第1話 【スキル創造しかないんだが!?】
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俺の名前はレオル。
……だった“もの”だ。
最期の記憶は、王国の城で燃え盛る炎の中、、
人間の王女をかばって剣に貫かれた瞬間だった。
モンスターである俺は、王族を庇うという“異常”な行動をしたせいで、当然ながら討伐された。
それでも後悔はなかった。
(せめて……あの子だけは……)
意識が途切れたあと、俺は、、
神と名乗る奇妙な存在に出会った。
「おーい!お主、モンスターなのに面白いやつじゃのぉ。半分だけわしの力をやろう。あとは自分でなんとかせい」
「は? いや待て、ちょっと待て、話が早すぎ……」
次に目を覚ましたとき、俺は“未開の大地”にいた。
真っ青な空。
見渡す限りの森林。
文明の香りゼロ。
ある意味ピュアオブピュアな大自然。
「……転生したっぽいな」
手を見ると、かつての爪も鱗もない。
代わりに、神性を帯びたような光を帯びる人の手。
神様いわく、“半神”として転生したらしい。
ステータスを確認すると、見慣れぬスキルがひとつだけ浮かんでいた。
【スキル:創造】
・素材を組み合わせて構築可能
・概念や文明に応じた精度が影響
・“信頼と居場所”によって成長する
「……なんか条件付きってのが、逆に怪しいな」
攻撃系ゼロ、防御系もゼロ。
これでどうやって生きてけってんだ……。
と、腹の虫がグゥーっと鳴った。
そうだ、飯だ。まずは飯を探さないと、、また死ぬことになる…
「……あ」
辺りを探索してると、茂みの向こうに倒れている少女を見つけた。
銀髪の獣耳。木の実のカゴを抱えて気絶している。
「おーい、生きてるか?」
近づくと、彼女は目を開けて、かすれた声で言った。
「お、おにく……ください……。ぐぅ……」
なんだこの子、めちゃくちゃ腹減ってるじゃん。
俺は近くで果実を集め、水を探し、スキル[創造]で“即席の炊き場”を作った。
……思った以上に、創れる。
鍋っぽい何かと、火を起こす簡単な装置、あと木の皿とカップ。
サバイバルセット完成だ。
「ほれ、ほかほかの実のスープだ」
「!!」
少女は目を輝かせてがっついた。すごい勢いだ。
食べ終わったあと、ぺこりと頭を下げる。
「わたし、ミル。賢族っていう、知識を探す旅をしてるの」
「賢族……お前、そんなすごいやつだったのか」
「でも…、木の実採ってたら迷って、腹減って、倒れた〜あははっ」
「なんというポンコツ……」
だがなぜか憎めない。
「それにしても、この辺りって……たぶん、魔族も人間も来ないはずなんだけど。どうしてここにいるの?」
そう言ったミルは、俺の周囲を見回した。
俺はなんとなく答える。
「んー?そうだなぁ?この地に……村でも作ろっかな〜?と思って…理由はまだ、よくわかんねぇけどな…」
自分で言って驚いた。
でも、胸の奥が温かくなった。
かつて守れなかった王女。
俺が否定され続けた“モンスター”という存在。
今度こそ、俺は――
「ここに“居場所”を作る。誰にも壊されねぇ場所をな。うん!そうしよう!!」
そう口にした瞬間、スキルが反応した。
【創造スキルが進化しました:基本設計の記憶を得ます】
その瞬間土が動き、木が組まれ、
ほんの少しだけ“家”の形をした小屋ができた。
「わぁ……! すごい! すごいすごい!それじゃぁレオル、村長だねっ!」
「お、おう……って、俺が村長!?」
こうして俺とミルの、“世界最初の村”が始まった。
たった一つのスキルと、腹ぺこな賢族の少女と一緒に
そして俺たちは、できたばかりの小屋を見つめながら、改めて周囲を見渡した。
木々は生い茂り、聞こえるのは鳥の鳴き声と風のささやきだけ。
文明なんて、遠い世界の話のようだ。
「さてと、何から手をつければいいんだろうな?」
「まずは食料の確保かな?ここじゃ、果実や根っこはあるけど…それだけじゃ長くは持たないよ」
ミルは地図らしきものを出し、指を動かしながら言った。
「それに、ここはモンスターも多いはず。安全な場所も必要だね」
俺は考え込む。
「よし、じゃあ、最初のミッションは…“囲い”を作って、小さな畑をつくろう。あとは火を使った調理場もちゃんと設置して…」
ミルは目を輝かせた。
「うん!それで食べ物が安定したら、ここに来る人も増えるかもね!」
そう言ってくれたミルの笑顔を見て、胸がじんわり熱くなった。
「そうだな……ここに“居場所”を作るって決めたんだから、絶対成功させてやる」
そう決意した瞬間、俺のスキル画面がまた輝いた。
【創造スキル•新たなレシピ解放 】
[“囲い(フェンス)”]
【創造スキル•新たなレシピ解放 】
[“水車小屋の設計図”]
「おおぉ…これは便利そうだな」
さっそく、木を集めてフェンスを組み始める。
だが、まだ慣れない体での作業は簡単じゃなかった。
ミルも一緒に手伝いながら、二人で笑いあう。
「レオル〜、あなたって意外と不器用ね」
「何だと〜、ってお前もだろ!」
そんなふうに笑い合っていると、突然、林の奥から小さな影が駆け寄ってきた。
「にゃーん!」
黒い毛並みのふわふわした小さな生き物だった。
「なんだ、この触りたくなるようなモフモフは?」
ミルはすぐに駆け寄って頭を撫でる。
「もしかして…野良の子猫か?」
だが、よく見ると、普通の猫とは違って目がキラキラ光っている。
「これは…“魔獣”の子かもしれないね」
「魔獣?ミル怖くないのか?」
「いや、この子はまだ幼いよ。きっと人懐っこいタイプだよ」
俺は思い切って手を差し伸べた。
モフモフは警戒する素振りもなく、すり寄ってきた。
「可愛いなぁ、よし、名前は…“ポポ”にしよう!」
こうして、最初の村の仲間がまた一人増えた。
ポポと一緒なら、きっとこの辺境でも賑やかになる。
そう思いながら、俺たちは新しい生活の第一歩を踏み出した。
続
読んで頂きありがとうございます。
転生系は書いた事が無かったので、これで合ってるかどうか不安ですが、書いていこうと思います。