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第11話 【王国の刺客と、パンダの真価】

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


 深夜の村。

 星がきらめき、焚き火の小さな炎が揺れる。


「むにゃ……むにゃ……あれ……?」


 ミルが寝ぼけ眼で起き上がり、テントの外を見た瞬間、、、その目が見開かれた。


「っ、レオル!? 外に誰かいるよ!!」


 叫び声に反応し、レオルはすぐに跳ね起きる。


 村の周囲に設置した創造スキルの防壁に、小さな“ヒビ”が入っていた。そこに、黒装束の人影が静かに手を当てている。


「侵入者か……!」


 レオルはすぐにスキル[創造]で防壁の補強を図るが、間に合わなかった。


「くっくっくっ!来たか、“半神”よ」


 月明かりの中、姿を現したのは、全身を黒装束で包んだ長身の影、目だけがギラリと光り、禍々しい気配を放つ。


「……お前は、王国の者か」


「正確には“影の者”。王に仇なす存在を潰すためにのみ存在する、非公式の執行者だ!」


「“非公式”、だと?」


「王国は表向き、“この地には干渉しない”と声明を出した。だが裏では、お前たちとこの村を危険視している。だからこうして、“消し”に来た」


 言葉を終える前に、刺客の足元が砕け、驚異的な速さで接近してくる。


「ぐっ!!!!」


 レオルは回避に集中するが、攻撃は鋭く、体勢を崩されかける。


 その時。


「おいおい!喧嘩なら、俺も混ぜてくれよ!」


 重低音のような声とともに、二本の刀が月光を裂いた。


 斬撃は風を起こし、黒装束の刺客をあと一歩のところで止める。


「バンザイ!!」


「まったく、眠れない子羊ちゃんに夜食作ってたら面倒な匂いがしてきたからさぁ……。俺の料理場、荒らすんじゃねえぞ?」


 バンザイは二本の刀を手に、刺客の前に立つ。


「……妙な獣だな。だが、邪魔ならまとめて斬るぞ!どのみち皆殺しだ!!」


「ふふっ…そう言う奴、昔からいっぱいいたさ。でもな、、、」


 バンザイが踏み込む。


 爆発的な速度と、信じられない太刀筋。


「俺が斬るのは、“食材”と“料理の邪魔をする奴”だけだ!」


 二刀がクロスし、火花を散らす。


 それはまるで、剣術と武の舞踏。


 レオルはその隣で、刺客の動きを観察しながら考える。


(こいつ……バンザイはただの料理人じゃない。動きがまるで、プロの剣士……いや、軍の将軍クラスか!?)


 やがて、バンザイの刀が一本、刺客のマントを断ち切った。


「ッ……!」


「服は切った。でも次は……」


 だがその時、刺客の目がレオルに向いた。


「貴様が本命だ、“半神”。死ねぇぇ!!」


 バンザイの攻撃をすり抜けるように、刺客は一気にレオルへ。


 レオルはとっさにスキルを発動する。


[創造•盾壁召喚]


 しかし、刺客の刃は盾を穿ち、レオルの肩をかすめた。


「がっ……!」


「レオルぅーっ!!」


 ミル、セラ、エルフィナが叫び、駆け寄ろうとする。


 だがその時、、


「ちっ!ふざけんなよ!てめぇ!!」


 バンザイの声が低く響いた。


 その目は、これまでの陽気さが嘘のように、冷たく光っていた。


「俺の仲間を斬ろうとする奴には……マジで、容赦しねぇからな!」


 二刀が唸りを上げ、刺客の刃を弾き返す。


 圧倒的な反撃。


 バンザイの刀が交差し、まるで“風の渦”のように敵を包み込む。


「終わりだよ…散れ、[二天乱斬]!」


 斬撃が空間を断ち、刺客の仮面が砕ける。


「ぐあぁぁぁあっ……!」


 黒装束は地に倒れ、そのまま気絶した。


 バンザイは刀をおさめると、振り返ってニッと笑った。


「やっぱり、俺は戦うより料理してる方が好きだなぁ」


「ありがとう!バンザイ!」と言って、レオルが刺客を[創造]で作った縄で縛ろうとすると、、、


「んっ!?えっ!おんなぁぁぁぁ!」と叫んだ!


 その声で目を覚ました刺客は「くっ!」と言い、闇に姿を消した。


 

 そして、レオルは肩を手当てされながら、刺客が落とした荷物を見ていた。


「んっ?これは……?」


 巻物がひとつ、封印された文字で閉じられていた。


 レオルがそれに触れた瞬間、何かが解放された。


【スキル進化•加護付与の鍵を解放しました】


 レオルのスキルに、見慣れぬ項目が追加されている。


【加護の鍵】

・信頼と絆により、対象に一時的な祝福を付与する

・付与対象の特性に応じた“加護”を創造する


「またなんか覚えたな…でもこれは、皆を守る力だ」


 レオルは静かに立ち上がり、バンザイに目を向けた。


「お前がいてくれて、本当に助かった。改めてありがとう、バンザイ」


「気にすんなっ!レオルの料理場、、じゃなかった、この村が好きなんだ。だから守るのも、当然だろ?」


 レオルとバンザイとみんなが笑い合うその背後で、朝日が静かに昇り始めていた。



            続

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