第64話 【王都決戦!!滅びと再生の王座】
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王都、最終防衛圏。
空は赤く染まり、大地を揺るがす轟音が響く。
魔法と剣撃、そして“創造”が交差する激戦の只中、レオルたちは王都の中心部を目指していた。
「ここが……王の居城、か」
巨大な黒い宮殿が、天へとそびえるように立っている。その頂には、エルフィナがかつて慣れ親しんだ王家の玉座があった。
そして、その玉座に、彼はいた。
白銀の鎧、漆黒のマント。
エルフィナの実兄にして、かつてモンスターだったレオルを“正義”の名のもとに討った男。
現王都王 《アーゼル=リンド・ラグランジュ》
「くっくっくっ……お前が、まだ生きていたとはな、レオル、、お前があのモンスターだったなんてな、、あーはっはっ!」
城の頂きから見下ろすアーゼルの声は、冷たいが力強い。
「正しく世界を統べるためには、“不確かな創造”など許してはならない。すべては我が秩序のもとに、、」
「黙れ!!」
エルフィナが一歩、前へ出た。
「あなたの正義は、誰かの命を踏み台にするものだった。あのとき、私の目の前でレオルを殺し……
その行いを“正義”だと言い切った」
「私は……私だけは、あなたを許さない!」
「くっくっ、ここまで来れたら遊んでやるよ!あーはっはっ!」
静かに、、戦端が開かれる。
◇ ◇ ◇
「バンザイ! 右から来るよ!」
「了解! 《鉄鍋雷撃・フライパーンブレイカー》!」
バンザイが鍋を振り下ろし、敵兵の魔導機を粉砕。
「リリム! 防壁の後ろから敵増援!」
「はいっ!《暗黒式:零圏の呪牢》!」
漆黒の呪文陣が地面から展開され、敵兵が次々と足を取られて沈む。
「セラ、上空のドラゴンライダーお願い!」
「オッケー!《氷華翔舞・クリスタリアレイン》!」
空から降り注ぐ氷の刃が、竜ごと騎士たちを凍らせていく。
「ミル、魔導障壁が張られた! 解析を!」
「よーし来たっ! 《神文展開・ミル式シーケンス》!」
空間に浮かぶ文字が次々と解析され、仲間の魔法が再び貫通可能に。
「ルーナ、王城裏の影、任せた!」
「……了解。《影躍・夜紡の連舞》!」
影の中をすり抜け、奇襲を仕掛ける。
「ノア、記録支援!」
「創造記録、、完了。 全行動、リアルタイムで補正中!」
「ファル、、?」
「あはは!僕もう“拒絶”しちゃってるよ、、
【拒絶術式】《拒絶因式》、、、発動!」
仲間たちの連携が、ついに王城の中枢へとレオルを押し上げた。
◇ ◇ ◇
そして、レオルたちは玉座前に立つ。
目の前に立ちはだかる、アーゼル。
「創造者レオルよ。その力、確かに見事だ。
だが我が剣は、“神々に選ばれし理”、、
すべてを貫く」
アーゼルの背から、銀色の剣が抜かれた。
それは、“神殿騎士の遺産”にして、神の認可を受けた武器、、《終剣・デウスレイヴ》
「そうか、なら、、試してみろよっ!!」
レオルが手を広げ、光を生み出す。
「俺が創った世界が、お前の“神の剣”に屈するかどうか!」
、、激突。
剣と拳、神と創造、秩序と可能性。
レオルの《創壊剣•ヘヴン=ブレイカー》と、アーゼルの《終剣・デウスレイヴ》が正面からぶつかり、王都の玉座がその衝撃で震えた。
「くっ……!」
アーゼルの剣が弾かれる。
「これが……創造の力……か」
「[創造]の力?違う!!」
レオルが一歩、踏み込む。
「これは、“俺たちの歩いてきた証”だ!」
バンザイの叫び、セラの涙、ルーナの葛藤、リリムの覚悟、ノアとファルの記録、ミルの微笑み、ディアボラの明るさ、エルフィナの切なさ、、
そのすべてを背負い、レオルの拳が最後の一撃を放つ。
「[原初神創造]•《創神崩拳》
《アポカリプス=リソース》!!!」
玉座が砕け、アーゼルがそのまま吹き飛んだ。
神の剣は砕け、虚空へと吸い込まれていく。
「私の……正義は……私のせいぎはぁぁぁ!!」
アーゼルが地に伏し、声を震わせる。
「もう終わったの、、兄さん」
エルフィナがアーゼルに近づく。
「あなたは玉座から降りるべきだった。
正義は、人に与えるものじゃない。
“共に選び取る”ものだから、、」
レオルが静かに、エルフィナの手を取る。
「次は……エルフィナ、お前の番だ」
彼女は小さく頷き、崩れた玉座の上に立つ。
民の視線が彼女に集まり、歓声が響く。
新たな王として、エルフィナが即位する瞬間だった。
◇ ◇ ◇
夜。
戦いのあと、王都の広場で静かな祝宴が開かれていた。
誰もが傷だらけで、それでも微笑みを交わしている。
「お疲れ様☆終わったね」
セラがレオルに寄り添い、言った。
「いや、、始まったんだよ、これからが」
レオルは遠くの空を見上げながら、答える。
星々がまたひとつ、アルシェリアの空に加わった。
それは、すべての戦いを超えて築かれた、新たなる秩序の輝きだった。
続
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