第42話 【新たなる創造、命の源へ】
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朝靄が、静かに村を包んでいた。
昨日の戦いの余韻がまだ残る中、アルシェリアの地は、まるで鼓動を刻むように穏やかに揺れている。
「おはよう、リリム♡」
ディアボラが笑顔で声をかけると、リリムは少し照れくさそうに手を振った。
「う、うん……。おはようございます、ディアボラさん……」
「“さん”なんて、やめなさいってば。
私たち、もう“仲間”なんだからさ!
あんまり母性くすぐると母乳でちゃうじゃない♡
あははっ!」
豪快な笑い声とともに頭をポンポンと撫でられ、リリムの頬が少しだけ赤くなる。
「……なんだろ。こんな風に挨拶できるの、すごく久しぶり……」
そこへ、レオルがやってきた。
「ディアボラ、リリム。ちょうどいい。
これから、新しい“創造”を行うんだけど、一緒に見るか?」
「今度は何を作るの〜♡私との子供?」
「ぶっっっ!違うよ、“命の泉”だよ」
レオルの言葉に、皆が目を見開く。
村の中心、かつて創造の石碑が出現した場所。
その地面に、レオルは静かに手を当てた。
「アルシェリアに生きる命たちの、根源となる“水脈”を生み出す」
レオルの[創造]の魔力が集い、地脈と共鳴する。
次の瞬間、大地が脈動し、、
ゴゴ、、ゴゴゴゴゴ……!
石碑の足元から、眩い光を放つ“泉”が噴き上がった。
水ではない。それは“エネルギーそのもの”だった。
透明で、命の気配を持つ液体が、ゆっくりと泉を満たしていく。
「これが……“命の泉”……」
ミルが言葉を失う。
「この世界に、生命を定着させるためのコアね」
ノアが頷く。
「ただの水じゃない。創造と観測、そして希望の結晶……!」
そのとき、、、
リリムが、一歩前に出た。
「あの〜、私が……私が、この泉に“名前”をつけてもいいかな?」
皆が驚いてリリムを見る。
「私もこの場所を守りたい。
だから……名を与えることで、私の“意思”も込めたくて……」
レオルは静かに微笑み頷く。
「もちろん。君はもう、俺たちの“創造者の一人”だ」
リリムは微笑むと、そっと泉に手をかざした。
「ありがとう。なら……この泉の名前は、“ルミナ”」
「ルミナ?」
「“夜を越えて、光を生む”って意味。
……私自身が、そうなれたらいいなって思ったの」
「うん!いい名前だなっ!」
その言葉に、泉が優しく光を返した。
命の脈動が、村全体に広がっていく。
その夜。泉の周囲には自然と花が咲き、光る蝶のような小さな生命体が舞っていた。
そして宴がまた開かれる。
バンザイが泉の水を使ってスープを仕込み、セラが氷の器を創り、ノアはそっと記録帳を閉じた。
「……ほんと、いつも騒がしいけど……悪くない、ね」
リリムがぽつりと呟いた。
すると隣に座っていたディアボラが、彼女の肩をぽんと叩く。
「ね、リリム。“次”はあんたの料理、出してみたら?」
「へっ……私の料理?そんなの無理……」
「いいから、まずちゃんと“混ざってみる”ことから始めなさいな♡」
レオルは、そんなやり取りを微笑ましく見つめていた。
世界を創るというのは、こういうことだ。
“誰かが、自分の意思で立ち、居場所を作っていく”。
夜空には、今日も希望の星が光っていた。
レオルたちは確かに“輝き”を見ていた。
それは、“ここで生まれようとしている命”の光だった。
◇ ◇ ◇
そのころ、魔界では、、
深黒の神殿にて、謎めいた人物が静かに目を開け、水晶を眺めていた。
「まったく、戦馬鹿共は何をしてるんだか……
んっ?ほう……アルシェリアに、“泉”が生まれたのか。ならば、次に狙うは、、“神々の残した器”だな」
声と共に、黄金の仮面を被った人物が立ち上がる。
“旧神の祭司”、《ゼル・エグレイル》
彼の足音が、遠い世界の未来を揺るがせようとしていた、、、
続