第13話 【進化するダンジョンと“神の居場所”】
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「よし、今日は再びダンジョンに挑むぞ」
レオルの一言で、仲間たちが頷く。
前回の攻略で出現が確認された“異空のダンジョン”
あの未知の空間は、どうやら時間が経つにつれ階層が増え、内部構造も変化しているようだった。
しかも、そこには何か“神性”に近いものが眠っている気配がある。
「オッケー!みんな準備は完了してるよ、レオル」
セラが氷の翼をはためかせ、弓を構える。
隣ではミルがメモを取りながら頷く。
「前回の地図はほとんど使えないねぇ。ダンジョンが生きてるみたい……ふふっ、面白いっ!」
エルフィナは小型の杖を抱え、詠唱の準備。
刺客のルーナは腕を組んだまま壁にもたれ、そっぽを向く。
「別に行きたいわけじゃないけど……アンタがピンチになったら、仕方なく助けてあげるんだからねっ!」
「ふふっ、ツンデレにも程があるな……」と、レオルは苦笑した。
そんな和やかな雰囲気の中、バンザイが両手に鍋を抱えて現れた。
「おい、お前たち、遠足前には腹ごしらえだろ?
特製“肉団子シチュー”作ってきたぜ!持ち運び用のカップ付きだ!」
「さすがバンザイ!」
「さっすが、料理パンダ!」
ワイワイと盛り上がる一行は、レオルとミルで発見した洞窟、“古代の神殿跡”と呼ばれていた入口へと向かった。
ダンジョンの中は、以前にも増して深く、広く、複雑になっていた。
だが、レオルにはひとつの“違和感”があった。
(これは……俺の創造スキルが反応してる?)
試しに意識を集中させると、レオルの視界に“構造変更”のアイコンが浮かび上がった。
『スキル【創造】がダンジョン内部の構造データと同期を開始します』
「おお、これ……たぶん使えるな!」
レオルは試しに、複雑に入り組んだ迷路のような通路を直線的にショートカットさせてみた。
壁がゴゴゴと音を立てて移動し、道が開ける。
「ちょっ!? な、なんで壁が開いたの!?」
「ぬっはっはっ!これが俺のスキルの応用だ。
ダンジョン内の構造を“改修”できるっぽい」
「なぬぬっっっ!なんというチート技!!」
さらにレオルは、安全ゾーンを一角に設け、そこには“癒しの泉”と名付けた仮設施設を設置。
ミルがさっそく泉を調べて、
「ちゃんと魔力の流れがあるよ、これ本物の回復ポイントじゃん!」
一行は中層へと突入する。途中で現れたゴーレムを、バンザイとルーナが連携して撃破。
「バンザイ!右!」
「任せろォォ!!二刀・爆裂斬!!」
「ちょっ!後ろは私がやるから、無駄な動きはしないでよっ!」
前回は突破に時間がかかった中ボスも、レオルの設置した“滑る床”や“魔力吸収トラップ”で攻略難度は大幅に下がった。
ついには第7層へと到達。
そこで、一行は微かな視線に気づく。
ダンジョンの最奥部。
そこに、ピンクの髪を揺らす少女が、淡く輝く水晶の中からレオルたちをじっと見ていた。
(……成長したなぁ…)
彼女は言葉を発しない。
ただ、手に持つ“記録端末”のような装置に何かを記録する。
まるで観察するかのように――。
ひとまずダンジョンから一度地上に戻ったレオルたちは、仮設テントで一息ついていた。
「ふぅ……今回はずいぶんスムーズだったな」
「レオルが通路を作ってくれたおかげだよ〜!」
「スキルの応用でここまでできるとはな……
レオル、本当にただの半神か?」
エルフィナがじろっとレオルを見る。
レオルは苦笑しながら、焚き火を見つめて口を開いた。
「……あのダンジョン、もしかしたら“神”が何かを残した場所かもしれない」
「ん?」
「それに、あそこ……村の井戸と繋がってるから、そこを入れるように[創造]すれば……
それを入って来た洞窟とくっつけられれば……」
「それって……拠点にできるってこと?」
「あぁ。俺たちの“もうひとつの居場所”として、使えるかもしれない。資源の搬出も楽になるしな…」
その言葉に、皆の目が輝いた。
ダンジョンは、もはやただの危険地帯ではない。
創造の力で手を加え、仲間たちと共に作り上げていく“もうひとつの世界”。
レオルの中で、確かな意志が芽生え始めていた。
「よし、次は第10層まで制覇するぞ。……俺たちの力で、あのダンジョンを“俺たちの居場所”にするんだ!」
続