表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/196

第16話 【謎の旅商人と“契約の指輪”】

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


  村を拡張し、ダンジョンを少しづつ拠点化してから数日が経った。

村には活気が出始め、皆がそれぞれの役割を見つけ、協力し合っている。

今日も平和な一日になる、、かと思っていた。


 その日、レオルは森の外れで何やら異質な気配を感じた。


「んー?……誰かいるな」


 警戒しつつ進むと、一本の大木の下で、赤い天幕を張った小さな馬車と、それに寄りかかるようにしてひとりの女性がいた。


 長い銀紫の髪。異国の雰囲気をまとう薄紫の衣装。妖艶とも神秘的ともいえる美しさだが、その目は商人特有の計算高さを隠してはいない。


「やぁやぁ、これが噂の“神の村”かしら?

 初めまして、放浪の商人“リルメア”と申しますわ」


「旅商人、ね……こんな未開の地に珍しいな。

 俺はレオルだ」


「ふふっ、私、嗅覚には自信があるの。成り上がる場所って、案外こういう辺境に転がってたりするものでしょう?」


 レオルは彼女の目を見て、一目で“只者ではない”と感じた。

だが敵意はない。ならば、警戒しつつも情報を得るのが得策だ。


「こんな辺境まで何を売りに来た?」


「ふふ、見る目あるわね〜。

 今回は“契約”を結ぶ品を持ってきたの」


 そう言ってリルメアが取り出したのは、小さな箱。その中には精緻な模様の金属の指輪が六つ、並んでいた。


「これは“契約の指輪”。絆を結ぶ者同士が互いに認め合うことで、魂のつながりを強化するアイテムよ」


「絆の強化、だと?」


「ええ。信頼が高まればスキルの精度も上がるし、場合によっては“共鳴スキル”なんて現象も……うふふ、面白いでしょう?」


 レオルは箱を見つめた。

 これは……まさに、創造スキルにある「信頼と居場所によって成長する」の条件と噛み合う。


「一ついくらだ?」


「お代はけっこう。ただし……村がもっともっと面白くなったら、また商売しに来ていいかしら?」


「好きにしたらいいよ…でも、お代はちゃんと払うぞ!」

 

「ふふふっ…お代はいらないって言ってるでしょ…

 では…また…」


 そう言って、リルメアは指輪を渡し、ウィンクを残して姿を消した。


  本当に、風のような女だった。


 村に戻ったレオルは、指輪のことを仲間たちに伝えると……


「えっ、それって一緒に指輪つけるってこと!? 結婚!? え!?」


「こ、これは試練です……信頼スキルの実験のため、私が最初に……!」


「ふ、ふん!誰がアンタと絆なんか……でも一応、試してあげてもいいわよっ!」


 ミル、セラ、エルフィナ、そしてツンデレ、ルーナまで、なぜか誰もが“最初の契約”を狙ってきた。村が一瞬だけ修羅場と化す。


「いや、落ち着け!全員順番に試すから!」


「「「え~~~~~!?」」」


 そんな大騒ぎの末、最初に指輪をつけたのは、腹ぺこで最初の仲間であるミルだった。


 スッと、指輪が光を放つ。


【スキル•共鳴リンクLv1】

・パートナーとの距離に応じて、感覚の共有と支援が可能

・スキル使用時、パートナーの行動速度をわずかに強化


「わわっ、なんか頭の中が……レオルと、つながってる感じ……!」


「……すげぇな。ほんとに“絆”の力だな」


 その夜、皆が自分の順番を待ちつつ、契約の仕組みについて語り合った。

バンザイはスープを振る舞い、ルーナは

「別に……絆なんていらないけど」と言いつつ、気になる様子で指輪を見つめる。


 その光景を、リルメアは遠くの丘から望遠鏡で眺めていた。


「ふふふ、やっぱり面白いわね……あなたたち。

 きっと“あの子”の退屈も、紛らわせてくれるかしら」


 そうつぶやくと、風とともに彼女の姿は消えた。


 この指輪が、新たな力の扉を開くとは、まだ誰も知らない。



            続

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ