第36話 【創造主レオル vs 第零因子、そして世界が始まる】
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世界は今、物語の“最初”へと還ろうとしていた。
《第零因子》は静かに空間に浮かび、万物を否定していく。
それは、神よりも古く、概念そのものを食らう“虚構の君”。
けれどその虚無の中に、ひとつ、確かに燃えていたものがあった。
、、、レオルの創造の火。
それは仲間たちの記憶を受け継ぎ、世界を再び“始める”ための、最初の一筆。
そして、崩壊する空の狭間から、、、
二つの影が飛び込んできた。
「まったく、あなたたちだけ楽しそうに戦って……!」
先陣を切って降り立ったのは、漆黒の女魔将、、
イシュ=ヴァルト。
その後ろから、紫黒の魔法を揺らめかせて着地した少女が、言葉を続ける。
「……遅くなっちゃってゴメン!お母さんが変なとこで道に迷って…
それは、イシュの娘、、リリム。
「イシュ〜、リリム〜!」
ディアボラが笑顔で手を振る。
「やっと来たわね!はぐれちゃったから心配してたんだぞ〜♡」
イシュはディアボラに軽く手をあげると、険しい顔で《第零因子》を睨みつけた。
「厄介そうね、、アレは、、存在そのものが邪悪。
私の記憶すら喰われそうになる……。
でも、それ以上に腹立つのはね……」
その肩に、リリムの手がそっと重なる。
「「“レオルの創ったものを侮辱したことですね」」
母娘の魔力が共鳴する。
母と娘の共鳴奥義、、
《魔宴双華•リリシア・テンペスト》
嵐のような魔力が旋回し、あらゆる存在を抉る閃光と雷鳴が、空間そのものを裂いた。
《第零因子》は一瞬だけ揺らいだ。
否定ではなく、“愛と記憶”に支えられた魔力が、初めてその核に届いたのだ。
「…揺らいだ!?ありがとう、イシュ。リリム!」
レオルが、彼女たちの力をそのまま“物語”に書き記す。
彼女たちが戦ったという事実を、“消えない記録”として世界に刻んだ。
レオルの背に、再び仲間たちが集う。
ミルが魔法陣を構築し、セラが氷の翼を広げ、ノアが未来視の扉を開く。
ゼルダの魔眼が軌道を読み、ルーナが敵の影を押さえる。
ディアボラとグロリアが最後の爆乳奥義で空を割る。
ファルが一歩下がって、
「この幸せをぶち壊されるのは…ご免だよ!」とぼやきながら、最深の知識を開示する。
そして、レオルは宣言する。
「、、俺たちが創った物語は、否定させない!!」
「《第零因子》……お前を、超えてみせる」
[原初神創造]《最終創造奥義》•《真理創記•エデン=アルシェリア・リコード》
空が燃える。地が生まれる。世界が綺麗に歌い始める。
これは“ただの創造”ではない。
創造の果てに“記憶”を刻み、“世界の意思”を継いだ存在。
この世界の“主筆•オーサー”は、もはや神ではない。
誰でもない、彼、、レオルだ。
光がすべてを包む。
否定を上回る肯定。虚無よりも強い、存在の証明。
そして、、《第零因子》は、静かにその姿を崩し始めた。
『……この物語は、不完全ではなかった。
確かに、、、美しい』
そう呟きながら、因子は“物語の余白”へと還っていった。
そして、世界は再び始まった。
仲間も、村も、魔界も、ダンジョンも、、
すべてが“あの日のまま”そこにある。
子どもたちの笑い声。畑を耕す手。料理の湯気。新しい海。温かな温泉。
、、そして。
魔界の一角、夕暮れの屋台通りで。
イシュがリリムの頭を撫でている。
「よく頑張ったわね、リリム。母は嬉しいわ」
「や、やめてよ…みんな見てるよ…恥ずかしいよ」
と照れながらも、顔を赤らめるリリム。
そんな二人のやりとりを、ディアボラとグロリアが遠くから見守っている。
「なんだかんださ、良いコンビなんだよね。母娘ってな!」
「……羨ましいなぁ〜♡あたしも子供ほしぃぃぃぃ♡、、レオルにお願いしようかな〜♡ねぇレオル?」
そしてレオルは、空を見上げていた。
「んっ?あははっ!なんかお腹空いたな〜…
なぁ、みんな、次は……どんな物語を、創ろうか?」
「あっ!またはぐらかされたぁぁぁ♡」
笑顔と、仲間たちの声に包まれて、、
新たな世界が、静かに幕を開けた。
続
いつも読んでくれてありがとうございます。本当に感謝です。
あと半分ぐらいで最終話予定ですので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。