表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/196

第61話 【決戦前夜、焚き火の誓い】

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


 アルシェリアに、穏やかな風が吹いていた。


 焚き火の煙がゆっくりと空へと昇り、広場には小さなテーブルと椅子、そして懐かしい顔ぶれが揃っていた。


 ポポたち旧村の村人たちも、新天地の風にすっかり馴染んでいる。


「これ……懐かしいな。最初の村で植えたカブの種だよ」

 そう言いながら畑の整備をしていたのは、農夫のマール。


「へへ、土の質は前よりいいな。

 さすが創造神様のおかげってやつか!」


 ミルが手を叩いて笑う。


「それもあるけど、みんなが頑張ってくれるから、この場所も“世界”になっていくんだよ♪」


「いいこと言うじゃん、ミルちゃん!」


 バンザイが肩に鍋を乗せながら、炊き出しの準備を整える。

「今夜は特別だぜ。“戦”の前の腹ごしらえってな!」


(え、まだ戦うの……?)

 ポポが不安げにレオルを見る。


 レオルは小さく頷いた。

「……すまない。けど、たぶん、もう避けられない」


 仲間たちは、静かに顔を見合わせた。


 

 夜、焚き火を囲む。


「ほんっとに星が増えたわね~!

 こっち来たばっかの時は“空の設定”すらなかったのに♡」

 ディアボラが寝転がりながら、手を伸ばす。


「やっぱり創造ってすげーな。夜空まで手作りだぜ」

 バンザイがにやりと笑うと、セラがふと目を細めた。


「この空に、皆の思い出が詰まってる気がするよ。……私たちが歩んできた軌跡が、ちゃんと残ってる」


「記録され、意味になり、今につながった……か」


 ファルが静かに頷く。

「僕は拒絶者で観測者だけど、この場所では“誰かの仲間”でいたいと思うよ☆」


「……ふふ、それは記録に残る大事件ね」

 ノアが優しく笑った。


 

 「あれ?……リリムは?」

 レオルが尋ねると、ディアボラが頬を掻いた。


「お風呂入ったあと、ちょっと泣いちゃってさ。

 母親のこと、まだ気持ちに折り合いついてないのよ」

「……でもね」


 そこへ、焚き火に歩いてきたのは、濡れ髪をタオルで拭きながら歩くリリムだった。


「もう、あの人の後ろには戻らないって決めた。

 泣いちゃってごめん…私は、ここにいる」


 皆が彼女の言葉に目を見開く。


「ディア姉に教えてもらった。

 “強さ”って、誰かのために使うもんなんだって」


 リリムが静かに微笑む。


「だから、私は私の意思で戦うよ。

 アルシェリアと、ここにいるみんなを守るために」


 ディアボラは無言で彼女の頭を撫でた。


 

 そして、夜も更けて。


 レオルがぽつりと呟いた。

「そろそろ……“終わり”を考えないとな」


「え?」

 ミルが驚く。


「もちろん、悲観してるわけじゃないよ。

 俺たちがここまで来れたのは、間違いなく奇跡だ」


「でも、この世界の“創造”には、終わりがあるってこと?」

 セラが真剣な目を向ける。


「ああ、どこかで“決着”をつけなきゃいけない。

 俺たちの存在が、ただの干渉じゃなく、“未来”そのものになるように」


 その言葉に、全員が深く頷いた。


 戦う理由は、それぞれの中に確かに根付いていた。


 仲間のため。


 守りたい日常のため。


 かつての自分を超えるため。


 そして、未来を奪わせないために。


「あぁー、あとそろそろ“のんびりスローライフ”したいなぁ、って思ってね…ダメ?」


 レオルのその言葉に、みんな大爆笑して、、


「「「スローライフ!オッケー!!」」」


◇ ◇ ◇


 その頃、未来王都・魔導研究区。


「やっぱりあいつらじゃダメだったか…」


「……準備は整ったか?」


 冷たい声が響く。


 義手の男と黒髪の少女、、

 未来から来た軍服の2人組が、再び姿を現していた。


「世界創造の過程にある“神性”は、今こそ奪える段階」


「旧神さえも干渉しなくなった今、空いた“座”に我らが名を刻む時だ」


 

 二人は魔導炉の前に立ち、未来技術で解析された異物を取り出す。


 それは、“時間跳躍式召喚装置”。


「呼び出すのは、“未来で神すら滅ぼした存在”……」


「特異存在•《ヴァル=サンクション》

 記録されなかった“絶対存在”」


 

 機構が展開し、時空が震えた。


「神でもなく、旧神でもない。完全な逸脱者を召喚し、レオルの“創造世界”を支配する」


 未来王都の奥深く。


 かつての王女の居城だったその場所から、時空が黒くひずみ、忌まわしき“存在”の輪郭が浮かび上がっていた。


 


  世界は、静かに終わりへと向かい始めていた。




            続

 …5

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ