第3話:襲撃、鉄の騎士団
俺は《アイアン・ルイン》を出て、機械神の遺跡を目指していた。
スカベンジャーの街にいたのはたった数日だったが、俺の力は王国軍に知られてしまった。街の人たちを巻き込むわけにはいかない。俺自身がこの力の正体を突き止め、どう扱うべきかを知る必要がある。
「遺跡は北東……だったな。」
俺は地図を確認しながら荒野を進む。周囲には巨大な鉄骨の残骸や、朽ちた戦車のような機械が転がっている。かつてこの世界には高度な文明があったのだろう。
しかし、そんな考察をしている暇もなかった。
背後から、重厚な機械音が響いた。
「……つけられてたか。」
振り向くと、砂煙を上げながら黒い装甲の騎士たちが迫ってきていた。
王国軍の精鋭部隊、《鉄の騎士団》――。
彼らは通常の兵士とは異なり、魔導機械で強化された強襲兵だと聞く。
「機械神の使徒を発見。排除する。」
隊長らしき男が、無機質な声で命令を下した。
その瞬間、騎士たちの背中に装備された推進機が作動し、一斉に俺へ突進してきた。
――ドン!!
爆風と共に、彼らの巨大な剣が振り下ろされる。
「チッ……!」
俺は瞬時に右腕を変形させ、ブレードモードへ。ガキン! と鋼鉄の音を立てて敵の剣を受け止める。
――戦闘モード、アクティブ。
システムメッセージが脳内に響くと同時に、身体が勝手に動き始めた。
「ハッ!!」
俺はブースターを起動し、横へ跳躍。一瞬前までいた場所に、騎士の剣が叩きつけられ、大地が陥没した。
「クソッ、こいつらパワーが桁違いだな!」
さらに二人の騎士が横から迫る。俺は地面を蹴り、二人の間をすり抜けながらブレードを振り抜き、片方の騎士の装甲を裂いた。
「ぐぅっ……!」
そのまま回転しながら、もう一人の頭部に蹴りを叩き込む。ヘルムがへこみ、騎士は吹き飛んだ。
だが、残った騎士たちは全く動じず、俺を包囲するように布陣を変えた。
「対象、分析完了。高機動戦闘型。包囲網を強化し、制圧する。」
チン!コロコロ!
突然、俺の足元に何かが転がってきた。
「……なんだ!」
次の瞬間、閃光と轟音が炸裂し、視界が真っ白になった。
「くそっ……!」
眩しさで一瞬動きが鈍った俺に、騎士たちの攻撃が飛んできた。
――ガァン!!
一撃を受け、俺の身体が吹き飛ばされる。背後の鉄骨に激突し、全身に衝撃が走る。
「ハァ……ハァ……!」
全身の機能が一瞬麻痺したが、すぐに回復する。しかし、騎士たちは一斉に銃を構えていた。
「終わりだ。」
バババババッ!!
弾丸が一斉に発射される。
「……舐めるなよ!」
俺は右腕をシールドモードに変形させ、弾丸を弾く。シールドが赤く輝き、弾丸のエネルギーを吸収していく。
「……返すぞ。」
俺は吸収したエネルギーを一気に解放。弾丸が放たれ、騎士たちが吹き飛ぶ。
「ぐっ……!」
隊長が態勢を立て直しながら剣を構えた。
「お前……本当に人間か?」
「さあな。でも、まだ終わりじゃない。」
俺はブースターを最大出力にし、隊長へ突進。
「喰らえ!!」
全エネルギーをブレードに集中し、渾身の一撃を放つ。
――ズバァッ!!
隊長の装甲が真っ二つに裂け、彼は膝をついた。
「……馬鹿な……これが機械神の……」
隊長が崩れ落ちると、残った騎士たちは怯えたように後退した。
「くそっ、撤退だ!!」
騎士たちは推進機を起動し、戦場から離脱していく。
俺は息を整えながら、地面に手をついた。
「……なんとか、やったか。」
しかし、この戦いで確信した。
王国軍はこれから本格的に俺を狙ってくるだろう。
「……ゲームとかなら、「オレ強えー」だし喜ぶ所なんだろうけど、現実だとツラいな。」
俺は立ち上がり、再び歩き出そうとした。
その時――。
「さすがは機械神の使徒だな。」
鋭い声が響き、俺は反射的に振り向いた。