第17話 【実りの宴、秋の収穫祭!】
見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。
季節は流れアルシェリアに、秋が訪れた。
山は紅葉に染まり、風は涼やかに吹き抜ける。
大地の恵みは満ち、村は穏やかな実りの季節に包まれていた。
そんなある朝、広場の鐘が鳴り響いた。
「おーい!今日はいよいよ、収穫祭だあぁぁぁ!!」
バンザイが両手を掲げて宣言すると、村中が活気づいた。
「ふふっ、今回もたくさん獲れたわね☆」
セラが畑に立ち、黄金色のカボチャを抱えて微笑む。
「こっちはジャガイモ! でっかいのがごろごろ!」
ミルが泥だらけの手で掘り起こしながら、収穫の喜びを全身で表現していた。
「私も手伝うよ〜っ!」
リリムが小さなバスケットを手に駆け寄ってくる。
「おっ、リリム。このリンゴ畑は任せたよ〜」
ディアボラが木陰から手を振ると、、
リリムは「うんっ!」と元気に返事をした。
アルシェリアの村には、今では魔族や獣人、人間、精霊たちの姿も自然に混じっていた。
「お前たち、サボるな。稲の束はこう、しっかりと結べ!ヘマしたらまる焦げだぞ、、!」
イシュ=ヴァルトが魔族たちを引き連れ、稲刈りの指導をしている。
「うわっはっはっ!イシュ姐怖ぇー!」
「でも、イシュって不思議と“農作業向いてる感”あるよな……」
ゼルダとグロリアがわちゃわちゃと手伝いながら笑っていた。
「……秋の色って、なんか静かで落ち着くな…
てか“あいつら”ちゃんと行事に参加するんだな…」
ルーナが微笑み魔族を見ながら、落ち葉を拾い集め焚き火の準備を始めていた。
「あははっ!意外に真面目なんだよ!
本当夕焼けに溶けるこの感じ……綺麗だよな〜」
レオルがルーナの隣に座り、ぼんやりと空を見上げる。
◇ ◇ ◇
夕暮れ、、、
収穫物で作られた料理が広場いっぱいに並び、焚き火を囲んでの“秋の宴”が始まった。
「本日の目玉は、“丸焼きカボチャのとろとろグラタン”と、“七色きのこのクリームパイ”だーっ!」
バンザイの気合いのこもった発表に、歓声が沸き起こる。
「すごーい! この香り……絶対うまいやつ♡」
ディアボラが両手にフォークとナイフを持って待ち構えている。
「じゃあ、いただきますっ!」
リリムが笑顔で一口、、、
「……あっ、すっごい……カボチャの甘さが、とろけてくぅぅぅ……!」
「はふっ、栗も最高にホクホクで甘いね……っ」
セラが両手を合わせて幸せそうに微笑む。
「さすが、アルシェリアの実り……どれも観測しておきたい味だよ!」
ファルが静かに言った。
「ふふっ!酒も大量に用意してきたぞ!魔界ブドウのワイン、今年は豊作だったんだ!」
イシュがグラスを差し出すと、グロリアが「乾杯!」と元気に応じた。
ディアボラがごくごくと飲み干すと
「ぷふぅー♡懐かしいお味…… ゲップ、、失礼♡」
「あははっ!ディア〜!でも今年も、無事にこの日を迎えられてよかったね☆」
そしてミルがぽつりと言った。
「みんなで種を蒔いて、土を耕して、少しずつ育てて……」
「そうやって育ったのは、作物だけじゃないですよ」
ノアがほほ笑んだ。
「みんなの気持ちも、アルシェリアというこの村も、少しずつ根を張って、大きくなりました」
みんなが笑顔で頷いた。
◇ ◇ ◇
そして夜が深まり、星が瞬き始めた頃、、
「レオル〜!さっきから静かだけど、ちゃんと食べてる?」
少し酔っ払ったセラが膝をついて、彼の顔を覗き込む。
「……ああ、なんかこう……しみるな〜って思ってね…」
「え?」
「こうして、誰もが笑って、同じ火を囲んでるのを見ると、、」
レオルは焚き火に照らされた仲間たちの顔を一人ひとり見つめた。
「これが“俺たちの創った世界”なんだなって、実感するんだよ」
「はい。私たちが、レオルと一緒に作った“場所”ですね」
ノアがそっと背中を押す。
「この平和が、ずぅっと続きますように♡」
リリムがディアボラの胸を枕にして、頭を乗せながらそう囁いた。
「……あったかいな」
ルーナが焚き火に手をかざしながら呟いた。
「来年も、再来年も、こうして皆で実りを祝えるといいね〜♪」
セラの言葉に、全員が「うん」とうなずいた。
そして、、、
「よーし、じゃあ締めに、恒例の“レオルの創造芸”いっとくか!」
バンザイが言い出すと、全員が目を輝かせた。
レオルは苦笑しながら立ち上がり、両手を広げた。
、、、[創造]開始。
地面に魔法陣が浮かび、巨大な果実が夜空に浮かび上がる。
それは、果物の星がきらめく“空中果樹園”。
「おおおおっ!!」
「すごいっ、星のぶどうだーっ!」
「綺麗……食べられるの!?」
「うん、食べられるよ。たぶん甘いはず!」
みんなの笑い声と驚きの声が重なって、夜空にこだました。
こうしてアルシェリアの秋は、実りと笑顔に包まれて深まっていった。
続