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第10話 【魔王、湯けむりの誓い】

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


  、、ディアボラは、温泉が好きだった。


 というよりも、「アルシェリアでの暮らし」に心底ハマっていた。


 元•魔王、現•爆乳温泉女将(自称)。

 彼女の一日は、湯の温度確認から始まる。


「うん、今日の湯加減もバッチリね〜♡

 硫黄もちょっと抑えめで、肌に優しい感じねっ☆」


 温泉の前でタオルを巻きながら、ディアボラは自慢げに爆乳を張った。


「はっはっは!魔王って肩書より、こういう“ぬくもり”が大事なのよね~。癒やしは世界を救うのだ♡」


 かつて“魔族の災い”とまで恐れられたディアボラは、アルシェリアではすっかり人気者になっていた。


 その性格は明るくて朗らか、そして少しだけ“お姉さん”っぽい。


 温泉宿に訪れる仲間たちに、彼女はいつも笑顔でこう言う。


「みんな〜♡ちゃーんと肩まで浸かってね♡」


◇ ◇ ◇ 


 ある日の昼下がり。

 ディアボラは宿の裏庭で、リリムと一緒に洗濯物を干していた。


「ひらひら~♪ ディア姉、シーツが空飛んでるみたいだよ~☆!」


「あーはっはっは♪ でしょー? あたしは“洗濯魔法”だって極めたからねっ!」

 ディアボラは陽気に笑いながら、汗をかいたリリムの髪をそっと乾かしてやる。


「はいっ!もう大丈夫。汗かいたら、またお風呂入ろうね?」


「うん……いつもありがとう!ディア姉、好き」


「んふふ、ありがと♡ 

 リリムも、立派な“爆乳癒やし系魔族”になるのよ!」


 リリムはディアボラの胸を見ながら、、

「癒し系、、……なの?」

 

 、、そう、ディアボラは本気だった。


 かつて戦いの中で“奪う側”だったディアボラが、今では“与える”ことで存在価値を得ている。


◇ ◇ ◇


「あたし思うんだけどさ、、、

 生きるって、結局“誰かを笑わせられるか”なのよ」


 焚き火を囲む夜、ディアボラがぽつりと言った言葉に、ルーナが目を見張った。


「はは、それ、魔王のあんたが言うとはね……あたしはてっきり、殴って勝ち取るタイプだと」


「ふふっ、あたし、変わったのよ〜♡

 ……変えてくれたんだよ、レオルが、、みんながさ…」


 思えば、最初は戸惑いばかりだった。


 レオルの理想が、あまりにも「キレイすぎて」

 ディアボラには、それがどこか眩しすぎた。


 でも、、

 幾度もの戦いを経て、信じられる背中が増えた。


 大切な居場所ができた。


 今では、誰かを守りたくて仕方がない。



 「ねぇ、レオル?」

 その夜、ディアボラはぽつりと声をかけた。


「もし、また世界が滅びそうになったら……

 あたし、一番に駆けつけるから♡

 そして一番前で大暴れしてあげるからね♡」


 レオルは少し驚いたように笑った。


「あははっ!ありがとう。でもその前に、、

 みんなで温泉入ってから行こうよ!」


「ぶはっ、そっち!? でも、そうね……

 全員一緒に“ぽかぽか”してから行くのもアリかも♡

 あっ?!もしかして……あたしのおっぱいみたいの?」


 爆乳を自慢げに指差すディアボラにレオルは驚き

「ぶはっ!そういう意味じゃないっっ!!」


「あははっ♡かわいい♡」


 そんな冗談交じりのやりとりが、今では何よりの宝物だった。


◇ ◇ ◇


 ある日。

 ディアボラは、アルシェリアの中心にある“癒やしの広場”に、レオルに頼んで新たな温泉施設を作ってもらった。


 名前は《湯神楽ゆかぐら


 魔族も人間も、どんな種族でも立ち寄れる、笑顔と癒やしの場だ。


「はーい♡“湯神楽混浴でーす”

 ちゃ〜んとタオルでガードしてね☆」


「混浴ぅぅぅ!?」


「こらっ!やめてバンザイ、飛び込まないで!」


「フルーツ牛乳はあるのかな!?」


「ルーナ、目が死んでる……」


 ……と、ひとしきりドタバタしながらも、

 みんなが笑って、心をほぐして、また明日を歩き出せる、、そんな空間だった。


◇ ◇ ◇

 

  夜更け、湯神楽の裏手。


 ディアボラは一人、空を見上げていた。


 もう魔王ではない。

 でも、だからこそできることがある。


「この世界に、争いが戻らないように♪」


 小さく、そっと、祈るように呟いた。


「みんなが笑える日々が、ずっと続きますように、、♡」


 それは、かつての“魔族の災い”が誓った、小さな、小さな願い。

 けれどそれは、きっと誰よりも優しく、強い祈りだった。



       

            続


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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませてもらってます。 さて、ディアボラとレオルの会話の部分で一部カッコがないことに気がついたので報告させてもらいました(・∀・;) これからも執筆活動頑張ってください。
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