第49話 【記憶の扉が閉じる時】
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記憶階層、その最深部。
全員が並び揃った。
過去の痛みも、迷いも、手放せなかった願いも、、
今やすべて、ここにある“今の自分”に繋がっている。
「やーっと、戻ってきたって感じだな」
バンザイが腕を回しながら、重たい身体を伸ばす。
「でも……不思議。まるで心の奥が、軽くなったみたい」
セラがそっと胸元を押さえ、目を伏せる。
「記憶って、怖いね。痛いことも嬉しいことも、忘れたくないことも……こんなにいっぱい詰まってるなんて」
ミルは少し涙ぐみながらも、笑っていた。
仲間たちは、それぞれの“心の旅路”を終えた。
ルーナはかつての闇に別れを告げ、
ノアは記録者としてではなく“ノア”という少女としてここに在る決意をした。
ディアボラは魔王である自分を超えて《守る存在》として歩み始めた。
エルフィナは“王族”としての宿命に区切りをつけ、
ファルは拒絶ではなく“共に生きる”という選択を受け入れた。
そして、リリムは母への想いと、レオルたちとの未来を選び取った。
「……俺も、もう迷わない」
レオルが皆を見渡す。
「モンスターだった俺が、創造者になった。これは奇跡かもしれない。でも、仲間がいたから進めた。
これからも……この手で創るよ。“皆が帰れる場所”を」
静かに、記憶階層の空が閉じ始める。
まるで、この旅が“一区切り”を迎えたかのように。
「さあ、みんな帰ろう!アルシェリアに」
ファルが空を見上げながら言った。
「世界は止まらない。僕たちが過去に向き合っている間にも、、何かが動いてる気がする」
「そうだな。静かすぎる夜ほど、嵐の予兆ってやつだよね〜♡」
ディアボラが大きく伸びをして、髪をかき上げ、胸を揺らす。
記憶階層の扉が完全に閉じられたその瞬間、、
ノアの記録紙が、淡く揺れた。
「……“観測外反応”?」
ノアが目を細める。
「これは……明らかに“記録されていない神域”からの信号……!?」
その言葉と同時に、空間の隙間から、一筋の光が落ちてきた。
黄金の柱。
それはまるで、“何かを封印していたもの”が壊れた合図のようだった。
「まさか……また旧神が、“目覚めた”……!?」
ファルが震える声で呟いた。
すべての記憶が整ったからこそ、開く扉がある。
そして、世界の深層で動き出す“神々の記録”。
記憶階層からの帰還は、同時に、新たなる試練の始まりを告げていた。
◇ ◇ ◇
こうして、記憶の旅は完全に終わった。
だが、世界はまだ“完全ではない”。
それは、かつてこの世界を築いた“旧き神々”が、今も眠っているから。
再び始まるのは、、、
《旧神との対峙》
“理”の奥に潜む存在と向き合い、
レオルたちは、世界そのものの運命を選び取る。
そして、彼らが創る未来に、、
本当に、この戦いの先に“争いなき世界”は生まれるのか?
続