表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/196

第17話 【実りの宴、秋の収穫祭!】

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


 季節は流れアルシェリアに、秋が訪れた。


 山は紅葉に染まり、風は涼やかに吹き抜ける。

 大地の恵みは満ち、村は穏やかな実りの季節に包まれていた。


 そんなある朝、広場の鐘が鳴り響いた。


「おーい!今日はいよいよ、収穫祭だあぁぁぁ!!」

 バンザイが両手を掲げて宣言すると、村中が活気づいた。


「ふふっ、今回もたくさん獲れたわね☆」

 セラが畑に立ち、黄金色のカボチャを抱えて微笑む。


「こっちはジャガイモ! でっかいのがごろごろ!」

 ミルが泥だらけの手で掘り起こしながら、収穫の喜びを全身で表現していた。


「私も手伝うよ〜っ!」

 リリムが小さなバスケットを手に駆け寄ってくる。


「おっ、リリム。このリンゴ畑は任せたよ〜」

 ディアボラが木陰から手を振ると、、

 リリムは「うんっ!」と元気に返事をした。


 アルシェリアの村には、今では魔族や獣人、人間、精霊たちの姿も自然に混じっていた。


「お前たち、サボるな。稲の束はこう、しっかりと結べ!ヘマしたらまる焦げだぞ、、!」

 イシュ=ヴァルトが魔族たちを引き連れ、稲刈りの指導をしている。


「うわっはっはっ!イシュ姐怖ぇー!」


「でも、イシュって不思議と“農作業向いてる感”あるよな……」

 ゼルダとグロリアがわちゃわちゃと手伝いながら笑っていた。


「……秋の色って、なんか静かで落ち着くな…

 てか“あいつら”ちゃんと行事に参加するんだな…」

 ルーナが微笑み魔族を見ながら、落ち葉を拾い集め焚き火の準備を始めていた。


「あははっ!意外に真面目なんだよ!

 本当夕焼けに溶けるこの感じ……綺麗だよな〜」

 レオルがルーナの隣に座り、ぼんやりと空を見上げる。


◇ ◇ ◇


 夕暮れ、、、


 収穫物で作られた料理が広場いっぱいに並び、焚き火を囲んでの“秋の宴”が始まった。


「本日の目玉は、“丸焼きカボチャのとろとろグラタン”と、“七色きのこのクリームパイ”だーっ!」

 バンザイの気合いのこもった発表に、歓声が沸き起こる。


「すごーい! この香り……絶対うまいやつ♡」

 ディアボラが両手にフォークとナイフを持って待ち構えている。


「じゃあ、いただきますっ!」

 リリムが笑顔で一口、、、


「……あっ、すっごい……カボチャの甘さが、とろけてくぅぅぅ……!」


「はふっ、栗も最高にホクホクで甘いね……っ」

 セラが両手を合わせて幸せそうに微笑む。


「さすが、アルシェリアの実り……どれも観測しておきたい味だよ!」

 ファルが静かに言った。


「ふふっ!酒も大量に用意してきたぞ!魔界ブドウのワイン、今年は豊作だったんだ!」


イシュがグラスを差し出すと、グロリアが「乾杯!」と元気に応じた。


 ディアボラがごくごくと飲み干すと

「ぷふぅー♡懐かしいお味…… ゲップ、、失礼♡」


「あははっ!ディア〜!でも今年も、無事にこの日を迎えられてよかったね☆」

   

 そしてミルがぽつりと言った。


「みんなで種を蒔いて、土を耕して、少しずつ育てて……」


「そうやって育ったのは、作物だけじゃないですよ」

 ノアがほほ笑んだ。


「みんなの気持ちも、アルシェリアというこの村も、少しずつ根を張って、大きくなりました」


 みんなが笑顔で頷いた。


◇ ◇ ◇

 

 そして夜が深まり、星が瞬き始めた頃、、


「レオル〜!さっきから静かだけど、ちゃんと食べてる?」

 少し酔っ払ったセラが膝をついて、彼の顔を覗き込む。


「……ああ、なんかこう……しみるな〜って思ってね…」


「え?」


「こうして、誰もが笑って、同じ火を囲んでるのを見ると、、」

 レオルは焚き火に照らされた仲間たちの顔を一人ひとり見つめた。


「これが“俺たちの創った世界”なんだなって、実感するんだよ」


「はい。私たちが、レオルと一緒に作った“場所”ですね」

 ノアがそっと背中を押す。


「この平和が、ずぅっと続きますように♡」

 リリムがディアボラの胸を枕にして、頭を乗せながらそう囁いた。


「……あったかいな」

 ルーナが焚き火に手をかざしながら呟いた。


「来年も、再来年も、こうして皆で実りを祝えるといいね〜♪」


 セラの言葉に、全員が「うん」とうなずいた。


 そして、、、


「よーし、じゃあ締めに、恒例の“レオルの創造芸”いっとくか!」

 バンザイが言い出すと、全員が目を輝かせた。


 レオルは苦笑しながら立ち上がり、両手を広げた。


 、、、[創造]開始。


 地面に魔法陣が浮かび、巨大な果実が夜空に浮かび上がる。


 それは、果物の星がきらめく“空中果樹園”。


「おおおおっ!!」


「すごいっ、星のぶどうだーっ!」


「綺麗……食べられるの!?」


「うん、食べられるよ。たぶん甘いはず!」


 みんなの笑い声と驚きの声が重なって、夜空にこだました。


 こうしてアルシェリアの秋は、実りと笑顔に包まれて深まっていった。




            続

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ