの……っ…完璧だっ!!あーはっはっはっ!!」
見守っていたセラが小声で呟く。
「……本気だ……」
◇ ◇ ◇
そして突如始まった、“最高の朝ごはん”決定戦。
会場はアルシェリア村の広場。
審査員は、レオル、ミル、ノア、ルーナ、リリム、セラの6人。
「第1ラウンド! 見た目勝負!!」
バンザイの“七色オムライス”は、まるで虹が一皿に宿ったような鮮やかさ。
対するグロリアの“冥界パンケーキ”は、黒と金のコントラストが美しく、魔界の荘厳さを宿している。
ノアがパシャパシャとカメラ魔導具で撮影しながら言う。
「これは……どっちも映えすぎて、五次元レベルですね…記録しておきます」
「さぁ、次、味勝負いきましょう」
とルーナが冷静に進行すると、いよいよ実食。
レオルはまず、バンザイのオムライスを頬張る。
「……相変わらずうまっ! 野菜と卵のバランス、ソースのコク、完璧だ!」
次にグロリアのパンケーキ。
「……っ!? なんだこれ、しっとりしてるのに、香ばしい……! そして後味にほんのり魔界チーズの旨み……!!」
セラもにこにこしながら両方をもぐもぐ。
「どっちも美味しいわ〜、もう朝からお口が幸せ……☆」
◇ ◇ ◇
しかしここで、、、
「なんだか引き分けの雰囲気だな……
いやっ!あたしがが勝つわ、バンザイ!」
「おいっ!なに言ってやがる!朝ごはんの王はこのオレだ!それだけは譲れねぇーぞ!!」
二人はバチバチと火花を散らし、ついには「即興アレンジ対決」へ突入!
バンザイは【雷のダブルホットサンド】を高速で仕上げ、
グロリアは【極寒魔乳プリン】という名の禁断スイーツを錬成。
「バカな……プリンを自分の胸型に……なんて卑怯な真似しやがる!!このピーナッツ野郎めっっ!!」
「バカな……ホットサンドに雷鳴を纏わせるだと!どんなスパイスよりも刺激的って言いたいんだな…とんだパンダ野郎だぜっ!!」
一口食べたミルが泣きそうな顔で叫ぶ。
「うわぁぁぁん!!どっちも美味しすぎて、勝敗つけられませぇぇぇぇん!!」
◇ ◇ ◇
そして、最終判定。レオルが笑顔で言う。
「よし、今日は引き分けだ。お腹いっぱい。
二人とも、最高だったよ!美味しかった☆ご馳走様でした!」
「「……ふん(ふぅ)」」
お互いそっぽを向きながらも、ふたりはお互いを認め合い、、口元は少しだけほころんでいた。
◇ ◇ ◇
夕方。
片付けを終えたバンザイとグロリアが、キッチンの裏で背中合わせに座る。
「ま、たまには二人で作るのも悪くねぇな☆お前のプリン、、セクシーで美味かったぜっ!」
「ふふ……たまには、な♡お前のホットサンドもあたしの胸に雷が落ちたように痺れたぜっ!」
ふたりは顔を合わせずとも笑い、お互いを褒めた。
◇ ◇ ◇
次の日の朝、、
村人たちは、バンザイとグロリアの“共作”による【魔界風激烈パンダ定食】を食べて、絶句することになるが、、、
それはまた、別の話である。
続