第56話 【選定の旧神アイン=グラウス】
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選定の扉は、沈黙のまま空に開かれた。
その形は幾何学の迷宮。すべての角度が“秩序”を意味し、全方向から同時に“測定”されているような威圧感を放っていた。
「これは……見ている、いや、“評価しているね”」
ファルが眉をひそめた。
「構造、精神、魔力の流れ、過去の行動まで……
この扉は“全記録”を参照して、最適な未来を算出してるんだ」
そのとき、迷宮の中心に、“存在”が現れた。
身を覆う白銀の外套。顔は無機質な仮面で覆われ、瞳の位置に光が宿っている。
『……我はアイン=グラウス。役割選定の権能を司る旧神である』
声は単調にして無機的。
だがそのひとつひとつが、空間に刻まれていくようだった。
『創造世界アルシェリアの管理者、レオルよ』
アインはレオルを指し示す。
『汝の創造は不完全。役割未定の存在を多く内包し、均衡を乱す要因となり得る』
「未定じゃない。まだ“決まってない”だけだ」
レオルが静かに言い返す。
「みんなは、俺が選んだ仲間だ。
まだ定まってなくても、“ここにいる”って意味がある!」
『ならば、選定を行う』
アインが片腕を上げる。
『汝ら十名、それぞれに“真の役割”を問う』
その瞬間、、、!
空間が“割れた”。
全員の足元が別々の世界に引き裂かれ、それぞれが違う構造の“試練の間”へと強制転送される。
そこは、レオルの仲間一人一人に“理”の刃を突きつける審判空間だった。
◇ ◇ ◇
【試練領域•セラ】
セラの前に立ちふさがるのは、氷の女王と呼ばれたかつての精霊たちの幻影。
『お前に戦闘の役割は重すぎる。戦場では足手まといとなるだけだ』
「それでも、、わたしは、レオルのそばにいたい!」
セラの背に氷の翼が広がる。
「この力は、“冷たい思い”のためにあるんじゃない! “支える”ためにあるの!」
《氷鏡陣•シュネーヴァント》!
七枚の氷の鏡が展開され、敵の攻撃をすべて反射する。
さらに、中心の鏡からは《白翼の輝閃》
冷気の光線が閃き、幻影を貫いた。
◇ ◇ ◇
【試練領域•バンザイ】
バンザイの前には、“料理では戦えない”という象徴の幻影が立ちはだかる。
『戦いとは力。鍋では守れない』
「黙れ……この鍋は、俺が守ってきた“居場所”なんだよ!」
バンザイが地を踏み鳴らし、構える。
「聞け、俺の全力料理魂!!!」
《轟爆鍋拳・爆裂豚骨味噌スープ》!
炎を纏った鍋を回転させながら殴りつけ、、
爆風とともに戦場を駆ける。
続けざまに、、
《豪快!背脂ブレード・二刀流》!
鍋の蓋が剣に変化し、斬撃と風圧で幻影を粉砕した。
◇ ◇ ◇
【試練領域•ミル】
『知識だけでは何も変えられない、、
お前はただ“見ているだけ”の者だ』
「それでも……学んで、伝えて、みんなを、、
レオルを助けてきたんだ!!」
ミルの瞳に魔法陣が浮かぶ。
《叡智詠唱・ミラグラン=コード》!
無数の光文字が宙に走り、幻影の術式を打ち破る。
さらに、杖から放たれた《語彙爆発・辞典ビーム》が、知識の力で空間ごと押し返した!
◇ ◇ ◇
【試練領域•ディアボラ】
戦うたびに破壊する己を、“役割なき破壊者”と否定される幻影。
「私は……壊すためにここにいるんじゃない!」
両手を広げて、叫ぶ。
《魔焔咆哮・ラグナロク☆バスト》!
胸元から焔が爆発し、幻影を押し流す。
さらに、
《爆乳魔砕覇・ギガギガマグマ》!
大地ごと割るほどの魔力が炸裂し、審判空間ごと吹き飛ばす。
「この爆乳は飾りじゃないんだからッ♡!!」
◇ ◇ ◇
【試練領域•ノア】
『記録に徹するだけなら、お前に心は不要』
「……だったら、その心で、この記録を選んだ理由を教えてあげる」
《全記録展開・レメンブランシア》!
過去の仲間の映像が幻影を包み、意味と記録で塗り替える。
さらに、《記憶封断・エディットフィールド》で敵の“存在”そのものを上書き・削除する!
◇ ◇ ◇
【試練領域•ルーナ】
『影に生きる者に、表舞台の資格などない』
「違うんだなぁ…、影があるから、光は輝くんだよっ!!」
ルーナがナイフを構え、静かに気配を断つ。
《影閃・トワイライトステップ》
空間の境界を越え、敵の背後へ瞬間移動。
続けて、
《黒葬の刃・カゲサラシ》!
影の刃が幻影を飲み込み、“存在の輪郭”ごと葬る!
◇ ◇ ◇
【試練領域•ファル】
『お前は拒絶しかできない。創造には向かない』
「あっそ!そー思ってれば……
僕の拒絶とは、選び取るための意思だよ!」
ファルの拒絶式が光を放つ。
《拒絶式典・デッドライン=ゼロ》!
世界の法則を遮断し、“選ばなかった未来”を消し飛ばす。
さらに、、
《未選定領域・シンギュラーノート》!
自らの存在を“選択の余地”として突きつけ、幻影を論破・破壊!
◇ ◇ ◇
そして仲間の全てが終わると、、
レオルの試練は、最後に回された。
彼の前に立ったのは、アイン=グラウスの幻影。
『創造者よ。汝は仲間に役割を委ねすぎた。“管理者”として不適格』
「そう思うなら、、試してみろよ!」
レオルの神核が光り、創造魔法が展開される。
[原初神創造]•《創界顕現・アルシェリア・コード》!
全仲間の創造力を再現し、複合魔法陣が爆発する!
「一人じゃない。“全員の創造”でお前を超える!!」
ついに、最終試練•創造の選定が始まった!
続
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