表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/196

第42話 【新たなる創造、命の源へ】

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


  朝靄が、静かに村を包んでいた。


 昨日の戦いの余韻がまだ残る中、アルシェリアの地は、まるで鼓動を刻むように穏やかに揺れている。


 「おはよう、リリム♡」


 ディアボラが笑顔で声をかけると、リリムは少し照れくさそうに手を振った。


「う、うん……。おはようございます、ディアボラさん……」


「“さん”なんて、やめなさいってば。

 私たち、もう“仲間”なんだからさ!

 あんまり母性くすぐると母乳でちゃうじゃない♡

 あははっ!」


 豪快な笑い声とともに頭をポンポンと撫でられ、リリムの頬が少しだけ赤くなる。


「……なんだろ。こんな風に挨拶できるの、すごく久しぶり……」


 そこへ、レオルがやってきた。


「ディアボラ、リリム。ちょうどいい。

 これから、新しい“創造”を行うんだけど、一緒に見るか?」


「今度は何を作るの〜♡私との子供?」


「ぶっっっ!違うよ、“命の泉”だよ」

 レオルの言葉に、皆が目を見開く。


 村の中心、かつて創造の石碑が出現した場所。

 その地面に、レオルは静かに手を当てた。


「アルシェリアに生きる命たちの、根源となる“水脈”を生み出す」


 レオルの[創造]の魔力が集い、地脈と共鳴する。

 次の瞬間、大地が脈動し、、


 


 ゴゴ、、ゴゴゴゴゴ……!


 


 石碑の足元から、眩い光を放つ“泉”が噴き上がった。


 水ではない。それは“エネルギーそのもの”だった。

 透明で、命の気配を持つ液体が、ゆっくりと泉を満たしていく。


 

「これが……“命の泉”……」

 ミルが言葉を失う。


「この世界に、生命を定着させるためのコアね」

 ノアが頷く。


「ただの水じゃない。創造と観測、そして希望の結晶……!」


 

 そのとき、、、


 リリムが、一歩前に出た。


「あの〜、私が……私が、この泉に“名前”をつけてもいいかな?」


 皆が驚いてリリムを見る。


「私もこの場所を守りたい。

 だから……名を与えることで、私の“意思”も込めたくて……」


 レオルは静かに微笑み頷く。


「もちろん。君はもう、俺たちの“創造者の一人”だ」


 リリムは微笑むと、そっと泉に手をかざした。


「ありがとう。なら……この泉の名前は、“ルミナ”」


「ルミナ?」


「“夜を越えて、光を生む”って意味。

 ……私自身が、そうなれたらいいなって思ったの」


 「うん!いい名前だなっ!」

 

 その言葉に、泉が優しく光を返した。

 命の脈動が、村全体に広がっていく。


 

 その夜。泉の周囲には自然と花が咲き、光る蝶のような小さな生命体が舞っていた。


 そして宴がまた開かれる。


 バンザイが泉の水を使ってスープを仕込み、セラが氷の器を創り、ノアはそっと記録帳を閉じた。


 

「……ほんと、いつも騒がしいけど……悪くない、ね」

 リリムがぽつりと呟いた。


 すると隣に座っていたディアボラが、彼女の肩をぽんと叩く。


「ね、リリム。“次”はあんたの料理、出してみたら?」


「へっ……私の料理?そんなの無理……」


「いいから、まずちゃんと“混ざってみる”ことから始めなさいな♡」


 

 レオルは、そんなやり取りを微笑ましく見つめていた。

 世界を創るというのは、こういうことだ。


 “誰かが、自分の意思で立ち、居場所を作っていく”。


 

 夜空には、今日も希望の星が光っていた。

 レオルたちは確かに“輝き”を見ていた。


 それは、“ここで生まれようとしている命”の光だった。


◇ ◇ ◇

 

 そのころ、魔界では、、


 深黒の神殿にて、謎めいた人物が静かに目を開け、水晶を眺めていた。


「まったく、戦馬鹿共は何をしてるんだか……

 んっ?ほう……アルシェリアに、“泉”が生まれたのか。ならば、次に狙うは、、“神々の残した器”だな」


 声と共に、黄金の仮面を被った人物が立ち上がる。


 “旧神の祭司”、《ゼル・エグレイル》


 彼の足音が、遠い世界の未来を揺るがせようとしていた、、、



           続

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ