第20話 【創造村の初詣とお年玉騒動!】
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新しい年の朝、、、
アルシェリアに初日の出の光が差し込む。
澄んだ空気に、霜の結晶がきらきらと光る中、レオルの村には人々の笑い声と神聖な祈りが混ざり合っていた。
「うおぉぉぉいっ!! 今年も元旦から寒ぃ〜!」
バンザイが布団から飛び出し、全力で朝のストレッチをしていた。
「それでも早く起きたってことは……今年も鍋やる気満々だな?パンダくんよ☆?」
ミルが笑いながら声をかける。
「当然だろっ! おせちもいいけど鍋もな!」
◇ ◇ ◇
一方、村の中央では、レオルが朝の祈りの場を整えていた。
創造の力で作られた“初詣神殿”、、
木と石のバランスで築かれた美しい拝殿が、簡素ながらも荘厳な空気を漂わせている。
特に“真っ白な鳥居”は正に圧巻であった。
狛犬にはポポに似せた狼で作った石像が置いてあった。
「これが……“今年の祈りの場”……?」
セラが目を見開いた。
「うん。“人が生きるための祈り”って、派手さよりも“願いの形”だと思ってね」
レオルが穏やかに笑うと、仲間たちも静かに頷いた。
◇ ◇ ◇
「ねぇレオ兄?これが“お年玉”ってやつでしょ?」
リリムがぽんと小さな袋を揺らして見せる。
袋には「ディアボラより♡」と書かれた赤い封が。
「そう。“新年の幸福の種”って意味があるらしいよ」
「でも中身、ただのアメとメモだったよ?」
リリムが中から取り出したのは、小さなキャンディーと、、、
【“今年も元気で笑ってなさい。困ったらなんでもあたしに言いなさい。
よしよしされたいときは、もっと言いなさい。
いつでもおっぱい枕で寝かしてあげる♡♡
ディアボラより。】
「えっ……なにこれ、ずるいよ♡ディア姉…」
リリムがそっと顔をそらした。
「ん〜?なに照れてんの〜? 可愛いなぁ〜♡もお〜♡」
背後からディアボラが抱きつき、むぎゅうっと胸にリリムを沈めた。
「ふぐぉぉ!息が…やめてぇ! こらぁぁ!」
その様子を見ていたイシュ=ヴァルトが、木の陰から微笑んでいた。
「……あの子、ほんとうに変わったわね」
「えぇ、、今のリリムには、居場所がある」
ゼルダが隣で言った。
「それも、“自分で選んだ場所”ってのが、大事なんだよ」
◇ ◇ ◇
やがて、全員が神殿に並び、順に祈りを捧げていく。
ミルは研究の成功と仲間の無事を。
セラは皆の健康と、平和の継続を。
ルーナは静かに目を閉じ、手を合わせるだけだったが、、
「……“ここ”がずっと“此処”でありますように」
小さく呟いた言葉を、レオルだけが聞いていた。
ファルは照れくさそうに賽銭を投げていた。
「こーいうのは……ちょっと苦手だけどさ。
ま、いい年になりますように☆」
その隣でノアは、一礼した後、真面目な顔でノートに書き込んでいた。
「創造者たちの新年の祈り、、確かに記録。
次代へ繋げる証明とする」
、、最後に、レオルが立つ。
「俺の願いは……変わらないよ」
レオルは静かに手を合わせた。
「皆が笑って暮らせる“世界”。ただそれだけだ」
◇ ◇ ◇
その後は、村の宴会場で[おせち風ごはん会]が開催された。
創造のスキルとバンザイの腕をフル活用して作られた料理がずらりと並ぶ。
「みんな見て! おせちじゃなくて、“魔せち”だよ!」
バンザイが誇らしげに掲げる黒いお重。
「うわっ、真っ黒…中身なによそれ……黒豆、昆布巻き、漆黒のカレー?」
「はっはっはっ!全部、魔族仕様にしてみたぞ!」
グロリアが「うまいけど辛い!」と汗だくで言いながらも、もぐもぐ食べていた。
「レオ兄〜!これが“お正月”なんだね」
リリムが改めて言った。
「すごく楽しい。最初はよく分かんなかったけど……でも、なんか、心がぽかぽかする」
「それが“新年”なんだよ」
ディアボラが肩をぽんと叩いた。
「昔はさ〜正月がくると“来年こそは”とか言ってたもんだけど……今は、“この年が続いてくれたら”って思うんだよね♡」
皆の笑顔が、薪の火に照らされていた。
どこまでも穏やかで、どこまでもあたたかい。
「……この平和が、永遠に続きますように」
誰かの祈りが、夜空へと吸い込まれていった。
続