第12話 【新たな家、新たな仲間。ツンデレ刺客とパンダの昔話】
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村に集う仲間は、今や五人と一匹。
レオル、ミル、ポポ、セラ、エルフィナ、バンザイ、、
「はいはい、できたぞ。エルフィナの家は、花のアーチ付きな」
「わぁっ、すっごい……! レオル、これ、本当に一晩で作ったの?」
「まぁ!スキル様様だな。喜んでもらえたならそれでよし!」
レオルは“創造”のスキルを駆使して、仲間一人一人に合った家を作っていた。
ミルには本棚いっぱいの丸い書庫風ハウス。
セラには氷の魔力を活かした、冷気が心地よい涼しげな家。
バンザイには厨房付きの頑丈な作りのログハウス。
「ふむ、わしの家……完璧じゃな。火力調整もばっちり。これで本格中華もいけるぞ!」
「バンザイって、どこの世界線のパンダなんだよ……」
そんなやりとりをしていると、バンザイがふと空を見上げてつぶやいた。
「……昔なぁ、山奥にぽつんと建った小屋に一人で住んどったんじゃ」
「えっ?」
皆の手が止まる。
「森で修行しとった……わしは力も知恵もあったが、誰もそれを見てくれん。モンスターのくせに刀を持つなと、人も魔族も怖がった」
ふぅ、とため息をつくパンダ。
「でも、今は違う。ここには……わしの料理を食べてくれる仲間がいる。戦いを預けてもいい仲間がな」
「バンザイ……」
レオルはパンダの背中をポンと叩いた。
「よかったな!俺たちに会えて!そんなバンザイの家は、俺の自信作だ。料理も修行も、好きにやってくれよ!ここがお前の居場所だよ!」
「ふふん、嬉しいこと言ってくれるじゃないの!
全部わしに任せておけぃ!」
その夜。
焚き火を囲むメンバーたちに、突然気配が走る。
「……!」
「誰だっ!」
レオルが構えようとした瞬間、木陰からひょっこりと現れたのは、、、
「は、はじめましてじゃないけど……その、ここ、住んでいい……?帰れなくなっちゃって……」
「あなた、あの時の刺客!?」
セラが驚きの声を上げる。
その少女は黒装束をまとい、ツンとした表情で目をそらしていた。
だがその頬は赤く、目元はどこか寂しげ。
「な、なんでお前が……」
「別に! 住みたいとかじゃなくて! あんたらの村、気になっただけだし!」
ツンとすねる彼女。名は、、まだ明かしていない。
「……王国でな、あたし、ずっと失敗ばっかで。誰にも認めてもらえなくて……居場所なんて、なかったんだ」
ぽつりと漏らす声に、皆の表情が和らぐ。
「手柄立てたくて、ここに来たんだけど、でも、ぱんだに負けた。返り討ち。……なのに、あんたらは殺さなかった」
沈黙が落ちた焚き火の輪に、レオルが静かに手を伸ばす。
「だったら、ここに住めよ!ここには、お前を責めるやつはいない。……居場所がほしいなら、作ればいい!何ならすぐに家建ててやるぞ!」
「……ば、馬鹿じゃないの。何よそれ。ほんと、信じられない……」
彼女は唇を噛みながら、そっと手を伸ばして、その手を握った。
「仮だからな! あたしは仮にここにいるだけ! 本気じゃないし!」
「はいはい、ツンデレさんひとり入りま〜す!」
ミルがくすくす笑いながら、彼女の肩をぽんと叩いた。
こうして、新たな仲間が加わった。
名前はまだ明かさない、、けれど、確かに“ここ”が、彼女の新たな居場所になっていくのだろう。
その夜、空を見上げたレオルのもとに、ふわりと“スキル反応”が届く。
【スキル『創造』が成長条件を満たしました】
【新たなカテゴリ『住環境設計』が解放されました】
「……また、ちょっとずつ強くなっていくな、俺たちの村も……」
静かに呟いたレオルの横で、皆の笑い声が夜空に響いていた。
続




