第14話【拠点化計画、始動!村とダンジョンを繋ぐ“神の通路”】
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ダンジョン攻略から数日が経った。
ダンジョンでのピンク髪の少女・クロエとの出会い、そして「加護の鍵」のスキルがレオルに宿ったことで、村に新たな空気が流れ始めていた。
「村とダンジョン……拠点として繋げられたら、もっと便利になるよな……、んー、でもどうやって…」
レオルは地図を広げながら、頭を抱えていた。
ミルがスープを運びつつ、ちらりと覗きこむ。
「まーた難しい顔してる。頭が爆発しそうなときはお肉食べなよ?」
「いや、爆発はしねえけど……助かるわ!ありがと!」
横からセラがひょこっと現れる。氷の羽が陽に反射してキラリと光る。
「この間のダンジョン、最下層まで行くには時間もかかるし、危険も多い。物資や人の移動を効率化するには、やっぱり中間で拠点化は必要だと思う」
「うん。安全なルートを確保するだけでも、探索の効率は全然違うわよね…」
そう言って加わったのは、王女だったエルフィナ。
ルーナも、木の柱の上からひらりと降りてきて口を挟んだ。
「裏道でもあれば、奇襲にも使えるわよ?
あんたの“創造”で、どうにかできるんじゃないの?」
「んー??……それなんだよな〜」
レオルは改めて、手を掲げる。
スキル【創造】は、加護の鍵の覚醒により一段進化していた。
今や“構造”そのものに干渉できる能力を持ちつつある。
「よしっ!まっ!一回試してみるか?」
彼は村の外れに立ち、地面に両手を当てた。
思い描くのは、ダンジョンの入り口から、この村までを繋ぐ安全な地下通路。
罠や魔物のいない、資材や人が往来できる大動脈。
[創造]スキル、起動。
視界に新たな構築式が展開される。
【サブスキル•神域接続路】
•特定拠点同士を結ぶ神性通路の形成が可能
•信頼/居住権限を持つ者のみ出入り可能
•結界による敵対種の侵入阻止
•通路内に中継地点を創造可能
「にっひっひ!……これならいける!」
土が波打ち、地面が盛り上がる。空間が削られ、地下に静かなトンネルが生まれていく。
バンザイが「うおぉぉぉ!地面が動いてるぞー!」と鍋を持ったまま叫び、
ルーナが木陰から「うそ……ちょっと感動したかも」とつぶやく。
やがて通路は、ダンジョン第1層の安全区画へと直通した。
「すげぇ……」
「これでダンジョンも、村の裏庭みたいなもんだね!」
ミルが満面の笑みを浮かべる。
レオルは満足げに頷いた。
「これから先、ここを拠点にダンジョンをもっと活用していく。探索、資材、魔石、魔物……いくらでもチャンスはある」
「ふふっ、拠点としても、王国に対抗する基地にもなり得るわね」とエルフィナ。
すると、クロエの声がどこからか響いた。
『……選んだのね、あなたは“創る”という道を』
「……クロエ?」
レオルが見上げると、空に淡いピンクの蝶が舞い、彼女の姿が幻影として浮かぶ。
「見届けるわ。あなたたちがこの世界で何を築き、何を守るのか。鍵はもう開かれた……」
ふわりと蝶が舞い、消えていった。
「……なんなんだろうね、、あいつの正体」
セラがぽつりとつぶやく。
ルーナが目を細める。
「あの魔力の質……おそらく、ただの案内人じゃないよ。あれは“記録者”だと思うわ。もしかしたら神に近い存在かもね…」
、、、そう、クロエはただの“試練の案内役”ではない。
世界の構造に何かしら関与し、“レオルの成長”を見届けている者であると、誰もがうすうす感じ始めていた。
「でもいいじゃん!強くなって、拠点も出来て、みんなでわちゃわちゃして……なんか、楽しいじゃん!」
ミルの笑顔が村に光を灯す。
この日、村は“ダンジョン拠点”という新たな機能を手に入れた。
これはまだ序章。
神と人外とモンスターと、そして訳ありの仲間たちが集うこの場所に、、
新たな運命の波が、静かに迫っていた。
続