第19話 【雪まつりと、クリスマスの奇跡】
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「わっ……! ディア姉!すっかり、雪景色だね……!」
「あぁ!綺麗だなぁ〜♡」
リリムとディアボラがマントを靡かせながら、白銀の村を見渡す。
アルシェリアは今、“雪の祝祭月”。
創造の力の助けで降り積もる雪と氷が、村全体を幻想的な風景へと変えていた。
「というわけで……!」
ディアボラが鼻息荒く手を叩く。
「今年もやってきました〜!
アルシェリア雪まつり&クリスマス祭!」
「なんか……規模がでかくなってるような、ないような、、」
ミルがため息まじりに雪玉を転がしている。
「いいのよ、こんな平和な時だからこそ派手にいかなきゃね♡」
◇ ◇ ◇
祭の準備が進む中、レオルたちのもとに、ある来訪者が現れる。
「みんなー!お久しぶり☆」
エルフィナだった。
厚手のコートに身を包み、頬をほんのり染めて立っていた。
「待ってたよ!エルフィナ!」
セラが走り寄って抱きつき、ディアボラも両手を広げて出迎える。
「久しぶりじゃん! 女王様業、忙しかったの?」
「ええ……でも今日は、思いっきり遊ぶつもりよ!」
エルフィナは微笑み、村に目を向けた。
「この景色、変わらないわね。
いつもと同じ、、いえ、それ以上にあったかい……」
「そうだな。今は“あの時の夢”が、ちゃんと形になってるからな〜」
レオルが応える。
「この村の笑顔、ちゃんと守れてるよ。
だから、、今日はいっぱい楽しもう」
◇ ◇ ◇
午後、広場には雪像コーナーや氷の迷路、雪合戦大会などがずらりと並ぶ。
「見てー! これ、セラが創った“氷の宮殿”だよ!」
リリムが走って案内すると、そこには壮麗な氷の城がそびえ立っていた。
「ふふ、今年はね、“エルフィナ城”をイメージしたの」
セラが照れくさそうに言うと、エルフィナは思わず顔を赤らめる。
「もう……。でも、ありがとう。すごく……嬉しい」
その隣では、バンザイ率いる雪合戦大会が始まっていた。
「おらぁっ! 鍋玉砲・改!!」
「こらっ!ずるいぞバンザイ!そんなカチカチにしたらそれはもう武器じゃん!」
ルーナが影から雪球を飛ばし、ファルは冷静に雪壁を形成して拒絶防御。
ノアは観測式で投げる角度を完璧に割り出し、次々と的に命中させていた。
「ちょっとガチすぎるわよノア!」
「ふふ、ゲームでも全力が信条です」
ディアボラは雪玉に魔力を込めようとするが、、
「むきーーっ!あたしの魔力こめるとみんな溶けちゃうじゃんっ!!」
ミルとリリムはかまくらを作りそんな光景を眺めて、、
「あら〜、みなさんお元気ですね〜♪
私は寒くて寒くて…」
「ミル姉のモフモフ気持ち〜♪」
◇ ◇ ◇
、、夕暮れ。
レオルが創造した巨大なツリーの周りに、みんなが集まっていた。
「それでは、点灯式いきまーす☆!」
ミルが合図を送ると、魔力が灯をともす。
七色の光がツリー全体に広がり、星型の頂点が夜空へ輝きを放つ。
「「「わぁ……」」」
村の子供たちが歓声を上げ、大人たちも思わず見とれる。
その光の下で、、レオルは、エルフィナの隣に立っていた。
「ねぇ……昔、言ったことがあるの。“あの夜を、永遠に残したい”って」
エルフィナの声が静かに届く。
「今日、それが少し叶った気がするの」
「……ああ。俺もそう思うよ」
二人はそっと微笑み合い、肩を並べて光を見つめた。
、、そして、深夜。
レオルが眠る部屋に、一通の小さな“未来便”が届いた。
差出人は、ゼクス・ヴェルアイン。
“おめでとう、創造者たちへ。
君たちの平和、我々も未来で受け取ったよ。
来年のこの日、、また未来と今で、乾杯しよう。
ヴェロニカも、きっと喜ぶ。
僕たちの世界は今、少しずつ“希望”に傾いてる”
レオルは微笑み、窓の外に目をやる。
そこには静かに舞い落ちる、、、
ひとひらの未来の雪。
「来年も……また、笑って迎えような」
そう呟いて、レオルは目を閉じた。
その日の夜の雪は、どこまでも優しく、温かかった。
続