第57話 【創造神、単騎】
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選定空間、最奥。
そこは理性すら霧散する、“絶対評価の場”。
選定の旧神アイン=グラウスが、白銀の仮面越しにレオルを見下ろしていた。
「仲間は、それぞれの試練を突破した」
レオルがゆっくりと歩を進める。
「だから、ここからは、、俺が一人でやるよ!!」
『不合理。仲間との連携は、お前の特性。
その強みを捨ててどうする?』
「ははっ!捨てないよ…仲間を信じてるから、、
俺はここに立っていられる、、あと、お前さ、、
俺のこと“弱いと思ってない”?」
神核が脈動を始め、レオルの全身に創造の回路が刻まれていく。
金色の光が肌を走り、意志が空間を染める。
「“創造”ってのは、設計図を書くことじゃないッ!!
未来を、自分の手で塗り替える力だ!」
、、、[創造]開始。
右手に宿ったのは、巨大な剣。
《神剣創•ラグナ=フォース》
その刀身は世界の重力を引き寄せ、斬るだけで空間が軋んだ。
『試すがいい。我が秩序に届くか、“未定の役割”よ』
アイン=グラウスが静かに手を掲げ、、
虚空から《選定の秤》を召喚する。
その秤は、レオルという存在を“数値化”し、“適正”かどうかを決定しようとしていた。
《選定開始、、創造者、評価中》
「お前の小さな秤で俺をはかるなよ!!
喰らえっ!《開闢一閃•アルファゼロ》!!」
レオルが駆け出す。
振り抜いたラグナ=フォースの一閃は、空間の“始まり”まで巻き戻す原初の斬撃。
法則も、地形も、意味も、、“初期化”され、秤を貫いた。
『なにっ?!秤の機能を……力で破壊……!?
ば、馬鹿な……!』
アイン=グラウスの声に、初めて“揺らぎ”が走った。
「これが、“創造者”の力だよ……!」
レオルが構え直す。
「それに、お前が測ってるのは、俺だけじゃないッ!!」
レオルの背後に、仲間たちの姿が浮かぶ。
セラ。雪精の優しさは、氷に宿る決意へ。
ミル。知識の奔流は、希望の魔導書をめくるように。
バンザイ。戦場の鍋は、村を守る炎へ。
エルフィナ。放つ弓矢は、どこまでも優しく。
ルーナ。影を背負い、過去を超えて今を生きる。
ディアボラ。力と笑顔で道を拓く、“爆乳魔王”。
ノア。記録者の目は、今ここにある真実を見つめていた。
リリム。迷いの中で、戦う意味を探す少女。
そしてファル。拒絶と共に、誰よりも強く“肯定”する少年。
「みんなと戦って来たから、今の俺があるんだ!」
レオルは両手を広げ、魔法陣を展開。
《概念創造•EXコード•自由意思》!
その力は、神ですら持たない“変化する意志”の概念。
空間に組み込まれていた秩序構造を、根本から塗り替えていく。
「未来を、選ぶのは俺たちだ!!!」
アイン=グラウスの仮面の奥で、“恐れ”が生まれた。
『……“未定の者たち”が……神の構造式を上書きする……?』
レオルがさらに叫ぶ。
「《神核開放•アルシェリア•エディション》!」
背後に広がるのは、彼らが築いてきた“世界”。
仲間と共に作った村、争いのない暮らし、、
“秩序”に頼らない平和。
「世界はもうある。あとは、、、
この[創造]で守るだけだ!!!」
拳に[創造]を凝縮し、、、
《神創壊拳•ヘヴン=ブレイカー》!!
殴りつけたその一撃は、“選定”そのものを否定する。
創られていない存在に“存在資格がない”という神の原理を、レオルの創造が破壊した。
アイン=グラウスの胸に、拳が突き刺さる。
『創造者の評価、、完了。未定にして至高。
存在価値、、計測不能』
秤は砕け、構造式は煙のように散った。
そして、、旧神は崩れ、光の粒となって空間に溶けていった。
レオルたちは“選定”を、超えた。
◇ ◇ ◇
空間が閉じ、試練を終えた仲間たちがレオルのもとへ戻ってくる。
「レオル!大丈夫だった?」
ミルが真っ先に駆け寄り、腕を取った。
「ははは、ちょっと暴れすぎたけど……なんとかなったよ!みんな無事か?」
「うん!みんな無事だよ☆てかチートすぎ…!」
笑顔で並ぶ仲間たち。
「あはは!ほんとに、一人で……あんな神相手に……!」
ファルが呆然と呟く。
「さすがは……うちの村長さま、だな!」
バンザイが鍋を担いで、にやりと笑った。
「水をさして悪いけど……まだ終わってはいない」
ノアの記録紙が震えていた。
「アイン=グラウスは、“完全に消えた”わけじゃない。構造の奥に、残響がある」
ノアの目が、空に浮かんだ記録構造式を読み取る。
、、、そこに刻まれていた名。
《境界の管理者・サティリオン》
「次は、“世界と世界の繋ぎ目”……か」
ファルが、空の彼方を睨みつけた。
「時間か、空間か……あるいは、“存在の揺らぎ”そのものか」
レオルは黙って空を見上げる。
、、、まだ、終わっていない。
けれど、確かに一歩を越えた。
仲間たちが守った想いを、たった一人で打ち返し、、“神を超えた”。
創造の名を背負う者。
その名は、、レオル。
“創造神、単騎”。
その記録を、世界が永遠に記した。
続
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