第25話 【挑戦者たちとギルドの風】
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アルシェリア村に、新たな風が吹き込んでいた。
創界迷宮の復活は瞬く間に噂となり、各地の冒険者たちが【挑戦】と【名声】と【報酬】を求めて村へと集まりはじめた。
「うぉおおお!マジで動いてんのかよこのダンジョン!こいつぁ燃えるぜ!」
興奮気味に叫ぶのは、筋骨隆々の斧使い・バルグラス。
彼はかつて王都の闘技場でも名を馳せた猛者である。
「情報は少ないが……この迷宮には、古代神の遺産が眠っているという話だ。調査対象としては興味深い」
と静かに呟くのは、仮面の学者・リドリー。
魔法考古学を専門とし、解析と結界破りの達人だ。
さらに獣人族の俊足双剣士カミナや、回復を得意とする聖女姉妹など、実に多彩な挑戦者たちが続々とやってくる。
「まるで、かつてのギルド都市みたいね……」
セラが呟いたように、今やアルシェリアは“村”の顔を持ちながら、確かに“冒険者都市”としての気配も帯びはじめていた。
◇ ◇ ◇
ダンジョン運営に必要不可欠なもの、、
それは、挑戦者の管理と報酬システムだ。
レオルたちは村の中央区画に、「アルシェリア迷宮ギルド支部」を創設。
かつて王都にあったギルドの支援を受けて設立されたそれは、外観こそ質素だが、内部には魔道端末、試練階層の記録装置、迷宮マップ自動更新装置などが完備されている。
「試練の達成ごとに“迷宮ポイント”が発行され、それを交換すれば武具や回復アイテム、宿泊券、温泉利用権などと交換できます。ふふふ、これぞ村経済への波及効果!」
ノアが鼻高々に説明している。
リリムとファルが受付として手伝い、村の子供たちもギルド内でのお手伝いに参加。こうして村と冒険者たちとの自然な交流が生まれていった。
◇ ◇ ◇
そして、創界迷宮の“初代ボス”として君臨したのが、我らが爆乳魔王・ディアボラである。
「うっひゃっひゃっひゃ!よく来たな〜冒険者どもぉ!あたしの胸の谷間をくぐり抜けてみやがれっ☆」
まさかのレオルの[創造]によって作られたディアボラの“胸の物理的”トラップに冒険者たちは苦戦を強いられた。
「くそっ!重力罠まで仕掛けてある!? この爆乳、ただの飾りじゃねぇッ!ぬ、抜け出せねぇ!」
「視線誘導まで計算に入れてやがるッ……!」
「回復役、前に出るな!魔力吸収フィールドが展開されてるぞッ!」
ギャグのような戦場だが、実際には極めて高度な魔力操作と空間制御がなされており、Aランク冒険者でも突破に数時間かかるほど。
、、だが、そのぶん報酬も破格だった。
《創界石の欠片》《ミスリル強化の魔装帯》《迷宮の涙・回復極上級》など、貴重なアイテムが手に入り、冒険者たちの熱は日に日に高まっていく。
◇ ◇ ◇
そんな中。ひときわ異彩を放つ二人組が村へと現れた。
赤と黒の軍服を纏う少年の姿のゼクス。
そして、漆黒のマントと仮面を纏う女性、コードネーム《ヴェロニカ》。
「はっはっは!アルシェリアが“動いた”と聞いてな。ダンジョンも起動したようだし、俺たちも……少しだけ混ぜてもらうよ!」
ゼクスの義手がギィ、と音を立てる。
「……未来の残滓、このダンジョンに残ってる。ひょっとすると、“あの神”が干渉してるかもね」
ヴェロニカが指先で虚空を撫でる。微細な魔素の流れが歪んだ。
、、彼らは未来からの来訪者であり、この世界の“分岐”に干渉できる存在でもある。
この迷宮がただの試練の場ではなく、、、
未来と過去を繋ぐ“交差点”である可能性が浮上してきたのだ。
◇ ◇ ◇
夜。 レオルはダンジョンの入口で星空を見上げていた。
静かに、だが確かに村は変わろうとしている。
ダンジョンが動き出し、挑戦者たちが集まり、新たな繋がりが生まれている。
「……これはきっと、俺たちの“第二の始まり”なんだろうな」
後ろからミルがそっと現れ、横に並ぶ。
「レオル。レオルが創ったものが、また新しい絆を呼んでるね☆ ここからが、本当の“物語”かもね」
「、、ああ。俺たちのアルシェリアは、まだまだ進化するさ」
その瞳に、迷宮の灯が映る。
続