第35話 【黄昏の胎動と、彼の名を持つ者】
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、、ネミア・オルドの中枢は、崩壊した。
光の雨が降りしきる空中神殿《原典回廊》の最奥部。
レオルたちは、崩壊する世界の中で、最後の余韻を見守っていた。
「……全部、終わったの?」
ミルの問いに、レオルは静かに頷く。
「……ええ。ネミアの中枢は完全に停止した。
偽りの神々も、観測因子も全て……」
しかし、、、
その瞬間。空間が“凍った”。
時が止まり、空が砕け、風が逆巻く。
「ふふっ、、来るぞ…創造神よ…」
クロノスが鋭く目を見開いた。
その“何か”は、音もなく、存在した。
重力も、熱も、記憶すらも奪う存在。
誰よりも先に、それを感じたのは、、、
ファルだった。
「……あれは……!」
ファルが無表情で一歩後ずさる。
「うわぁぁ…“関わらされる”……最悪だ……ッ!!」
顔面蒼白で逃げ出そうとするファルを、レオルが片手で掴む。
「ファル!?……教えてくれ、あれは何だ?」
《創造以前の存在プレ・オーバーライド》。
因果の外、原典の外、記憶の外。
“すべてを創ったものの原型”、、
「……《第零因子•コード•ゼロ》だよ…」
ファルが震えながら答えた。
「すべての創造主より前に存在した、“創造主を創造した存在”。
物語という概念の源。神話よりも古い“虚数の君”
、、それがあいつだ」
《第零因子》が、姿を現す。
その形は“人”に似ていたが、存在の密度が違いすぎた。
空間が溶け、法則が崩れ、仲間たちはただ立っているだけで命を削られていく。
「ははっ、やばっ。チートの上のチートじゃん……」
ディアボラが冷や汗を垂らしながら身構える。
《第零因子》が、ただ一言、発した。
『、、、不完全』
その言葉を放つと共に、アルシェリアのすべてが“否定”された。
村も、仲間も、記憶も、、、
“最初からなかったもの”として、世界から消えていく。
「……こんなヤツに、勝てるの……?」
ノアが震えながら呟く。
そのとき、誰かが一歩、前へ踏み出した。
それは、、、
ディアボラとグロリアだった。
「さっきから……ふざけてんなよ!」
グロリアが一歩、地を踏み鳴らす。
「あたしの仲間を、世界を、愛を……
存在ごと“なかったこと”にするんじゃないわよ!」
「あははっ、あたしのセリフじゃん♡
でも…全くの同感♡いくよっっ!」
ディアボラの拳が炎を纏い、グロリアの雷と共鳴する。
《爆乳共闘•最終奥義•終焉閃華•ラグナ・スパークル》!!!
ふたりは胸をぶつけ合い魔力を高めると、拳と蹴りが同時に《第零因子》へと叩き込まれる!
だが、、、届かない。
『不在』
そのたった一言の言葉だけで、彼女たちの攻撃が“存在しなかったこと”になる。
「……ま、まだよ!!」
セラが氷槍を無数に放つ!
バンザイが、二刀を交差させて振り下ろす!
ルーナが影から敵を拘束し、ゼルダが魔眼で解析し、ミルが光弾を打ち出す!
「みんなっっっ!!」
それでも、、第零因子は圧倒的だった。
レオルの[創造]の力すらも封じられていく。
『無力』
、、、そのとき。
ファルが、震えながら口を開いた。
「……一つだけ、あるよ」
「方法がね…」
全員の視線が、ファルに集まる。
「レオル…君が、“神の上”になれ。
創造主を超えて、物語の《書き手》になるしかない。
それができるのは、今まで“全てを創ってきた”レオル…君だけだ」
レオルの目が、ゆっくりと閉じられる。
創ってきたもの。
村、仲間、温泉、農場、魔族との交流、ダンジョン、数々の戦い、、、
全部、全部、、、愛していた。
だから。
「あははっ!そっか。そー言うことね!
わかった!俺が、“全部を創りなおす”
この世の常識、存在、理、何もかもね!!」
レオルが笑いながら右手を掲げる。
その瞬間、彼の全身が光に包まれ、大きな筆がレオルの手に現れる。
存在が“創造の根源”へと変化していく。
《超創造起動•エデン=アルシェリア》
《因果書き換え•物語の主筆•オーサー》
《レオル=ルート•ゼロ》、、因果の書き手。
世界に、光の筆が走る。
それは《第零因子》の否定の上をいく、創造の書き換え。
「全部、取り戻す!!」
「この世界も、仲間も、未来も!!」
「俺たちの“未来”もこの“世界”もお前に否定なんてさせないッ!!」
レオルが、《第零因子》の核心へと手を伸ばした、、、
続